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ゲーミングヤンキー〜喧嘩最強の男、少女となりて激走する〜  作者: アスク
第二章 Hurtling Burst -online-〜超高速のその先へ〜
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土星の上の不死鳥





コース【サターンサークル】

土星を模した巨大球の外側を左回りに一周する。あの特徴的な輪の上を走るのだ……が、あの輪というのは数多の小惑星が集まってそう見えるだけで、実際は障害物だらけの危険コースを走らされることになる。


 ヒナタ、燕歌、そしてロックの三名による練習試合はこのコース場で行われることになった。


「ミンナ個性的デスネ!!」


 とTYRANNUSメンバー二人の機体に目を向けて率直な感想を述べている。二人は「君もね」も返す。

 かなり質量を削った小型高速機に乗るのがヒナタ。そして……機体のど真ん中に長い長い砲門が鎮座しているのが燕歌だ。

 そしてロックはお馴染みゴールドルチルのようなスタンダードな戦闘機型に見えるが、そのフォルムは鳥である。





◆◆◆◆◆◆




 スタート。

 この試合、先に言うと全員ゴールすることなく墜落する。





 まずは高速機に乗るヒナタは機体を急加速させ、すぐに平均的な走行速度にのる。

 その中段にロックの機体が連なる。

 さらにその背後にいるのは燕歌の機体だが、今のところ普通に動いている。ロックの背後にピッタリついた。


 そもそも後ろを見ず独走するヒナタを置いといて後ろに脅威がいる。


「ナルホドォ【自動操縦】ヲ搭載サセテマスネ?」


 燕歌の機体の挙動から一瞬で看破する。本人ではなくCPUが制御していると。

 ……その機体は戦車型といったところか。明らかに相手をスピードで抜かすような気配は無く、敵を撃滅し勝利を掴むというコンセプトが見た目からしてわかる。


「ムムッ!?止マリマシタ!?」


 それから燕歌の機体が完全停止した。かと思えば、次の瞬間、閃光弾が右翼を貫く。


「excellent!! 小惑星ガアッテ狙いヅライ筈なのニ。ヨク当テマスネ!!」


 頭のおかしい(見事な)射撃を見せつけられ、ロックからすれば「敵ながら天晴れ」と言った所。だがしかし、これで終わるはずもない。


「regeneration‼︎」

「なっ!?なんだそれは!?」


 なんと機体が自動修復していくではありませんか。これには燕歌も思わず驚愕する。撃たれても堕ちない機体があるとは思いもしないだろう。


「ワタシノ機体名ハ、【PHOENIX(フェニックス)】デーース!!」


 まさしく不死鳥の如し。

 しかしよく見ればカラクリは簡単だ。右翼部分に小さな機械が複数くっついている。蛍のように黄緑色に発光するナノマシンが翼を甦らせているのがわかる。


「よし、ではその修復機を狙い撃ちしよう」


 再び自動操縦に戻り、砲門を定める。じっくりゆっくりと。その間に差はどんどん広がってしまうが、射程範囲がとてつもなく長いので問題ないだろう。


「……そこ」

「残念"誘イ"デス!!

「!?」


 燕歌のクセは狙いが定まった瞬間に停止と発射を同時に行うこと。故に判断を少し間違えると致命傷になる。そしていま、ミスをおかした。


[主砲が損傷。発射できません]

「あっ!」


 見ればロックの機体は宙返りし、弾丸を2発撃ち込んだ後だった。反撃を差し込まれたのだ。


「相手を撃っテイイノは撃たレる覚悟のアル者だけデーース」


 delete‼︎

 燕歌は逆に撃ち返されて撃墜されてしまう。狙撃戦法の弱点が明確に現れた試合だった。







 中段で攻防を繰り広げていたおかげでヒナタは一人旅の独走状態だった。

 だが彼はその実ヒヤヒヤしながら機体を制御している。


「危ない!危ないって!ああ!小惑星邪魔!!」


 速度を上げれば上がるほど、浮いて飛ぶ岩に激突する可能性とその威力は高くなる。

 これは高速型の宿命だ。速度を上げれば脆くなり、ステージギミックに粉砕される。


「苦戦シテマスネ‼︎」

「うっ!もう追いつかれた!?」


 岩を諸共せずに突き進む不死鳥はすぐそこに。スピードが死んでる高速型と、スピードを殺す事なく突き進む耐久型ジェット機、どちらが有利かは明白だろう。


「shot‼︎」

「あっ!!」


 ただでさえ思うように走れないヒナタ、そこに攻撃を加えられるとさらに速度は落ち。その瞬間に追い抜かされる。


「ヘーーイ!!私ガNo.1‼︎」

「く……させるか!!」


 ぽっとでの謎女に負けてたまるかと、ヒナタは勇気のアクセルを踏み込んだ。このまま暴君(TYRANNUS)の名を穢すことはあってはならない。


「いっけえええ!!パージショット!!」

「oh my god!!」


 ヒナタの機体から打ち出されるは鋼鉄の装甲。名前の通りの攻撃だ。これにより前方の相手の撃破を狙いつつ重量をさらに減らし速度を上げることができる。

 高速ポッド型は攻撃性能が低いという固定概念を逆手に取った1発限りの技。


「避けれないよ!!なぜならその装甲……」

「ッ!?」

「粘着弾付きだ!!」


 delete‼︎

 なんとヒナタ、仕込んだ罠でロックを撃破する。あとは完走するだけで首位を勝ち取った!!

 勝ち取った!が!パージショットで身軽になり速度はみるみる加速していき操作難易度は急激に上昇する。


「くっ、このじゃじゃ馬!」


 ハンドルは振動し、機体は悲鳴をあげ、エンジンから明らかに出てはいけない音が……


「耐えろ!もう少しでゴールだ!」


 小惑星に当たり撃滅してしまうことはもう考慮しない。突っ込め、差し込め、滑り込め、あとはゴールテープを切るだけだ!


「うおおおおお────ああああ!!」


 delete‼︎

 空中分解!!ゴール目前にして機体はスピードに耐えきれず爆破!パイロット【エージェントバニー】はそのまま宇宙空間に放り出され、頭が隕石にぶっ刺さって死亡した。惜しくもパージのタイミングを焦ったか。

 高速型に乗る以上、技量による影響は大きく、要求値は高い。ヒナタの操作技術には未だ課題が残っているのであった。






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