2-3 私にやれること
私は後になってから「あの時やっていれば」って後悔するのは絶対にイヤ
やらずに後悔するよりやって後悔
だから私は私にやれるだけのことはやるつもり
手始めには何をやろうかな
いま一番問題なのは「ルートがわからない」ことよね
「主人公がわからない」のが問題なのは、ルートを把握するには主人公がだれかを特定するのが一番だから
でも実際、ルートがわかるなら主人公は後回しでもいい
逆に、主人公がわかってもルートがわからないなら何の意味もないの
ルートがわからないなら作ってしまえばいいじゃない
私の手で、だれとだれをくっつけるか決めてしまえばいいのよ
うん。なんだかワクワクしてきたわ
私がこの世界の影の支配者になる気分
しかもこれには別に大きな利点がある
いまの私が、攻略対象者たちから好意を寄せられて困っているのは知っているわよね
これをどうやって解消するか
一番いい方法は、彼らに私以外のだれかを好きになってもらうこと
つまり私が攻略対象者たちがだれとくっつくかをコントロールできれば
自動的に彼らの私に対する好意を解消できるって寸法
まさに一石二鳥
ひと粒で二度美味しい
そうと決まれば早速取りかかりましょう
現在の時点で、攻略対象者の間で好意を抱いているのがわかってるのは次のふたつ
・エドモンド副会長はアルバート会長に恋をしている
・オリバーはちい兄さまのことが好き
だからこの逆方向にも好意を持たせるのが簡単そう
アルバート会長にエドモンド副会長のことを好きになってもらって
ちい兄さまにオリバーのことを好きになってもらう
これがいいかな
でも、ちい兄さまについてはちょっと複雑な気分
ちい兄さまはたしかにあんなこと言ったけど
あれはあくまで「私が妹でなく、たとえ男でも兄弟ではなかったら」という条件付き
いまのちい兄さまと私がなんかなってしまうとは考えにくいの
だからできればオリバーにはフェリックスとくっついてほしいのよね
もしオリバーがちい兄さまとくっつくと、フェリックスが余っちゃうしね
もう、なんで『麗しの君たちへ』の運営は、攻略対象者を5人にしたのよ
どう考えても偶数にすべきだったでしょ
奇数ならひとり余るって、小学生でもわかるじゃない
まあ、愚痴っても変えられないものはどうしようもない
だからまずは、アルバート会長にエドモンド副会長のことを好きになってもらうのに全力を尽くしましょう
もしかしたらこのふたり、もうすでに相思相愛かもしれないしね
オリバーのことは、その後に考えるとしましょうか