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永久灰土  作者: 蒼空 雲
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Eternal ashes

冒頭があらすじです

永久灰土


きっとこれは運命のいたずらだと言えれば何これは運命のいたずらだと言えれば何よりも楽だったのに



灰が舞うこの荒野を見て私は嘆息をつく。三年前、終わりなき戦争へ終止符を打つために共和国政府は秘密裏に進めていたash作戦を決行することにした。一人の腐灰能力を持つ少女をいけにえにして

腐灰能力というのは人体実験の賜物であり、生きているものを灰に変える能力だった。


7年前のあの日を忘れられる人は多くないだろう、大陸全てに響き渡る轟音がしたと思うと、サーと灰の波は広がって行った、金属でできた建物にいた人達、あるひとつの防衛都市では死者は出なかったらしいそれ以外の人達は、灰に変わった、当然ながらほとんどの生命は絶滅し動物が生き残ることは無かった。

それだけでは無い、灰に覆われて死んだものは、灰之怪物に変わってしまうのだった、どこかしら面影が無いわけではなかった、それゆえかろうじて生き残ったものも、親や子供、恋人を探しに行ってしまった、運良く見つけられても、理性もなく記憶もない亡霊と化した灰之怪物に惨殺されてしまうのがオチだった。


能力を行使したのは1人の少女、私アイリス・モンドレーの妹アシュー・モンドレーだった。私たち戦争孤児は良い材料だったのだろう。

妹は能力を得た時から、軍の中でもてはやされて、操られていた。

何度か諌めたがそれは徐々に聞き入れられないものとなった、5歳で両親を戦争でなくしたあの子には軍で実験をしている科学者達が親に見えたのだろうか。

何度考えても分からなかったが、きっともっと私にできることがあったのだろうと悔やんでしまう。


あの事件から7年、軍だけでなく、生き残った民間人によって、灰之怪物を駆除していくごとに灰は減っていっている、ように思われている。実際は湖から1リットルの水を取り除いたくらいだけかもしれないが、人々はその軍の報告に湧いた。

だがそれも嘘ではないだろう、この前、鷹が飛んでいるのを見た。

人々にとって7年という歳月は、心の傷を癒すのには足りていないかもしれないが、確実に期待を持ち始めていた。


私はこの荒野をさまよう、もしかしたら灰野と言うべきなのか。


「ここのにはもう何もいないようですね」


ぽつりと呟くその声は静かな荒野にそっとこだまとなる。

この荒野も妹が作ったものだと考えると、もっと自分できることはなかったのかと胸が締め付けられる。

それでも今自分にできることは、灰之怪物を減らして国土を、戻すために動くだけ。


「そろそろ引き上げますか」


私はあの人体実験場を抜けだして得た我が家へもどることにした。皮肉にも政府の開発した、灰の上も走れるプロトタイプのバイクにまたがり荒野を抜け山を越える。

ブゥンとなるこのバイクは少々私には不似合いだと思っていたが最近ではもはや相棒だった。

ブレーキをかけるとバイクは一二秒そのままだったがやがてエンジンを止める。

灰に浸食されていない対アシュー戦線を超えるとそこには町が広がっている。

この国で灰から奪還した町である。


私は基本的にあの日アシュが暴走してから誰とも関わっていない。

いや関わらないようにしている。

対アシュー戦線は灰から生まれる灰之怪物アシューモンスターを駆除する組織だ。


街の一角の安い宿に泊まる。

特に変哲もないただの宿、泊まるのは1晩の宿を求めてくるみすぼらしい人間だけであり誰彼と関わりに行く人間達ではなかったから、私からすると都合が良かった。

ベットに横になると疲れを感じすぐに寝てしまった。

アシュを失ってからはなかなかすぐに寝つけない日々が続いたのだが最近はそんなことが減って来たように思う。

だからといってアシュが暴走したことを忘れられるわけではなかった。


朝起きて、宿が出す簡易的な食事を取り、私はバイクにまたがり街を出た。バイクのエンジン音とともに足元の灰が舞う。けたたましい音が鳴る。

このバイクについて言っておくと灰の上を走れるだけでなく、灰之怪物が近寄って来ない、理由はバイクに使われている金属が灰との相性が悪く、はじいてしまうというこの世の中の中で最強だったからだ。


今日はいつも向かう方向とは違う方向を目指す。

初めはなるべく人と関わらないために、人が行かないような危険地帯を中心に探したが1週間なんの成果も得られなかったため、別の方向に足を向けてみようと思ったのだ。

しかし間違いだったと私はすぐに思った。


人が思ったよりも多かった。灰之怪物を倒すことによって得られる、ドロップアイテム、経験値、お金は灰の侵攻によって職を失った人達に恵、新しい産業となっていた。

彼らが倒した灰之怪物から出るアイテムを必死に拾っている姿と多くが身なりにお金をかける余裕がないことから初めは乞食と呼ばれていたが、差別的だということでさすらいと呼ばれている。

何パーティも灰之怪物を狩っているなかでひとつのパーティだけ目を見張るものがあった。

間違いないように言っておくなら他のパーティも決して素人ではなかったし弱くもないだろう。

ただ目を見張るものを持っているパーティだった。


「おぉいい来るぞぉおお」


灰之怪物の中でも上位クラスのグレーウルフ、いやただのグレーウルフではない、おそらく人を食っている。

だがその心配も無用の長物に終わった。

そのパーティは少年たちだけで構成されてるパーティであった。

しかし動きとしては悪くなかった。

一朝一夕で身につくようなものでなく、俊敏な動きだった。


「俺が殺る」


少年のひとりがそういうと、流麗な刀身を抜きはなって一刀両断した。

年齢と見合わない剣技にも目を見張るものがあったがそれより、一撃で倒したことの方が問題だった。

普通は少しずつ削っていって、弱ったところをパーティの1人がアースと呼ばれる力を使ってとどめを刺すのが、常套手段である、しかし少年は何もなしに一撃で倒せたのはアースの大きさが脅威的だからとしか言えなかった。

平素であれば軍隊で将軍をしているレベルである。

もはやアースの怪物レベルである。


しかし落ち着くよりも前に新たな灰之怪物が襲って来ていた。

少年たちは上位個体を倒したことで戦闘直後の慢心があった。

この時私は立ち止まって見てしまっていたことを悔やんだ。

考えるよりも先に身体が動いてしまったのだ。

少し考えればわかる事だったこの場所で咄嗟とは言え能力を使うことの意味を、しかし鞘から刀を抜き、助けに走った。


『ポリュート・インフレンス 汚染』


そう言い放つと刀は毒々しい瘴気を纏った。

灰之怪物に接触するまで、最大限力を抜き、刀が灰之怪物に触れる直前に力を入れる。

いつも通りに灰之怪物を切る。

そこに思考は存在していなかった。ただそこにあるものを切る。

私が鞘に刀を収めると同時に。


「待て待て待て、貴様ぁ忌み子かぁ!」


少年たちとは別のパーティから声が上がった。

周囲がどよめく、今全てが灰に覆われているのは、アシューによってであり、特殊な能力をもつものを全員忌み子として嫌われていた。

だからこそ能力をひけらかすことを今までせず人が少ないところにだけ足を運んでいた。

人が多いところに来た時点でこのような事態を想定しておくべきだった。


「捕まえろ!!あいつらのせいで俺らはこの生活のざまだ」

「絶対許さない、お前らのせいで俺の恋人は死んだんだぞ」


生活が落ちぶれたもの、最愛のものを失ったもの彼らの苦しみは到底理解できるものではない、しかしアイリスには最愛のものを失う気持ちも生活が激変することもわかってしまった。

アイリスは彼らを傷つける必要がないように足早でその場を去ろうとした。


「ちょっと待って、ウォンさん、彼女が何したって言うんだもしかしたら過去にそういう事もしてるかもしれないし、世界を滅ぼしたかもしれないけど、今僕達を助けてくれた、この事実だけで十分じゃない?」


先程アイリスによって救われた少年のパーティのひとりが言った。


「それとこれは別だろ、どんなやつだろうと関係ねぇよ!」

「そうかい、でもウォンさん達だけじゃどうにもできないだろ、見たろさっきの力」

「関係ねぇ」

「じゃあ俺を倒してからいけ、ガキの1人くらい倒せるだろ」

「言ったな!いつまでも調子に乗っていられる思ったら大間違いだぞ」

「これだから曲がった大人は」


少年はそう呟いてパーティーのメンバーに視線を送る。

メンバーはこくりとうなずいて散開する。

それを皮切りにウォンが叫ぶ


「野郎ども散開 封魔陣を組め」


ウォンと呼ばれた男が言うと彼らのパーティは一気に動き出した。封魔陣とはアースにおける人間の持てる対抗策のひとつである。陣を六角形に組むことでアースを練れないようすることができる。

世界における法則のようなものである。

六方でアースを吸い取るイメージだ。

この陣形は必殺である、打開策は量でごり押すくらいなもので、6倍の力を跳ね除けることのできるくらい必要だった。

ウォンらのパーティもそこそこの熟練度ですぐに陣を組む。

先ほど一撃でグレーウルフを倒した少年をマークした。

だけど彼らは忘れているのだ、少年達は1人じゃないパーティだ。

1番強いものを塞いでもそのうちに攻撃を受ければ負けてしまう。


「チェックメイトだ。ウォンさん」


少年がウォンの首筋に刀を突き付ける。

よって少年たちとウォンらは少年たちにあっさり軍杯が上がった。


「俺らが勝ったんだ、彼女に手を出すな」

「ふっ、そんなことするか、男に二言はないさ」

「その言葉信じるぞ」

「まぁ俺が約束したことは俺は守るよ」


そう言って彼らは去った。それに伴って傍観していた周りのパーティの人達も去っていった。


「改めて救ってくれてありがとう。俺はゲンジだ。」

「アイリスだ」

「ありがとう、アイリスいい名前だね」

「ありがとうございます」

「これからどうするとか決めてる?パーティーは組んでなさそうだけど」

「もう少しこの町周辺を探索しようと思っていたのですが、私の考えが至らなかったためにこのような事態を招いてしまったので、また他の町に行ってモンスターを狩ろうと思っています」

「僕らを助けたばっかりに、、、本当に申し訳ない。なんとお詫びしたらよいのか」


少年たちは申し訳なさそうに頭を下げた。

その時例のアースの怪物君がアイリスに言った。


「俺らのところに居れば良い」

「レイ困らせたらだめだって言いたいところなんですけどね僕もそうして欲しいと思うよ、助けてもらってはい終わりじゃねぇちょっと男が廃るってもんでしょう」

「パーティーには女の子がいるってことも忘れないで欲しいわ、まぁ私も賛成だけどね」


彼らのパーティーはアイリスに恩を返したいと言った。そう言われて「大丈夫です」なんて言えるほど。アイリスは人付き合いが得意ではなかったし、誰かに何かしてほしいと言われることに慣れていなさ過ぎて思わず


「わかりました。お言葉に甘えさせて頂きます。」


と言ってしまった。

彼らもホットした表情を見せていた。

彼らに案内されるがままついていく道中で彼らについて詳しくなった。

少年たちのパーティーはアースの怪物:レイがオールラウンダーとしてパーティを支え、リーダーのゲンジが遠距離からのアタッカーとして中衛に入り、サブリーダーのミノルがヒーラーとして後衛、あとは近距離アタッカーのリョウジ、中距離から槍を操る、サクラ。同じく中衛のヒカル。

で成り立っていた。ウォンと呼ばれる男とやり取りしていたのは、リーダーのゲンジだった。

ちなみに詳しく教えてもらった。彼らの能力はこうだった

【ゲンジ】:17歳

リーダー

中衛:アタッカー:二刀流(共に日本刀)

技:アースによる斬撃を放つことが可能、二刀流は本人評価はそこそこらしい

特殊能力:特筆すべきものはなし

【ミノル】:16歳

サブリーダー

後衛:ヒーラー:短剣、杖剣(アースの流れを補助してくれる業物、代々受け継がれてきたもの)

技:杖剣によりアースを分け与えることが出来る(ヒール)、短剣の扱いが実は上手いらしい

特殊能力:細胞活性(血筋による能力)自身の怪我を治すのが早くなったり、身体強化のドーピングができる。

【レイ】:16歳

パーティメンバー:人見知り、寡黙

オールラウンダー:刀(刀身は流麗であり切れ味は一級品)

技:?

特殊能力:ハイパワー(アースの保持量が膨大になる)、?

【リョウジ】:16歳

パーティメンバー

前衛:近距離アタッカー:棍棒

技:ぶっ叩く

特殊能力:筋肉肥大

【サクラ】17歳

パーティメンバー唯一の女子

中衛:中距離アタッカー:特殊な武器、大きなリングに刃がついている

技:リングについている刃とリングという武器の特性を活かして戦闘に参加する

特殊能力:特筆すべきものはなし

【ヒカル】18歳

パーティメンバー

中衛:中距離アタッカー:槍

技:槍術

特殊能力:特筆すべきものはなし


といったところだ。

彼らが丁寧に説明してくれた。

されにしても年齢を聞けば彼らは少年というほど少年ではなかった。同い年のパーティーメンバーもいた。

それにしてもレイの能力があからさまに高いと思っていたが、個々の能力も高かった。

パーティとしての動きもなかなかのものだった。

しかも宿ではなくパーティの家、パーティハウスを持っていた。

小さな町の戦線支部のようなパーティーハウスだった。

リビングと小部屋が7部屋うちの小部屋の一室を貸してもらうことになった、

バイクは止めるところがないから玄関口におかしてもらった。


「いいもんだろ」


リョウジが誇らしげに胸を張る。


「そうですね、素晴らしいと思います。」


パーティハウスを建てるというのは彼のアイディアらしい。


「とりあえず、ご飯にしましょ」


パーティー唯一の女子、サクラが言う。


「待ってましたよ」


ミノルはどうやらサクラのことが好きらしいということをゲンジがこそっと耳打ちしてくれた。

パーティのみんなでご飯の準備をしていく。

彼らの仲睦まじいやり取りは、少年、少女の仲の良さを想起させる。

食卓に着くと、彼らは手を胸の前に持ってきて


「「アースの恵みを」」


といった、アイリスはどこの宗教か分からなかったが、それにならった。

あの人の言葉が不意に頭によぎった。



『アースをお前は上手く使いこなせていない、天狗になるな、世の中にアースを上手く使える人間なんてこの世にほとんどいないんだ。』


アイリスは思わずゲンジ達に聞いてしまった。


「アースの恵みをってどこで聞いたのですか」

「ここらの人たちとか、身寄りのない人達はみんな言ってるよ。アースのおかげでまだ生き残ることができるってね」

「そう、ですか」

「嫌だった?」

「いえ、ただ育ててくれた人も同じことを言っていたなと思い出してしまって、思わず聞いちゃいました。」

「僕らもノリみたいなところがあるから、全然嫌だったほんとに大丈夫だから言ってね。恩はちゃんと返したいしね」


ゲンジが言うとパーティのみんなが頷いた。


「ま、ま、ま、さ食べましょうー!」


ヒカルが空腹で耐えられないと音を上げた。

ひとりで食べるのではなく人と食事をするのはアイリスは家族がみんな一緒にいた時のことを思い出させた。

どこか温かな人間味を彼らから感じた。

食事が終わると、みんなで片付けし、各々が部屋に戻った。

アイリスは自分のために用意されたベットに横になり、目を瞑った。

色んなことが想起される。


「今日は色んなことがありました、アシュ、私は…あの頃に戻りたい」


アイリスの脳内にはあの頃、戦争前のことが思い出される。


次の日、彼らのパーティーとアイリスで狩りに行くことになった。

彼らは狩ることでお金を稼ぐだけでなく、灰から国を取り戻したいと考えているようであった。

アイリスはただの贖罪でしかなかったから、少し彼らの崇高な思いとは、別なところにあったのだが

それもあってか、アイリスは彼らと会話するのは心が痛かった。

なんでなのかはアイリスに答えがあった訳では無い。

彼らの仲の良さに触れる度にそう思うようになって行った。




拙い処女作です。

もし読んでいただけたならとてもうれしいです。

自身があまり時間を取れないために、投稿の頻度がとても遅いと思います。

それでも完結までは頑張って書いてみようと思います。(どんなものでも区切りをつけたいと言いますか)

日々精進してまいります‼

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