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水瀬 -妹-
水瀬の母:祥子は、人目をさけ邸の奥に暮らしていました。水瀬は早くに乳母に預けられ、母に会う事は殆どありませんでした。
水瀬の周囲には平家ゆかりの日王・月王やその他、父:勝盛が祥子の侍女や、一族の女性との間に儲けた妹たちがいました。
許婚である浪牙と仲睦まじくなるようにと、幼い時から浪牙の家で育てられました。
少年だった浪牙が水瀬の世話をする事もありましたが、浪牙が水軍の仕事をするようになると、水瀬は滝夜叉の別邸に暮らすようになっていました。
日王・月王は、水軍には従事せずに水瀬に付き添っていました。
水瀬にとって浪牙は、幼い頃から自分を守ってくれる兄のような存在で、浪牙の事は好きでした。将来の夫して頼りにしていました。
浪牙がいる事を当然と思っていたので、自分の浪牙に対する感情が何であるかを考えた事はありませんでした。
一族は勝盛の棟梁としての手腕を認めていましたが、勝盛が元平家の武人であり、水瀬が平家の姫との娘であることで政治にまきこまれる事を危惧していました。