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ゲーミングヤンキー〜喧嘩最強の男、少女となりて激走する〜  作者: アスク
第二章 Hurtling Burst -online-〜超高速のその先へ〜
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談笑、筋者とゲーマー:02




「アイテールのみなさんごきげんよう。ウチァ"TYRANNUS"の頭張ってる、鬼葉(オニノハ)だ。よろしくなァ」


 おいおい、唖然とするなよ一同。こんなにも可愛い可愛い女の子がリーダーだとは思わなかったかい?ウチだぜ、ウチウチ。


「お、鬼葉どうしたの?抑揚の付け方がなんというか」

「一人称もあいまって急に女を出してきたのはなぜなんだい?可愛い通り越して不可解だ」


 ヒナタ、燕歌の両名がひそひそ声でそう言う。おいおい交渉は第一印象から始まるんだぜ?いかに相手を揺さぶるか考えたらよォ、油断させた方がいい。

 これ最高のやりかただろ?と説明してやると、微妙な顔をした。

 おいおいお前ら見たかったろ?俺が女を演じる所を。

 んえ?そうでもない?はいそこコンクリ詰め。この俺様を苦労させた結果が何も無いとか許さんからな。


「じゃあ次……ボクね。プレイヤーネーム、シト・ヒナタ!よ、よろしく。あっ一応漢字で書くと紫に兎に太陽の陽っていう設定だよ。あっ、その情報いらない?うん、ごめんね」


「私は、まあ紹介しなくても知っているだろうが、燕歌(エンカ)と、ここでは名乗っている。だからくれぐれも東雲、というでないぞ。本名バレはしたくないからな。よろしく頼むよ、アイテールの殿方」


「「本名東雲っていうんだ」」

「あ"」


 AtoZのチャットルームで、3対4で対談がはじまる。まずは自己紹介からだろ?俺たちはやったぜ。さあはやくやれよ野郎共。


「"チーム:アイテール"リーダー、シロサギだ」


「同チームメイト、レイヴンa.k.a衝動だ。レイヴン、衝動、好きな風に呼んでくれ」


「同じくチームメイト。緑雀(ミドリスズメ)


「監督の小尾(オビ)と申します。本日は、何卒よろしくお願いいたします」



 アバターだから別に見た目のアレとかほぼ関係ないだろうが。こいつらがどんな奴か簡潔に説明すると。


 まずシロサギ、中二くさいアルビノ少年。言うことねえよそれ以外。

 次、なんとかかんとか、真っ赤な革ジャンを着た青年。今のところ俺らから見て一番好感度高いぜ。

 で、緑雀。WAHUKU、HUTOMAYU、YAMATO NADESHIKO‼︎ おー、ロリパンのキャラにいそう。

 最後に小尾、白コートに金縁眼鏡にリーゼントのおっさん。なあ、こんな絵に描いたようなヤクザいる?


「おーけー。んじゃ本題に入ろうか、買収したいと、な?」

「ああ」

「先に言っとくが……答えは内容によっては断るかもしれないぜ」




◆◆◆◆◆◆




「先に言っとくが、俺は相手がどんな内容を掲示しようがノーと答えるぜ」


 前もってヒナタと燕歌にそう伝えた。断るかもじゃねえ、ぜってえ断るってことだ。

 ヒナタはどういうことか詳しく説明してくれと詰め寄ってきた。


「俺が欲しいのは情報だ。相手が何者でどこの差金かを炙り出す。だから商談に応じるだけ応じるってわけだ」

「なるほど。だから交渉条件が旨かろうがもはや関係ないんだね」

「ったりめーよ。今の俺の最高価格は正々堂々と勝負することだ、つまり始まる前から交渉の余地はねえのさ」



◆◆◆◆◆◆




「まず値段から掲示しよう240万で買収する」

「え"にーまるよんぜろ!?」

「落ち着けヒナタ」


 優勝賞金と同額をぽんと出してくるあたり相当だな。裏で回ってる金の量は文字通り桁違いらしい。ただそれと同時になんとしてでも買い取ってやると言う強い意志を感じる。そうだろうな、しくったらバラされるんだ。

 が、ここはあくまでカタギっぽく対応する。もちろん舐められないように姉貴感を出していってな。


「そんな大金を払ってまでウチらを買取りたいって、理由を知りたい所だな」

「それも、そうでしょうな。では理由を説明するとしよう。」


 狐のお面を被ったようなわざとらしい笑顔。さすが燕歌が言ってた通り胡散臭いが服を着て歩いているような奴だ。聞こうか、理由という名の言い訳を。


「なんとしてでも、チーム:アイテールを勝たせたいのだよ」


 はぁ。


「勝ちたいのはウチらとて同じだ。賞金ではなく。そこを譲るだけの理由が欲しいんだけどな」


 白コートのヤクザ男は目を瞑った。それから独白する。


「……この大会は、所謂2部リーグだ。アマチュアが参加できる大会という位置付け。我々のような駆け出しプロチームにとっては、賞金以上に重要なものがある」

「それは?」

「それは、1部リーグの出場権、鳩バスのようなマイナータイトルではなく、世界的な主力となっているメジャータイトルだ。日本代表戦に選考されるには、それなりの実績がなければ門前払いされる」

「ほーう」


 そら知らなかったな。

 もう少し聞くと彼らは元々有名FPSタイトル【Stand(スタンド) Alone(アローン) Dopeness(ドープネス)】における日本代表になることを目標にしていたという。

 しかし時期悪く、そのタイトルでの大会は予選前の抽選漏れでしばらく出場を逃し続けていた。始まりすらしないのだ。


「そんな我々が一部リーグ出場を今すぐに獲得する方法は一つ」


 別タイトルのマイナーゲームでの大会で優勝を重ね、実績を持って抽選を抜ける。「別ゲームの〇〇大会優勝チーム」という肩書きがあれば、抽選運ゲーではなく普通に出場抜擢されると。これは案外プロを目指す者たちの中では正当法だったりすると。

 なるほど、なかなか真っ当な理由づけじゃねえか。それを金で買おうとしてること以外はな!


「でなんとしてでも勝ちたいからウチらを買収したいと。まあつまり『負けてくれ』と」

「あまり良い言い方ではないな。『協力してくれ』ということだ」

「良いも悪いもねえよ。商談になってる時点でウチらは悪者だろ」

「それもそうかもしれない」


 わはははははと笑う俺は本当に薄ら笑いってやつだ。

 さて、今の話が本当かどうか探らねえとな。


「ただどうなんだ?金で一位を取るのは。ウチとしては監督の意向より、選手の意見も聞きてえ所だな」


 話題をシロサギたちの方に振る。俺は目をじっと合わせて離さない。シロサギは言う。


「日本代表を目指すためだ。俺たちは……勝利こそが全て。こんな通過点で転んでいられない」

「……そんなに代表になりたいか」

「そうだ!!」


 声を上げたのはシロサギではなくなんとかかんとか、もといレイヴンa.k.a衝動という人物だ。


「俺たちは他でもない、高みを目指すためにやっているんだ!!お前、疑っているんだろう!そこに嘘偽りはなく、俺たちの想いは本物だ!!わからないだろうがな!!」


 シロサギも、緑雀も、交渉相手を怒鳴ってしまった仲間を止めるために出るが、レイヴンを責める様子はない。いや、一人だけいるか。


「騒ぎ立ててしまってすまない。許してくれ」


 ほらお前も謝るんだよ!といわんばかりだなこのおっさん。これが競技チームの監督とか聞いて呆れるぜ。

 選手3人は頭を下げた。

 しかしこれで証明されたようなもんだ。志も本物、言ってることも本物に見える。どうやらチーム:アイテールの選手たちは嘘を言ってないらしい。と、すると、こいつらもしかして……。


「わーった。本気度はわーった」

「わかってくれましたか。では────」

「けど」

「!?」


 わかったのは選手の本気度だけだ。何が許せねえって、こいつらが仮に目標に到達したとして、日本を背負うビッグな存在になったとして、その後死ぬまでずっと罪を背負うことになるのだ。忘れようとしても、事実ってのは変わらないのだ。心には金で勝利してしまった大会が刻まれてしまうのだ。

 それは、あまりにも、あまりにもコイツらにとって残酷だ。

 シロサギ、いや、【チーム:アイテール】その虚しい顔を並べてる理由を俺ァ知ってるぞ!

 少し試させてもらうぜ!


「俺が、んな『小賢しくて、チンケで、クソザコで、ゴミカスみてえに情けないチームが、先に行って、栄光を掴むなど片腹痛え』って笑ってよ!

 そんな感じで哀れみ含めて爆笑してよ!

 お前らがそれすら許容すんならよ!

 お前らがその屈辱すらわからない本物の馬鹿だっていうんならよ!

 承諾してやらんこともないなァ〜〜〜!!

 その程度の低い頭を垂れて懇願しろ。『お願いしますクソザコの私たちは、このゲームでは勝てないので、鬼葉しゃま、どうか一位を譲ってください』ってやれるもんならやってみろ!

 それができりゃ承諾してやらんこともないなァ〜〜〜!!フハハハハハハッアーーーーハッハッハッハハハハハハハ………



 


……やってみろやボケェ」


「ちょ、鬼葉!?いきなり何言い出すんだよ!そんなの交渉どころじゃないじゃん!」


 【チーム:アイテール】陣営をこれでもかと侮辱してみれば、清廉潔白なヒナタが立ち上がった。俺は黙れと静止する。悪いな、ヒナタ。今は静かにしてもらう。俺は続ける。


「お前らはあくまで頼む側だ!どれだけ金積まれたってそれを断る権利もこっちにある!だったら目の前にいるこの鬼葉様に頭を下げてみろ!下げれるもんならな!」


 激震している4人はそれぞれ別の反応を見せる。別ってのは主に、監督と選手に分かれて。


「さあ、どうするッ!!」

 

 この俺と言う意味不明でキチガイな存在を前にどう対処する?その頭を下げれるか?いいや下げないだろう。

 それとも断るか?いいや"お前"は断らない!断るぐらいなら、バックボーンを出して脅した方が早いからだ。なんたっていまの"ウチ"はカタギなんだからな!

 脅してこい、それこそが俺の狙い!








「────『お願いしますクソザコの私たちはこのゲームでは勝てないので鬼葉さまどうか一位を譲ってください』」

「あ?」 


 リーゼント先っちょを床に擦り付ける。小尾監督が、その程度の低い頭を下げた。おいおいマジで?なんという軽い頭だ。プライドとかねーのか?


「「「監督……」」」


 選手たちはその光景を何とも言えないような目で見つめている。そりゃそうだ。


「お前たちも頭を下げるんだ」

「「「……」」」


 選手たちは沈黙した。

 ……すると、シラサギが前に出て膝をついた。そしてオウムのように言葉を繰り返した。


「「「お願いしますクソザコの私たちは、このゲームでは勝てないので、鬼葉さま、どうか一位を譲ってください」」」


 その顔は、監督と違い、屈辱に歪んでいるようだった。

 だから俺はこう答えた。


「断る」

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― 新着の感想 ―
[良い点] あまりのプライドの無さにリアルにドン引きしちゃいましたね…笑笑
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