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第1話 小説家になんてなるんじゃなかった

 小説家になんてなるんじゃなかった。


 青春時代を過ごしたゼロ年代のライトノベルに憧れていくつもの新人賞に応募し、大手レーベルの優秀賞を受賞して作家デビューした所まではよかった。


 しかし、審査員にはあれだけ褒めて貰ったのに、第1巻の初版を8000部も刷って貰ったのに、俺のデビュー作は全く話題にならなかった。


 辛うじて刊行できた第2巻の売り上げはさらにガクンと落ち、俺のデビュー作はそこで終わってしまった。


 担当編集者と相談して作り上げた2作目、3作目は第2巻を刊行することも叶わず、出版社から事実上の戦力外通告を受けた俺はプロ作家として生きていくのをやめた。


 あくまで趣味と割り切って書き始めたウェブ小説も読者からは古臭いと見向きもされず、ウェブ小説の文脈を理解できない俺は現代日本のエンタメ業界に必要とされていないと分かった。



 それなのに……


 高校生の頃に美術部の活動で描いていたイラストをウェブ小説の宣伝になればと「ピクスティブ」に投稿してみたら、小説とは比べ物にならないほどPVが増える。


 小説は旬を過ぎれば見向きもされなくなるのに、イラストは投稿してから時間が経っても見てくれる人がいる。


 そのことに気づいた俺は小説を書くのをやめて絵の練習をやり直し始めたが、30代後半にもなった俺が今更漫画家やイラストレーターになるのは難しいだろう。


 本業である会社勤めでは係長に昇進できたし、既に妻子ある身にもなっている。



 俺は人生で芸術家として大成できなかったが、もし息子が小説を書きたいなどと言い始めたら、その時は小説家になんてなるなと言ってやろう。

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