表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/53

プロローグ④

「なるほど。こういうのに興味があるのか」


 さっきのと同じ声が今度は頭の上から降ってきた。背の高い、おそらく上級生のその生徒は、いつの間にか僕のすぐ脇に立ってあのふたりの様子を眺めている


「い、いえ……。偶然見てしまって……」

「別に隠さなくてもいい。ここではこういった光景は日常茶飯事だからな」


 さらっとした言葉。本当に見慣れているのだろう。「こんなことは特別でもなんでもない」といった様子がうかがえる口調

 そしてさらには僕の目の前に顔を近づけると、右手で僕の顎をくいっと持ち上げた


「ふむ、見かけない顔だな。新入生か。君、名前は」


 ハッとした。似たような場面、確か“アレ”の中であったよね。ええっと、こういう場合に取るべき態度は


 僕はその手をはねのけた。そして少し下がって距離を取ると、いくらか強めの口調でこう言った


「人の名を尋ねる時は、まず自分から名乗るのが礼儀ではありませんか」


 上級生の取り巻きの顔色がさっと変わった


「こいつ、殿下に向かってなんて口のきき方を」

「よい。それより“殿下”はめろといつも言っているだろう」


 「殿下」と呼ばれた彼は、なんならすぐにでも僕に向かって飛びかかって来かねない取り巻きを、手のひらひとつでさっと制した


「すまない。私が悪かった。たしかに君の言う通りだ。こちらから名乗るのが筋だったな」


 そして姿勢を正すとこう言った


「私の名はアルバート・ド・アンセルフ。この学園の生徒会長をしている」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ