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ゲーミングヤンキー〜喧嘩最強の男、少女となりて激走する〜  作者: アスク
第二章 Hurtling Burst -online-〜超高速のその先へ〜
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天神、騒嵐、暴君 :09「無限並列」


 



「はぁぁぁ!?あんなのずるでしょ!!」


 温厚なヒナタも叱咤怒号。鬼葉を囲い込むゴールドルチル包囲網の連携は素人同士のそれではなく。確実に合図を送り合っているような動き。

 首位を独走するシロサギにインチキだと文句を言い立てる。そしてその怒りはコメント欄にも伝播した。


{ダメだろあれ}

{露骨にやってきたな}

{うっわきたねー}


「仕込みか」

「そうみたい。キレそうだよ」


 弾幕に避けることに精一杯でろくに前に進めない。こうしている間にもシロサギとの差はぐんぐん広がっていた。

 すると燕歌はこう言う。


「だがしかし、そう簡単にゴールはできなさそうだ。シロサギも」

「……?」


 首位を独走する黄金の翼、それを刈り取る猟犬の如く。漆黒の機体が風を切って現れる。

 そのプレイヤーの名は、ファーストワン。




◆◆◆◆◆◆◆



「出たな、大会荒らし」

「……どうだろう。その言葉は兄さんたち(・・)にこそ言った方が正しいんじゃないかな」

「さっきの奴のことか?面識があるというわけか」

「まあ、ね」


 シロサギの走行を止めたのはファーストワンの黒い機体。その形状は鬼葉と同じく二輪装甲型だ。しかし直接身を寄せて突撃する戦い方はしない。もっと狡猾に、獲物を追い詰めていく。


「追尾ドローン展開!」

「ほう」


 犬の顔の形を模したようなドローンが4機飛び出す。4機だ。


「追尾ドローン、そのコストは1機あたり120。そして搭載機器の上限値は500。最初から全賭けということだがいいのかな」

「コストを頭に入れてるのは流石だ。けど、そういうあんたも、ボムを1発使った」

「だからなんだ?」

「あくまで勝つ気なんだね」


 ファーストワンはふっと笑う。

 4機のドローン。それはまるで生きているかのように複雑怪奇な動きをみせる。


「まさか、お前」

「意外と驚いてばかりだな、あんたも」

「己を除いた4つ以上の遠隔装備の操作は、普通の並列操作とは比にならない難易度を誇る……そのすべを使えるやつは世界的に見てそういない」


 それは連ゼロに匹敵する、絶技────。


「"無限並列"」

「才能の原石、反吐が出る」

「どうかな、仕込む奴よりはよっぽど健全だ」


 するとシロサギ、血相を変えて、ファーストワン本人に砲口を向ける……ことはなく逃げる。


「挑発すれば、乗ると思ったか?」


 あくまでこれはレースだ。どっちが撃墜するかの勝負ではない。羽虫のように鬱陶しく飛び回るドローンも、構うから鬱陶しいのだ。逃げるシロサギ、追いかける2位以下、それは変わらない。


「ショット」

「砲撃装備のドローンか、相当精密操作に自信があるみたいだな」

「まあ、ね」

「防御網展開」


 黄緑色の閃光弾は六角形を模した膜によって阻まれて、金色ボディに届くことはない。


「便利だよね、その装備。けど、リキャストタイムだ。防御網は暫く使えない。ドローンはまだ動ける」

「ボム」


 付き合ってられるかと、シロサギはその場で起爆。この防御網と爆弾を後方に撒き散らしてポジションセーブする。それがこのゴールドルチルの型であり基本の動き。通常のレースならこれで距離を縮めさせず、リードを広げ逃げ切ることができたかもしれない。

 が、ここは天空横断98。風を読み切らなければ勝てない。


「風の壁……誘導していたのか」

「別々のことを同時に考えるの、俺の特技」

「本当にゲロ吐きものだな」


 無限並列をできる人間の演算力とは、人智を超える。風向の乱数を考慮し、4機同時にドローンを動かして、行き止まりへ追い込むように、気がつけば荒れた雲域に突入している。全てはファーストワンの、狗飼 波標の計算通り。


「強制的にデスマッチというわけか」

「そゆこと、付き合ってもらうよ」

「チッ、いいだろう。瞬殺してやる」


 雷雲に行手を阻まれたシロサギは勝負に乗る。

 後方で序盤から撃ち合い、その先ではゴールドルチルは4機と交戦する鬼葉、そして先行争いのシロサギ、ファーストワンの両名が一騎討ちとなると、いよいよレースは完全に停滞した。

 先に動き出すのは、誰か。



◆◆◆◆◆◆


 ったーくよ。せっかくバチバチの試合ができると思ったのに台無しにしやがってこの野郎。


「てめーら卑怯だぜ!」


 無視。返事はミサイルで。厄介なことにホーミング付きで避ける行動にかなりのエネルギーを使うことになる。

 勝負しても旨みはねえ。かといって避けても燃料を消費し過ぎてゴールできなくなっちまう。

 追い抜かそうにも4機に狙われると前に出た瞬間撃ち落とされることは必然。さあどうする。一機ずつ突撃するあの戦法は先手必勝の初見殺しだから通用するのであっていまは通らない。


「風を使え……天空横断に、決まったコースはねえ!」


 右へ急旋回。雲の間をくぐり抜け、追っ手を払い落とす作戦だ。相手はどうやら意地でもシロサギの邪魔をされたくないのか追いかけてまで撃墜に専念している。負けてもいいってか。金を握らされてんのは明らかだな!きったねーぜ!



「逃がさん」

「あ!?」


 いつのまに回り込まれた。真正面からミサイルが飛んでくる。


「ゼロランッ!!」


 急降下。反撃は、できない。後ろにいるのはわかっている。追いの銃撃の回避に専念。ジリ貧だ。燃料を考えるとここらで手をうたねえとな。


「レースにあるまじき動きだがやってやらァ!!」


 俺はわざと注意を引くように、回り込んできた奴の方へ接近する。攻撃はしない。注目されればいいのだ。俺に、集中が寄ればいい。あとは……逆走する!


「フハハハッ!!こっちこいやァァァァ!!」




◆◆◆◆◆◆◆




「おい鬼葉殿が逆走し始めたぞ」

「ん"!?」




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