初陣は風をきって:01
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【ロリポップ・パンクラッチ】
150円にしては良質な格ゲー。ただしキャラはみーんな可愛い幼女。これやってる奴は間違いなくロリコンです。幼女に責められたい変態さんや、幼女に腹パンしたい変態さんや、幼女TSしたい変態さんは是非やりましょう。
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「カッハハ、ハハッ!お前最初に初めたゲームが"ロリパン"て!ヒーハハハッ傑作ぅっ」
「笑うな、手違いだ」
俺にゲームを勧めた張本人の虎紀、爆笑である。
「どうだ?ゲーム楽しいだろ?」と迫るので現状報告したらこれだよまったく。俺だって好きで女の子になってるわけじゃあねえんだよ。
「お前ってロリコンだったんだな!かあっはっはっ!!」
「ちっっっっげえよ!!」
違う。断じて違う。俺はそっちの趣味はねえ。ロリパンを始めた理由は他でもなく安くて良質かつ戦うゲームだからだ。
「まっ、別にお前がそういう趣味ならそれでヒテイしねーぜ?……でも、お前が、あの喧嘩最強の、お前が、ロリっひっひっひっ」
もういっそそのまま笑い死んでくれ。クソ、嘘ついて他のゲーム言えばよかったわ。
「あーおっかし……けどその様子じゃまだ止める気は無さそうな?」
「ああ、ちっとな」
「強えやついた?」
「いた。死ぬほどウザくて俺よりずっと強いやつがな」
間違っても13連敗したことは言わない。絶対にめんどくさいからな。
さて、クソ話は程々に、俺はゲームの続きをするとしよう。
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「『Sランクで待ってる』か」
さぶくれん改めて久憐なる者が送ってきたメッセージを見返す。
で、一つ疑問がある。
「おい猫」
[チャンチーよ!いい加減覚えてほしいわ]
呼び出したら出てくる黒猫。にしてもAIの技術ってすげえな。本当は中に人入ってたりして。いや、それはどうでもいい。
「Sランクってなんだ?」
[ついに聞いてきたわね?]
待ってましたと言わんばかりに黒猫はえっへんとふんぞりかえって、爪の先を彼方に向けた。そこは、"ランクマッチ"という電光掲示板が浮いているゲートだ。
[Sはランクマッチにおける最高ランクね!]
1on1をする前に少し気になってた場所でもある。ランクマッチどっかで聞いたことある気がする単語だ。
[ランクマッチでは1on1同様、オンライン上の誰かと対戦できる場所よ!]
黒猫は[ただ]と付け足して続けた。
[1on1と違って、勝てば上がって負ければ下がるランク付けが存在するわ!]
「ほう?おもしれえ」
てことはだよ?強さが明確に示されるってわけだ。誰が強くて誰が弱いか一発でわかる。なんだよめちゃくちゃ面白そうだな。
[ランクは大まかにS、A、B、C、D、Eの6段階。さらにそこから3段階に分かれて合計18段階よ!]
「多いな」
久憐が言ってたSは当然ながら最高ランクか。
「ちなみに俺のランクは今どこだ?」
[最初はみんな一番下、E-3ね]
E-3の次はE-2そしてE-1を経てようやくD-3だそう。
千里の道も一歩から。最下層から最上位まで勝って這い上がる。ランクマッチ、いいね、沸るぜ。これはもうやるしかない。
「ようし、早速やるか」
腕や足を伸ばして準備運動をする。てか見るたび思うけど細いなぁ!ちゃんと飯食えよ【ミルキィ・クラッシュ】
[待って。まだ重要なことを言ってない]
「ああ?」
黒猫は長く喋る。
[ランクマッチは1on1と違って6人同時対戦。最後まで生き残った者が一位になるバトルロワイヤル方式よ!マップや敵の位置に気をつけることをお勧めする]
「ほうほう」
それから、とさらに付け足す。
[それからこのルールにはアイテムがあるの]
「んあ?アイテムだと?」
おっと、急に頭が痛くなってきた。あまり難しくするなよ、俺はそこまで記憶力は良くねえ。
["ポンキャンディ"よ、手に入れれば身体能力がアップ!戦いをより有利に進めることができるから覚えてちょうだい]
画像が表示された、まんまロリポップキャンディだな。なになに?
『エリア内に落ちているのを拾う』か『相手プレイヤーを倒す』ことでゲットができると。
[そしてこのポンキャンディをたくさん集めると、なんと!]
なんと?……ちょっと当ててみようか。
「あーー、覚醒するんだろ?」
[その通り!一試合で一度だけ使える覚醒技が解放されるわ!これで相手をぶっ飛ばすのよ」
正解だった。ポンキャンディのポンがそっちの意味かと思ったらマジだったわ。
ポン、覚醒してハイになって飛ばして気持ち良くなったらまた次の試合。こうしてロリポップ・パンクラッチの中毒になるってわけか。うまい作りだよまったく……なんつってな。
「おーけー。なんにせよ俺が5人まとめて潰せばウィンってわけだ」
アイテムだなんだ多少あるが、結局最後まで生き残った者が一位。俺みたいなバカでもわかる単純なゲームだ。
「E-3からS-1まで駆け抜けるぜ!」
[マッチングしたわ]
まずウィンドウが開いて全体マップが表される。次にマップに沿ったエリアが構築されていく。早回しで行われる高速工事はすぐに終わる……ここは巨大な立体駐車場となった。
次に目の前に対戦相手が現れる。5人のぼやけたシルエットからだんだん輪郭が象られてそして姿を表す。
「さて、どんな奴がいるか楽しみだな」
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鬼葉
ランク:E-3
【ミルキィ・クラッシュ】
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911アイサーサー
ランク:E-3
【ホウィップ・スカイハイ】
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ゆの
ランク:E-2
【ホウィップ・スカイハイ】
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ローハナ
ランク:E-1
【ホウィップ・スカイハイ】
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袴安十郎
ランク:E-1
【ホウィップ・スカイハイ】
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シト・ヒナタ
ランク:D-3
【ホウィップ・スカイハイ】
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「全員同じ顔じゃねえか!」
流石に18試合も描写はしませんよ!?