代償
各都市の中心に大きな投影機が置かれていた。 各都市の市民等は投影機に映し出されているホログラムを食い入るように見つめている。 広場の周囲にはこの“イベント”に乗じて“ネジ飴”や“アルミ板の煎餅”などの露店を開いて一儲けしようとしている輩達の姿もあった。
空中に掛るオーロラのような3Dホログラムに、彫りの深い壮年の男性『アセナ』が映し出されている。 アセナは重厚な司祭服を羽織り、マザーから預かった薄型の端末を手に取り何かを読み上げていた。
アセナが口を開く度、各都市の市民は大きな歓声を上げたり、罵声が飛び交ったりしていた。
マルアハ『ベトール』と戦う為の準備は終わった。 マザーの命令により各都市一丸となって“グレイプ・ニクロム”と呼ばれる特殊な鉱石を精錬し“グレイプニル”という金属を精製した。 その結果、“グレイプニル”を利用した武器や航空機が大量に製造され、いよいよベトールとの全面戦争を開始できる目途が立ったのである。
“グレイプニル”は世界でもっとも高い強度を持つ金属である。 しかも、精錬前の鉱物では凄まじい磁力を持ち、加工をすると電磁波を防ぐという性質を持った特殊な金属であった。 恐るべき電磁波を放つベトールと戦う為にはこの“グレイプニル”の性質を利用しなければ勝機は無く、“グレイプニル”の量産は全世界の器械達のみならず、器械達の生みの親『マザー』の悲願でもあった。
その悲願が今まさに達成されたのだ。 ……器械達の多大な犠牲を代償にして。
マザーはそんな器械達を労う為、最も“グレイプニル”の精製量が多かった都市を祝福し、最も活躍した器械を表彰しようというイベントを企画したのであった。
マザーのイベントは成功した。 各都市の市民は広場の真ん中に設置された巨大ホログラムの前にこぞって集まり、マザーの姿を一目見ようと胸を躍らせた。
マザーによって直々に改造を施されるゼルナー達とは違い、夢見る星に存在する殆どの器械は深海魚の姿をしたマザーすら見た事が無かった。 中には声すら聞かずに一生を終える器械すら存在した。 そんな真っ白いヴェールに包まれたマザーが自分達の目の前に姿を現す。 『マザーという存在自体がウソくさい』とまで思っていた民衆が、ついに彼女の存在を確認する事ができる願ってもないチャンス。 だからこそ、各都市の殆どの市民が投影機の前に集まって、アセナの発表を今か今かと待ちかねていたのであった。
こうして、全ての都市でお祭り騒ぎが始まった。 単にお祭り気分を楽しみたいだけの烏合の衆も合流し、広場は騒然となった。 ホログラムの中で草臥れた顔をしてマザーの御言葉を代弁するアセナの話しなど喧噪の中に掻き消えた。
だが一方で、そんな軽薄な者達とは違いアセナの話しに耳をそばだてて聞いている真面目な器械達も少なからずいた。 彼等は各都市の器械達の中で誰がマザーに貢献したのかという“MVB”――Most Valuable Batler――の発表を楽しみにしていたのである。
彼等は期待をしていたのだ。 『もしかして、自分がMVBかも知れない』と。
“MVB”に選出されればゼルナーとなる事が出来る。 ゼルナーになれば何不自由ない暮らしが約束され、仲間からは羨望の眼差しで見られる。 何よりも器械として最高の栄誉を手にする事が出来るのだ。
“MVB”はゼルナーでは無い一般器械達(世間では“パンピー”と呼んでいた)の中から選出される者と、ゼルナー達の中から選出される者の二名が選出される予定であった。
ゼルナーの“MVB”は大体予想がついていたが、一般器械の“MVB”は誰が選出されるのかゼルナー達ですら予想がつかなかった。 様々な推測やウワサが飛び交い、ハーブリムの機械職人『ウサギ』や暴走娘『サクラ2号』の名前も出たことがあったが、これと言った確証は得られず、皆一般器械の“MVB”の発表を今か今かと待ちかねていた。
アセナは先にゼルナーの“MVB”を発表した。 アセナの発表を聞いた民衆はゼルナーの“MVB”など興味が無いようで「どうでも良い事を聞かされた」と失望の声が相次いだ。
一方、ゼルナー達はと言うと……彼等もまた意外な事に一般器械と同じような白けた反応を見せ、“MVB”に選ばれたゼルナーを祝福しようとすらしなかったのであった。
器械達がゼルナーの“MVB”に何の興味を持たなかった理由――それは、“MVB”の発表前からすでに誰が“MVB”なのか分かっていたからである。
マザー直属のゼルナーである『サン』が“MVB”に違いないと。
サンは地底都市『バハドゥル・サルダール』に大量のグレイプ・ニクロムを輸送してバハドゥルのゼルナー達からヒンシュクを買った。 バハドゥルの市民は膨大な量のグレイプ・ニクロムを処理せざるを得なくなり、必死になって金属を精錬した。
結果的にバハドゥルが各都市の中で一番グレイプニルの生産量が多く、その功績から都市の監督を任されていたサンが、首長であるファルサを差し置いて最優秀ゼルナーに輝いたのだ。
セムやファルサはこの決定を素直に祝福した。 ところが、二人以外の殆どのゼルナー達はサンの“MVB”を「出来レース」だと批判したのである。
「へっ! どうせ、初めからサンだって決まっていたんだろ?」
「サンはマザー直属のゼルナーだから、“えこひいき”されても仕方ねぇよな」
ゼルナー達がボヤいた通り、マザーはサンが『自分の娘』だからという理由だけで彼女を最優秀ゼルナーとして表彰したのである。
したがって、彼等はそんな「面白くもない」発表には興味が無かった。 むしろ、誰が選出されるのか予想もつかない一般器械の“MVB”に興味を注いでいたのであった。
――
「……全く、こんな茶番を見せられても仕方無いのぅ」
広場に集まる器械達の背中を見ながら溜息を吐いたライコウ。 ライコウ一行は地底都市『ハーブリム』へ戻って来ており、マザーが主催した“イベント”に強制的に参加させられていた。
「ふふっ、ライコウ、何だか今日はみんな楽しそうね♪」
ライコウは楽しくも何ともなかったが、ライコウと手を繋いでいたイナ・フォグは賑やかな町の雰囲気に心踊らせ、ライコウを引っ張り回していたようであった。
「――ライコウ様――!」
イナ・フォグに連れ回されて疲れ切った様子を見せていたライコウの背後から、不意に女の子の声が聞こえて来た。
「うん? ――おぉ、久しぶりじゃのぅ!」
ライコウが振り返ると、そこには酒場のメイド『ナナ』が立っていた。
「お久しぶりです♪ ……と言っても、私にとってはお久しぶりじゃ無いんですけどね、ふふっ♪」
ナナはそう言って茶目っ気のある目配せをライコウに送った。 イナ・フォグはナナの様子を見て少しむくれているようだ。
ナナはライコウが仲間と共にフルと戦っている間、ディ・リターのカメラマンが撮影していた戦場の映像を片時も目を離さず見続けていた。 彼女は皆の無事を祈りながらずっと歌を唄っていたのである。
その歌でデモニウム・グラキエスにいたゼルナー達が勇気づけられたかどうかは分からなかったが、少なくとも彼女の歌はマザーにとって歓喜する程の“素晴らしい発見”であった。
「ライコウ、このムスメは誰?」
イナ・フォグは明らかに不機嫌な様子であった。 ライコウの顔に刺すような視線を送り、冷たい声で問いかける。 ライコウは何となく“嫌な予感”がしながらも「あ、いや……この娘は酒場のメイドじゃ」と遠慮がちに答えた。
「ふぅん……」
イナ・フォグはまるで品定めでもするかのようにナナの顔をジッと見つめた。 ルビーのような赤い瞳が怪しく輝くと、ナナは怯えたように身を竦ませた。
「お、おいおい……フォグ。 ナナが怖がっておるじゃろう。 そんなにジロジロ見なくても良いではないか」
目を窄めて舐めるようにナナを見回すイナ・フォグをライコウが窘めた。 するとイナ・フォグはライコウの言う事を聞いたのか『プイッ』とナナから顔を逸らすと、その場でナナに背中を向けた。
「あっちに楽しそうなお店があるから行きましょう――」
ナナに挨拶もせずにそのままライコウを引っ張って人混みに向かおうとするイナ・フォグ。
「あっ、これ、これ……」
ライコウはイナ・フォグの力に抗えずに引っ張られながら済まなそうにナナに目配せをした。
「お気にされなくても大丈夫です。 お祭り、楽しんで下さいね!」
イナ・フォグに引き摺られて行くライコウに向かって手を振るナナ。 ライコウはナナの笑顔にはにかんだ微笑みを返すと、不機嫌そうなイナ・フォグを横目で見て「やれやれ」と肩を竦めた。
イナ・フォグはナナに対して嫉妬していたのであろうか? 確かに少し嫉妬心もあったのかもしれない。
しかし、イナ・フォグがナナを避けた理由はそれだけではなかった。
「おい、“パンピー”の“MVB”が発表されるってよ!」
市民の一人が隣の仲間にそう言って、上空のホログラムを指さした。 ホログラムには相変わらずアセナが映っており、長時間に及ぶマザーの能書きを読み続けて半ばウンザリした顔を見せていた。
アセナの話しではどうやら民衆の前に姿を現すだろうと期待されていたマザーは、期待を裏切って姿を見せないようだ。 マザーを一目見ようと集まった器械達はアセナの発言にまたしても失望の声を上げた。 ところが、それからすぐに一般器械の“MVB”が発表されるという事で、多くの民衆が色めき立った。
各都市の民衆は“MVB”の発表を聞き逃すまいとそれぞれの広場に集まり、息を呑んでアセナからの発表を見守った。
「あー、ゴホンッ……。 最優秀バトラーの発表だが……」
大きな画面に映るアセナが口を開こうとすると、各都市の広場が水を打ったように静まりかえった。 民衆はアセナの口から漏れる器械の名前を聞き逃さないよう耳を澄ました。
「MVBは……
……休憩の後、発表する」
重々しいアセナの声が響くと、ホログラムに向かって物が投げ込まれた。
「ふざけんな“駄犬”!」
「ぶっ殺すぞ、イヌチキショウ!」
アセナに対する誹謗中傷が渦巻き騒然となる群衆。 そこかしこからネジや鉄板が上空を飛び交い、画面上のアセナも不穏な雰囲気を感じ取ったのかそそくさと席を外して画面上から消えてしまった。
アセナによって肩透かしを食らった群衆が画面に向かってブーイングを飛ばす中、イナ・フォグはライコウに肩を寄せて幸せそうに目を細めていた。
「器械達の中で最も優秀な者か……。 ゼルナーでは無い一般器械から選べとなると、一体誰じゃろう? ウサギかサクラではなかろうか……」
ライコウは肩に身を寄せているイナ・フォグに問いかけた。 桜色の美しい髪から花のような良い香りがふんわりと鼻を掠める。 ライコウがサラサラした髪に手を遣ると、イナ・フォグは上目遣いに微笑んで、意外な言葉を口にした。
「違うわ」
「それではフォグは誰だと言うのじゃ?」
ライコウは首を傾げてイナ・フォグに顔を近づけた。 すると、イナ・フォグは頬を薄紅に染めながらチラリと後ろを振り向いた。
「あの子……」
イナ・フォグの言葉にライコウが振り返ると、人混みに紛れてライコウの背中に手を振るナナの姿が見えた。
「ええっ? まさか、ナナが……?」
ライコウは目を丸くした。 デモニウム・グラキエスまで出兵して共に戦ったサクラや、グレイプ・ニクロムの加工方法を考えたウサギを差し置いて、まさかナナが『世界で一番優秀なバトラー』などとは……。
ライコウが首を傾げていると、アセナが便所から戻って来たようだ。 清々しい顔を画面上で見せながらようやく“MVB”の発表を行なおうとしていた。
散々待たされて気が立っていた市民からの罵声が飛び交う中、アセナは神妙な面持ちでマザーから渡された薄型端末を睨むと、ある器械の名を告げた。
「最優秀バトラーは――
――『α70B【アルファ・ナナマルビー】』――ハーブリムの歌姫『ナナ』に決定した」
――
「……ハァ?」
アセナの言葉に一同唖然とし、沈黙が走った。
ライコウは思わずイナ・フォグの顔を見た。 するとその瞬間、地鳴りのように疑問符の付いた叫びが沸き起こった。
「――エェェェ――!?」
この決定に各都市の器械達は度肝を抜かれた。 ハーブリムの市民はライコウに向かって手を振っていたナナを一斉に見つめた。
「え、えっ……!? 皆さん、一体何があったんですか?」
アセナが読み上げた言葉など聞いていなかったナナは、民衆が一斉に自分に顔を向けてきたことに驚愕し、身を縮めた。
「おい、テメェどういう事だ!?」
マザーの決定に納得がいかないのか、一人の器械がナナに向かって悪態を付く。 ナナは訳が分からないまま男に怒鳴られ、頭を抱えた。
「ナナちゃん!」
すると、ナナの酒場に入り浸っているイヌ型の器械とフルダが駆け寄ってきた。 フルダの後ろからはウサギとラキアも付いて来ている。
「ナナちゃん、君は一体何をやったんだ?」
ラキアはナナに駆け寄ったついでに悪態をついた男を蹴り飛ばして失神させると、怯えるナナの手を優しく取ってナナに問いかけた。
「なっ、何って……? 私、別に何も悪い事は……」
ナナは瞬く間に市民達に囲まれ、衆人環視に晒された。
「ナナちゃんが“MVB”に選出されたんでやんすよ!」
フルダが『ペッ、ペッ』とツバを引っかけながら叫ぶ。 何故かフルダはラキアの方を向いて話している為、汚らしいツバはラキアの顔に引っかかった。
「――ええっ!? 私そんな……マザーから表彰されるような事は……?」
困惑するナナ。 ラキアもハンカチで顔を拭いながら首を傾げる中、人混みをかき分けてライコウとイナ・フォグがやって来た。
「おう、ライコウ! テメェ、こりゃ一体どういう事だってんだ!」
ラキアの背後からウサギが『ピョコン』と飛び出して、ナナに近づくライコウに向かって啖呵を切った。
「そんな事、ワシに聞かれても知るか!」
もちろん、ナナが“MVB”に選ばれた理由などライコウが知るはずも無い。 ところが、イナ・フォグはマザーの企みを知っているようで、ナナに向かってマザーとは決して会わないよう忠告をした。
「スカイ・ハイを破壊するまでアナタはアイツに会う必要は無いわ。 むしろ、会ってはダメ」
イナ・フォグの言葉に目を丸くする一同。 すでにマザーから命じられたゼルナー達がナナを“表彰”する為に連れ去ろうと、周りを取り囲む民衆を押しのけてこちらへ来る様子が見える。 黒光りした立派な鎧を着た二人のゼルナーは、偉そうに市民を恫喝しながら胸に光る蒼いライトを光らせていた。
「それはそうと、何故マザーはナナを連れ去ろうとしているのじゃ?」
ライコウがイナ・フォグに問いかけると「修復に必要だから」といつも通り理解不能な答えを返し、話しを続けた。
「アイツは今のうちにアナタを自分の手元に置いて管理しようとしている。 スカイ・ハイを討伐した後にアナタを“解体”する為に」
「――何だって――!?」
イナ・フォグが放った“解体”という恐ろしい言葉。 つまり、マザーはナナを破壊してスクラップにしようと言うのだ。
ナナは驚愕のあまり手で口を覆い言葉を失っている。 すると、ラキアがナナの前へ飛び出しイナ・フォグに食ってかかった。
「アラトロン様! 何故マザーがそんな酷い事をしようとするんですか! それに、もしナナを利用しようと言うのであれば、何故もっと早くナナを連れて行かなかったんですか!」
興奮したラキアが煤のついた顔をイナ・フォグに近づけた。 ラキアの背後では、マザーの使者である二人のゼルナー達とライコウが何やら話し合っている。 彼等はどうやら町一番のゼルナー『リクイ』の部下達のようだ。 ライコウを前にしたゼルナー達は先ほどまでいきり立っていた肩を窄めて愛想笑いを浮かべていた。
イナ・フォグはラキアから目を逸らし、そんなライコウの様子を見ながらラキアの問いに答えた。
「ヤツがこの子のヒミツを今まで知らなかったからよ」
「……ヒミツ?」
ナナに一体どんなヒミツがあると言うのか? ラキアが呆気に取られる中、イナ・フォグは困惑しているナナの傍へ歩み寄ると、丁度同じ背丈のナナに視線を合わせた。
「アナタが歌を紡ぐ時、その歌は“ヴォーチェ・マギカ(呪言葉)”となってマルアハの仇となる」
イナ・フォグはナナにそう言ったが、周りを取り囲んでいる市民達の歓声と罵声が騒がしく、誰もイナ・フォグの言葉をハッキリと聞いた者はいなかった。
「えっ……? ヴォ……なんですか?」
ナナはイナ・フォグの言葉をもう一度聞き返そうとした。 ところが、イナ・フォグは「ともかく、奴の命令は無視しなさい」と言葉を重ねると、ナナの背後でゼルナー二人と話しているライコウへ歩み寄った。
そして、ライコウと談笑していたゼルナー二人に燃えるような赤い瞳を穿ち二人を追い払うと、再びライコウの手を取って身体を寄せた。
「……うぅ。 そんな事言われたって、私……一体何のことだか……」
突然、“MVB”なんかに選出されて民衆の喝采と罵声を一身に浴びたナナ。 彼女は複雑な思いを胸にラキア達と共にこの場を逃げるように立ち去ると、イナ・フォグの指示に従いしばらくウサギの家に身を寄せる事となった。
――
『イナ・フォグ、貴方は私の邪魔をするつもりですの?』
イナ・フォグの目の前には銀色の球体が浮かんでいる。 球体は激しく揺らぎながら赤い光を放ち、イナ・フォグの顔を照らしている。
――イナ・フォグはハーブリムの地下にいた。 透明な電子の床が緑色に点滅する度、下に満たされた銀色の水が煌めいているハーブリムの最下層。 ここでマザーは銀色の球体の姿をしたまま、器械達の生活を見守っていたのであった。
赤い光を放つだけの銀色の球体。 表面はまるで鏡のようにイナ・フォグの姿を映し出している。 イナ・フォグはマザーの声を聞くと「クスッ」と鼻で笑った。 彼女のふっくらとした唇に笑みが漏れる姿が球体に映ると、マザーは激しく赤い光を点滅させた。
『くっ……貴方、ワタクシが何に為に貴方を生かしてやっているのかまだ理解していないようですわね。
貴方はワタクシにそんな不遜な態度を取れないはず。 ワタクシの取り計らいが無ければ、貴方はずっとあの穢れた沼地でひっそりと暮らしていた。 今のようにライコウとのんびりお散歩出来るようになれたのは一体誰のお陰なのか、良く噛みしめる必要がありますわ』
恩着せがましい言葉を投げて、不満を露わにするマザー。 イナ・フォグはそんなマザーの態度にも泰然として『何故、ナナを自分の傍に置こうとしたのか』をマザーに聞いた。
『……別に貴方に答える筋合いはなくてよ』
予想通りのマザーの返答に「まあ、そう言うと思ったわ」と再び鼻で笑い、再びマザーを怒らせた。
『――! なら、くだらない質問をしなくてもよくて! そんな暇があったら、貴方は早くスカイ・ハイを破壊するべきですわ!
「α70B」は世界中のバトラーの中で最も優秀な性能だったからこそ、“MVB”という栄誉を与えたのです。
それを貴方が“真っ赤な噓”を吹き込んでワタクシから遠ざけた!』
球体は赤い光を放ったまま今度はうねり狂う炎を表面から放出した。 その姿はまるで火柱を上げた太陽のようだ。
『世界中の器械は私が創った子供達ですわ! その子供達を親から引き離そうとする貴方はやはり、昔と変わりが無い“邪悪”じゃなくって?』
マザーの挑発にもイナ・フォグは平然とした態度を崩さない。
「お前がそう思うなら、この場で私を滅ぼせば良い。 出来るものならね」
イナ・フォグがマザーに向かって挑発すると、マザーは少し冷静になった。
(……何故、コイツはこうも私に噛みつくの? もしかして『α70B』のヒミツを知っている?
それとも、私に対して優位な立場になれる何かが起きたとか……?)
マザーは訝しんだ。 マザーもまさか何の変哲も無い少女型器械であるナナが、自分が探し求めていた”物”だとは思いも依らなかった。 自分ですらナナのヒミツを最近知ったにも拘わらず、何故イナ・フォグがナナのヒミツを知っているのか?
(あり得ないですわ……)
『きっと、ライコウに頼まれて邪魔をしたに違いない』
イナ・フォグがヒミツを知っている事などあり得ない。 そう考えたマザーは恐らくライコウがイナ・フォグを利用してナナを隠してしまったのだと予想した。
“MVB”としてナナを表彰し『ゼルナーとなる栄誉を与える』という名目でナナを呼び寄せようとしたマザー。 本来ならそんな面倒な事などせず、サンにでも命令して勝手に連れ去れば良いだけである。
しかし、マザーはライコウの目を気にしていた。 もし、勝手に連れ去ったことがライコウに知れると厄介だと思い、わざわざこんな大仰なイベントを仕組んだのである。
『大勢の前で表彰された器械を労う目的で自分の下へ呼び寄せるなら、ライコウも文句は言えまい』
そもそも、ライコウに何も告げずセンを連れ去った事が失敗であった。 ライコウはマザーがセンを監禁した事で彼女を警戒していたのだ。 ただでさえ、ライコウはマザーがセムを『虐待していた』と思い込んでいる。 自分の知り合いであるナナがマザーに連れて行かれたと知れば、どういう行動をするか火を見るより明らかである。
だからこそ、自分の下へナナを呼び寄せるために大義名分が必要であった。 皆がナナを祝福する前でライコウ一人が反対する訳にもいかないだろう。 彼女はライコウの性格をよく知っていたからこそ、こんな姑息な策略を思いついたのであった。
ところが、イナ・フォグがそんな彼女の謀りの邪魔をした。 ナナを紫煙の中へと隠してしまい、マザーの監視から逃れさせた。
初め、マザーはイナ・フォグがライコウに頼まれて邪魔をしているのだと思い込んでいた。 イナ・フォグがナナのヒミツなど知っているはずが無いとタカを括っていたのだ。
しかし、イナ・フォグはどうもナナのヒミツを知っているような素振りを見せる。 それに、もしライコウがイナ・フォグに頼んだなら、イナ・フォグがこの場に来ないでライコウが来るはずである。 ライコウの性格であればきっとそうするはずだ。
(ヒミツを知っていれば、何故わざわざワタクシの所へ来て、ワザとらしい質問を打つけるの?)
マザーは混乱した。 イナ・フォグは先ほど『何故、ナナを自分の傍に置こうとするのか?』とマザーに聞いた。 ヒミツを知っていれば、そんな問いかけはしないはずだ。
「イナ・フォグ……貴方、一体何が目的でわざわざ私に会いに来たの? 貴方はライコウに頼まれて来たのではなくて?」
マザーの問いかけにイナ・フォグは「いいえ、確かめに来たの」と不可解な言葉を口走った。
「確かめに? ……何を?」
「“スペキュラム・ファティ”に私の姿が映っているかどうかを」
「なっ――――!!」
イナ・フォグの答えにマザーは言葉を失った。
「ま、まさか――!?」
イナ・フォグの発言はマザーにとって衝撃的であった。 銀色の球体をブルブル震わせながら困惑したように複雑な色彩の光を放っているマザー。
ライコウや他のゼルナーがこの球体と対面すると、球体に中に深海魚のような姿が映し出される。 イナ・フォグも前回この球体の前に立った時は深海魚の姿を目にしていたはずだ。
ところが、今回は球体の中に深海魚の姿はなく、球体はまるで鏡のようにイナ・フォグの姿を映しているだけであった。
球体の変化は一体何を意味するのか? マザーとイナ・フォグはもちろん知っていた。 そして、その恐るべき変化にマザーは驚愕し、イナ・フォグが『自分の思い通りに動いていない』と危機感を持ったのである。
イナ・フォグはライコウに頼まれてここへ来た訳では無かった。 自分の意志でナナを紫煙のヴェールで隠し、“スペキュラム・ファティ”から脱出した事を警告しに来たのである。
「……チッ! キサマの運命が多少変わったところで、ライコウの運命はまだ――!」
マザーがこれ程までに口汚い言葉を放つ事は初めてだった。 イナ・フォグはマザーに対して何処となく余裕がある佇まいを見せており、対するマザーは激しく震える球体の様子から酷く動揺しているように見えた。
マザーはライコウの運命がイナ・フォグによって変わってしまう事を恐れていたのである。
「フフフ……恐れているようね。 しかし、ライコウはまだお前の手の内にあるから恐れる必要は無い。
それより、お前はナナを傍に置いた後、私がベトールを討伐した事を確認してすぐにナナを破壊するつもりだったんでしょう?」
イナ・フォグはマザーに対してあえて乱暴な口を利いた。 マザーはイナ・フォグの指摘が図星だったのか、一瞬口を噤んで銀色の球体を窄ませた。
『……フンッ! 貴方はワタクシを誤解してますわ! 可愛い子供達にワタクシがそんな事をする訳ないでしょう』
マザーの反駁はイナ・フォグを笑わせた。
「お前の子供達? フフッ……その子供達の一人『セマンゲロフ』を破壊寸前まで暴行したのは一体誰かしら? 今も『セノイ』を何処かへ監禁し、何か如何わしい計画に利用しようとしている」
『――キサマはワタクシを侮辱するつもりですか――!!』
ついにマザーはイナ・フォグの言葉に激昂した。 銀色の球体に『パリッ……』と亀裂が入り、中の液体がまるで水銀のように漏れ出した。
いよいよマザーとイナ・フォグは袂を分かつのか? 少なくともマザーはイナ・フォグの言動に激昂しているようだったが、イナ・フォグの次の言葉で再び冷静さを取り戻した。
「お前がいくらワタシを嫌おうとも、スカイ・ハイがいる限りお前の思い通りにはならない。
ナナはスカイ・ハイを破壊する為に必要な“武器”である事はお前も良く分かっているはず。
お前の手元にナナを置いたままでスカイ・ハイを討伐出来ると考えているなら、どうぞご自由に……」
『……クッ……!』
――やはりイナ・フォグはナナのヒミツを知っていた――
マザーは彼女の指摘に反論できず、唇を噛むように銀色の球体をワナワナと震わせた。
イナ・フォグは球体の様子を見ると、再び蔑みの笑みを浮かべてこう言い放った。
「二の句が継げないようね。
“裏側への穴”を開ける能力を持つスカイ・ハイ。 一度目はアイツが穴を塞いだから事なきを得たけど、二度目はどうかしら?
お前はワタシの力に期待しているようだけど、ワタシには“裏側への穴”を閉ざす力は無い。
もちろん、今のお前にも穴を塞ぐ力が無い事は自明。 だからと言って、ナナを拉致してお前がナナの能力を手に入れようとしても、ナナだけでは“例のモノ”を修復する事など出来ない。 そんな事はお前も知っているはずよ。
“裏側への穴”を塞ぐ事が出来るのは今のところナナしかいないわ。 ……今のところね。
ナナを拉致して“例のモノ”の修復しようと無駄な努力を重ねるの? それともスカイ・ハイを破壊する為にナナを放任する?
どちらにするかはお前の好きにすれば良い」
冒頭、イナ・フォグはマザーに『何故、ナナを拉致しようとするのか?』と聞いていた。 この問いはイナ・フォグがナナの能力に気付いていないから出た問いでは無かったのだ。
『ナナを拉致したところでマザーが望む物は手に入らない』
イナ・フォグはその事実を知っていたからこそ、マザーにあえて意地悪い質問を打つけたのである。
『……分かりました。 ナナはイナ・フォグ――貴方に任せましょう。
但し、その前に貴方はワタクシの問いに答える必要がありますわ』
この時、マザーの声は目の前に浮遊する銀色の球体からではなく、何故かイナ・フォグの背後から聞こえて来た。 ……凄まじい冷気を伴って。
背後から刺す凍て付いた冷気。 それはマルアハ『フル』が放った“絶対零度”を思い出させる冥界の吹雪のようであった。
イナ・フォグは凍える声に振り向かず、赤い瞳を窄ませたまま銀色の球体を見据えている。 急激に低下した温度のせいで空気が凍り付いたのか、キラキラと空中が煌めいている。
だが、目の前に浮かぶ球体に満たされた銀色の水は凍りついている気配は無い。 相変わらず鏡のような水面を揺らめかせ、イナ・フォグの背後にいつの間にか佇んでいる白い靄を映し出していた。
その白い靄は人の姿を成していた。 女性のような白い影。 服装も顔も分からないその白い影は、トコヨの戦士が使う武士の刀を手に持っていた。
『……キサマ……一体、何処まで記憶を回復させている?』
白い影から放たれた声はマザーの声であった。 イナ・フォグの背中に向けて青白い刀を突き出している白い影はマザーの姿なのであろうか?
張り詰めた空気は静寂を引き連れ、まるで時が止まったかのようだ。
「ようやく“ベエル・シャハト”から出てきたようね……」
深閑としたフロアにイナ・フォグの声が響く。 イナ・フォグは悠然とした瞳をそのままにゆっくり後ろを振り向くと、刀を向ける白い影を見つめた。
――
イナ・フォグはマザーのいる最下層から一層へ戻って来た。 ライコウはウサギの家でヒツジ達とイナ・フォグの帰りを待っていた。
町を抜け、下を向いてトボトボとウサギの工場へ向かっていたイナ・フォグ。 ライコウから貰ったポンポンの付いたブーツを見ると彼女の心が温かさに満ちあふれた。
「……ワタシは……」
煙突から煙を出すウサギの工場が遠くから見えた時、工場内のベンチで腰を降ろしているライコウの姿が目に映った。
イナ・フォグはライコウの姿を見ると足を止めた。 ライコウは穏やかな蒼い瞳を称えながらベンチに座っていた。 ライコウの傍ではセムとヒツジがアルミの球を蹴って楽しそうに遊んでいた。
荒涼とした赤い砂が舞う工場の敷地に、地底都市の屋上から射すライトが照らす。 穏やかな風がライコウの金色の髪を優しく撫でている。 イナ・フォグは遠くからライコウの姿を眺めると、自分のココロが『キュッ』と苦しくなる気がした。
だが、その苦しみは心地良い痛みであった。 もっと、ライコウの傍でその苦しみを味わいたいとすら感じていた。
「ワタシの記憶は……」
ライコウはイナ・フォグが見ている事に気付いていない。 彼女は赤い瞳を潤ませながらライコウから視線を外すと、過去を思い出すように空を見上げた。
『ウソを付いた者は咎を負うべきじゃ。 じゃが、真実によって誰かを絶望に落とすのであれば……。 ウソによって誰かの希望を掬えるのであれば――』
『――俺はウソを付いて咎を負う事を選ぼう――』
それはいつかライコウが口ずさんだ言葉。 その言葉は彼女の心に深く沁み渡る憐れみの言葉であった。
「ワタシはアナタにウソを付いている。 ……でも、アナタに真実を告げる事でアナタと離れる事になるのなら……。
ワタシは……」
深い霧に閉ざされた“ダカツの霧沼”で途方もない時間を独りで過ごしていたイナ・フォグ。 長い年月を経て瘴気に塗れた彼女の穢れを洗い流してくれたのは『ライコウ』という一体の器械であった。
イナ・フォグが空に向かって呟くと、遠くからライコウの声が聞こえてきた。
「フォグ、何やってるんじゃ!」
ライコウの声に慌て顔を向け直すイナ・フォグ。 すると、目の前にはヒツジとセムが迫って来ており、二人の後ろからライコウが駆け寄って来ていた。
「ライコウ! ――キャ!?」
イナ・フォグがライコウの声に応えようとした瞬間、ヒツジとセムがイナ・フォグの胸に飛び込んで来た。
「お帰り、フォグ!」
イナ・フォグは地面に尻餅をついて、二人を両手で包み込む。 セムはすっかりイナ・フォグに懐いてしまったようだ。
「コラ、コラ。 二人ともフォグが困っておるじゃろう――」
ライコウがイナ・フォグに抱きつく二人を窘めると、イナ・フォグはライコウに向かって微笑みを返した。
「ふふっ、困ってはいないわ」
二人と手を繋ぎながら起き上がったイナ・フォグの瞳は涙で潤んでいた。
「ん? フォグ、お主どうして泣いておるんじゃ?」
イナ・フォグの瞳薄ら見える涙の影に、ライコウは心配そうに首を傾げた。
「えっ? いえ……ちょっと砂が目に入っちゃったの」
イナ・フォグは一瞬戸惑った表情を見せたが、すぐに艶然とライコウにウソをついた。
ライコウはイナ・フォグのウソに気が付かなかった。 彼はもともと鈍感な器械である。 マザーの思わせぶりな態度にはただ「気味が悪い」と感じるだけの、鈍感を通り越して失礼な男であった。
そんな男がイナ・フォグの微笑みに対して、少し顔を赤らめてはにかんだ笑顔を返す。 ライコウは彼女のウソには気が付かなかったが、さすがに彼女の秋波には気が付いていたようだ。
「そ、そうなのか? この辺りは風が強いから気を付けんとのぅ……」
ライコウは照れくさそうに鼻を掻くと、イナ・フォグに向かってはにかんだ笑顔を返した。
―――
イナ・フォグは何故ライコウの事を愛しているのか?
思えばライコウと初めて会った時から、ライコウに対する彼女の態度は他のゼルナーとは一線を画していた。 彼女はライコウの姿を一目見た時から予感があったのだ。
『アナタはワタシの物……』
初め、イナ・フォグはライコウを自分の所有物にしようとした。 器械などただの鉄の塊――“ロボット”に過ぎないと考えていたからだ。
ただ、『似ている』とは思っていた。 前髪を下ろした金髪と空のような蒼い瞳。 大きな杏眼でイナ・フォグを見るライコウは、彼女が最後に見たトコヨの戦士にそっくりだった。
イナ・フォグはトコヨの戦士を愛していた。
決して成就する事のない“天使”と“人間”との愛。 しかも、その人間は子供もいる妻帯者である。 イナ・フォグの愛など成就するはずがなかったのだ。
そんなトコヨの戦士に似ていたライコウに好意を持つことは自然な事であった。 ただ、その時はトコヨの戦士に似ているだけの“ロボット”に過ぎないと思っていた。
しかし、彼女がマザーと何年かぶりに会った際、ライコウについて話しをするとマザーの態度が変わる事に気が付いた。 イナ・フォグはその時、ほんの少しだけ過去の記憶を取り戻した。 ほんの少し……それこそ、まるで粉々になった鏡のほんの一欠片が修復されたに過ぎなかった。
ところが、ハーブリムから東へ向かう大橋の上でベトールと戦った後、傷を負ったイナ・フォグはさらに記憶を取り戻した。 今度は鏡の欠片が寄り集まり、自分の赤い瞳だけは見える程度にまで回復した。
すると、彼女は気が付いた。
「やっぱりライコウはあの時のトコヨの戦士!」
イナ・フォグの記憶は断片的であった。 かつて自分が恋した戦士との記憶は殆ど思い出せなかった。 ただ、あの時自分の身体を切り裂いた戦士の姿しか思い出せなかったのである。
でも……何故、ワタシは自分を消滅させようとした人間を……?」
イナ・フォグは困惑した。 何とか記憶をたぐり寄せようとしたが、その答えは思い出せなかった。 しかし、ライコウを見るたび胸が高鳴り、切なくなった。
「トコヨの戦士は人間であったはず。 いくら似ているからと言って、器械であるライコウとは全く違う」
だが、フルと戦った時にライコウが見せた変化。 トコヨの戦士の姿となったライコウを見て、彼女の予感はようやく確信へと変わった。
『ライコウは人間であったトコヨの戦士が器械となった姿である』と。
さらに、彼女がそう確信した理由はそれだけではなかった。
マザーがライコウについて話しをする時の態度。 マルアハを全員破壊する事で成就されるマザーとの約束。
その二つの事実から間違い無くライコウがあの時のトコヨの戦士だと断定したのである。
イナ・フォグとライコウの夢――それはいわずもがな、人間となる事である。 しかし、同じ夢を持ちながらも、人間になりたい理由はまるで異なっていた。
『人間で無かった為に叶わなかった恋を叶えたい』
この乙女チックな理由こそ、イナ・フォグが人間になりたい理由であった。 一方のライコウは『トコヨの戦士に憧れている』という理由に過ぎなかった。 それもそのはず、ライコウはイナ・フォグとは違い記憶を殆ど回復させる事が出来ず、自分がかつて『人間であった』事や『親友に憧れてトコヨの戦士になった』事など覚えていなかったからである。
マザーが指摘したように、イナ・フォグの記憶は殆ど回復していた。 まるで粉々になった鏡が一枚の鏡に戻って行くかのように……。
だが、その“忌まわしい鏡”はまだ一枚になっていない。 もし、鏡が完全に一枚になった時、その鏡はイナ・フォグの姿を映し出すであろう。
その時、彼女は全ての記憶を取り戻す事が出来るのだ。
……鏡に映る醜悪な自分の姿と引き換えに。




