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ゲーミングヤンキー〜喧嘩最強の男、少女となりて激走する〜  作者: アスク
第二章 Hurtling Burst -online-〜超高速のその先へ〜
59/82

天神、騒嵐、暴君 :11 「落雷縦断」



「現在順位、1位【チーム:アイテール】シロサギ、2位【The Tempest】ファーストワン。そして3位、【TYRANNUS】は我らが鬼葉」


 ここにきてレースらしく、みな一様にトップを狙って走り抜く。首位を防衛するシロサギそれを追走する鬼葉とファーストワン、その後ろに行列。


{はーたん最強!はーたん最強!}

{がんばえー}

{がんばえー}


 鬼葉を応援するコメントの数が多くなってくる。練習時にあれだけの醜態を晒していた者はそこにおらず。間違いなく試合を掻き乱す台風の目。


「まあ別にこのままゴールしても予選通過するから3位でもいいんだけどね……」


 堅実な走りをしてくれればそれで、と保守的な考えを持つヒナタはそう言う、が、ここにいるだれもが鬼葉がそう言う奴でないことは知っているだろう。


「私も、会って間もないが鬼葉殿がそれで妥協する人間には見えんな」

「脱落したら文句言ってやろう。それで【クリーチャークリエイト】12時間耐久配信やってもらうから」

「鬼かな。私あれやってみたんだがぶっちゃけクソg」


{あっ}

{あっ}

{あっ……察し}

{燕歌氏やったわこれ}


「……キミ、兎コレクションに加えることになるけどいいかな」

「神ゲーだったぞ」



◆◆◆◆◆◆



「風の噂で聞いた」

「それを俺に聞かせてくれるって?」

「そう」


 スタート直前の数分前、俺はファーストワン、というか波標にあることを聞いていた。それは。


「シロサギが、八百長とか、してるかもしれない」

「おいおいマジかよサイテーだな」


 どうやら俺の勘は当たってたらしい。妙にきな臭いと思ったんだ。

 曰く、参加者から数名を買収していると。まあつまりだ、240万なんて目じゃない額が裏で動いてる。よくある反社絡みの賭博ってやつかな。


「俺、そういうの、ムカつくんだよね」

「わおわおわーお、カエルの子はカエルってか?」


 ドーベルマンの眼光は警察犬のソレ。あの親にしてこの子あり。土俵は違えど悪は許さぬ性らしい。


「で?それを俺に言って、手を貸せってか?いくらなんでも無理だぜ。見えない組織は潰せねえ」

「だろうね。試合中だし。けど卑怯者には制裁をっていう気持ちはない?」

「んあ?まーないといえば嘘になるな」


 波標は言った。


「奴をここで撃墜してしまうことはできる……」

「ほーう」


 たしかに。

 予選に落ちりゃ、仕込み入れた奴らの計画は失敗だ。だから「手を組もう」ってわけか。


「わーった。本当にそういう動きをしてるとわかったら、組むぜ。一時的に(・・・・)な」











 で、本当にそれっぽいことしていたと。

 先行するシロサギを俺とファーストワンが追走する形だ。後ろから飛んでくるビーム光線の弾幕を避けながら距離をじわりと詰めていく。


「ようシロサギィ!さっきみたいに宙返りして、後退しねえのか?」

「可哀想だよ。もうそんな燃料ないんだろう。察してあげなよ」

「お前ら……グルか!」


 グル?まあそうだな。でもお前らよりよっぽど健全だと思うぜ。


「そりゃ、裏で金回してる奴が1番先頭走ってりゃ、2位以下は徒党を組むって話さ」

「金?どこにそんな根拠があるというんだ?」

「根拠?フハハハ、そんなもんいらねえ、疑いだけで落とす理由として十分だッ!」


 マグネットパルサー起動、俺の機体はゴールドルチルの金属装甲に吸い寄せられていく。


「らっしゃぁぁぁぁ!!」

「防御膜展開」


 青白く、みかんの皮みたいに開いた壁は機体と機体の間に割って入る。突撃は阻まれる、が、それなら第二矢を撃ち出すだけだ。アンカーショット発射!右翼下部に命中!


「俺の鎖はテメェを封じる。絶滅危惧種(シロサギ)は保護しなくちゃあな!!」


 ぐんと引き寄せて肉薄する。


「離れろ!」

「をぉぉい!あっぶねえ運転だな!」


 右に左、上に下、必死に舵を切って俺を振り落とすつもりらしい。必死だなオイ。だが俺ばっかに気を取られてっと……


「はい」


 猟犬に噛み付かれるぜ。

 ファーストワンのドローン一機が左翼部分に向かって突撃した。暴れ回るもんだから撃墜には至らないか。


「チッ、ゴール近いな」

「おーけー、んじゃいま潰すぜェ!」

「あっ、桃兄待っ」


 ボッシュートしろォ!本戦にお前いたらクソめんどくさいからなァ!ェえ?絵面的に俺の方が悪人に見えるって?おいおい本質をしっかり捉えてくれよ?どっちも悪でございまァす!


「こちら廃品回収者でェす!死ね金メッキがァ!」

「ボム」

「んが!?」


 まだ1発残ってたんかーーーい!ぬォォォ!?メーデーメーデーワレソウサフノウ!ここで爆死はダサすぎる!しかしこりゃ……避けられん!


「ガード!」

「ひゅっ……!?」


 目の前に割って入った小型ドローン。爆炎はそれにかき分けられ分散し、ちょうど俺の機体が入るくらいの安全圏を生み出す。どうやら狗飼の息子に守られたらしい。


「危ないところだったね【傭兵のウルフ】」

「サンキューだ【宇宙警察ドーベルマン】」


 向き直ると、シロサギのゴールドルチルは急速に高度を上げ始めた。みればゴール位置がかなり上の位置にある。いや、俺たちがシロサギ撃墜に夢中になってる間いつのまにか降下しすぎたらしい。


「……って、おいおいやべえ」

「さっきの桃兄さんと同じことされた気分」

「後続に追い抜かれてんじゃねえか!」


 そこにはちゃんと一直線にゴールへ向かう、10機を超えるマシンの数々が。やばくね?普通に予選落ちはやばくね!?


「もう落とすとか言ってられねえ……」

「奇遇だね。俺もそう思うよ」

「そんじゃ、シロサギはもう構わず」

「「ラストスパートだ」」


 俺とファーストワンがアクセルを踏んだのはおそらく同時、シロサギの後を追うように、否、追い抜かすスピードで雲の滝を登る。


「ようシロサギ……そして、じゃあな!」

「お前ら!?何故まだその速度を出せる!?」


 何故?そりゃ節約してるかどうかだ。俺は風力と磁力による軽量化、ファーストワンは攻撃手をドローンに任せてるから自分で激しい運転をする必要がない。お前はどうだ?さっきアンカーを振り解くために随分と燃料を使ってたようにみえるぜ?


「1位に座るのは俺だ!」


 撃墜できないのは悔しいが本戦で覚えてろ。とりあえずこの一戦は俺が貰う!


「おいおいお前ら。いいのか?このシロサギの前に出たということは、主砲の口の前に出たということは……クイックショットの餌食だ」


 燕歌曰く、シロサギは若き天才であり、百発百中の射的の名手らしい。どんな体勢どんな場所からでも必ず相手に当たると、都市伝説じみた噂で知られる。しかしどうだろう、銃のメンテを疎かにしちまったなぁ?


「撃てねぇよ、砲台はもう死んでる」

「!?」


 俺のアンカーショットで右翼に、ファーストワンのドローンで左翼に、それぞれ損傷が入ったはずだ。クリーンヒットさせて落とすつもりがどちらも外れて落胆していたが、なんと砲門を破壊していたらしく。この最終場面で俺たちはお前を抜かす判断をすることができたってわけだ。


「さあ波標、いやファーストワン、首位は俺がテメェかどっちかな?」

「俺だよ……!」

「いや俺だァ!!」


 おーけー!早い判断を下せたのがよかったな!このままいけば予選落ちはねえし、なんなら予選一位通過も夢じゃあない!フハハハハッ数日前までの墜落から成長したぜェ!俺ェ!


「────射て」

「あ?」


 突如、撃ち込まれる閃光弾。


「……おいおい」


 ゴール直前まできていた機体のほぼ全てがこちらを向いていた。


「いったい、どれだけの金積んだんだテメェ」


 一瞬の隙をついて、シロサギが俺たちを抜かしてスパートをかけていた。

 追いかけようにも、阻むような機体の数。


「勝利こそ全てだ!俺は1位を取らなければならない!」


 清々しいほどのクズだな畜生。


「クソが!強行突破だ!」

「了承だ、桃兄」

「いや、お前は離れた場所から旋回しろ!」

「えっ?」


 一か八か、賭ける!


「うぉおおおおおお出力全開ッ!!突っ込めええええええ!!!」









 【天空横断98】『広くそして荒れる天空を自由に飛び回るということからあまりにも不確定なことが多く最も初心者が上級者に勝つ可能性が高いコースである』

 誰の味方でもない道化師のように。しかしこの時ばかりは鬼の味方をしているようだった。

 つんざく雷響、切り裂く明光、曇天のカーテンを突き抜けて、上から下へ。神のイカズチの気まぐれ。


「は?」

「フッハッ!」


 その時、白色の機体を中心に、全てを巻き込む雷撃が走った。













「名付けて雷撃砲ォォォ!!」


 マグネットパルサーってのは名前通り磁石だ。この力で俺はこのレースを制していると言っていい。だがそれと同時に、このコース限定でもう一つ引っ張り込んでしまうものがあった。

 それが落雷。確率でいえば今まで当たらなかったのが奇跡ってぐらいだ。そしていま、狙い通り、当たった。まさに奇跡だな!


「全員黒コゲだバカヤロォ!!」

「桃兄!?」


 まるこげになった機体たちが徐々にパワーを失って降下を始める。ぽつんぽつん、とこれから大雨が降るように一機ずつ。運悪く損傷が激しい奴はみんな墜落していく。もちろん一番酷いのは爆心地である俺だ。ただの自滅技だし残当。だが俺には……まだワイヤーがある。

 奴はどうだ?チッ動くか。まあいい。とりあえずこの試合は頂く!


「シロサギィィィ!!」

「ぬぁっ!?」

「ズルして勝とうとする試合で負ける気分はどォだァ!!」

「お前ぇえええ!!」


 真っ暗焦げで大破した俺の機体から打ち出したアンカー。その先につながるのはファーストワンの漆黒機。


「うぉお!なんだ!?下から抜かしてきた!?」

「あの白いの!あれさっきのやつ!」

「ファーストワンと鬼葉の野郎がくっついている!?」

「おい、あれみろ!みんな黒焦げだぞ!」

「先頭で何が起きてたんだ……」

「シロサギまでいやがる、おい、これ俺らいけるぞ!」


 何も知らない後発組が来たようだ。さて俺はファーストワン君の特別タクシーをもってして、優雅に予選通過させていただく。今回のところはな!


「波標、本戦では真剣勝負だ」

「ああ負けないさ……けど残念シロサギは落ちてない」


 見ると逞しく、オンボロな機体を引きずりながら、俺よりも鬼の形相で疾走する奴が。俺はファーストワンに目をやる。


「なぁに、安心しろ。俺は、龍頭三大勢力が一、鬼葉様だぜ?」

「……やるんだね」

「おう、任せな」





[鬼葉 2着ゴール 予選通過]



 

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