表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

41/53

2-5 Fランク、レベル0

 というわけで、早速今回のゴールを目指すわよ

 私がこの世界の影の支配者として君臨する記念すべき第一歩なんですもの

 気合い入れてかからなくっちゃ


 アルバート会長にエドモンド副会長のことを好きになってもらうのね


 ええっと、好きになってもらう方法ね


 好きに、なって、もらう、方法、……よね?


 方法、方法、うーん……


 うわわぁん! 全然思い浮かばない!


 ちょっと! いったいどうした私

 ゲームでは数々のBLカップルを成立させてきたじゃない

 そんな私の手にかかれば、アルバート会長にエドモンド副会長のことを好きになってもらうのなんか、「お茶の子さいさい」なはず

 その私が全然アイデアが浮かんでこないなんて、ありないはずなんですけど


 なんで? なんでアイデアが浮かんでこないの

 どうして? どうしてゲームではうまくいっていたことが、現実ではうまくできないの


 もしかしたら前に言った「バタフライエフェクト」の影響が現れてきているの?

 私のゲーム『うるわしの君たちへ』の知識が通用しなくなってきているの?

 でもそれにしては早すぎない?


 私がこの学園に入学して、まだそんなに日数はってないよ

 もし「バタフライエフェクト」が原因っていうのなら

 影響が出るのに少なくとも1か月はかかるんじゃないかな

 というわけで、この線は却下


 なら、何が原因?

 迷った時は基本に戻る

 ゲームではどうやっていたかを思い出すのよ


 仲良くなりたいキャラと会話して

 表示された選択肢から適切な応答や行動を選ぶのよね


 えっ? 「選択肢」


 そう言えばここはゲームの世界なはずなのに

 1回も選択肢を見たことない!


 自分が次に取るべき行動は、与えられた選択肢から選ぶんじゃなく

 全部自分で考えないといけないんだ

 アルバート会長にエドモンド副会長のことを好きになってもらう方法は

 全部自分の中から引っ張り出さないといけないんだ


 えーっ、そんなの絶対無理

 この世界での12年間、そんな経験一度だってないし

 26年生きた前世でも、成功した経験は同じく1回もなし

 いわばいまの私は、こと恋愛に関しては

 Fランク、レベル1

 いや、レベル0


 華々(はなばな)しくスタートするはずだった「Project Q」ですが

 たったいま、無事死亡しました

 ご愁傷様しゅうしょうさまです


 んなわけないでしょっ!


 たしかに私はリアルの恋愛では「Fランク、レベル0」かもしれない

 でも『うるわしの君たちへ』ではそうじゃない

 思い出してみて。あの渡り廊下でアルバート会長に「あごクイ」された時のことを

 私は咄嗟とっさに正しい応対ができたわ


 つまりいまは取るべき対応が思い浮かばなくても

 いざその場面になったら

 私の膨大な『うるわしの君たちへ』のプレー経験が

 そこで取るべき行動を教えてくれるはずよ


 自分を信じるのよ

 私自身が信じなくて、他のだれがこの私を信じてくれるというの

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ