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ゲーミングヤンキー〜喧嘩最強の男、少女となりて激走する〜  作者: アスク
第二章 Hurtling Burst -online-〜超高速のその先へ〜
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天神、騒嵐、暴君 :08「仕組まれたレース」




 13時過ぎ、暴風の空、スタートの合図は下される。各種機体が走り出して観戦モードの客は様々な想いを胸に観ている。

 純粋に、誰が勝つのか予想する者、それとも仲間がいい結果を出せるのか親のように心配して見守る者、暇潰しに流し目をしている者。

 だがそれら全員は開始3秒で頭を抱え、その惨状を目撃することになる。


 ただ2人は一歩退いた視点で状況を理解する。


「さっそくやってんね」

「あれは……やばいな」


 予選Dブロック、嵐の中を一斉に突っ切る100を超える機体の中で早くも一斉に爆発を起こし脱落する。


{???}

{!?}

{なにがおきた}


 ただでさえ飽和状態のこの場所で、とんでもない勢いで自爆特攻を繰り返す白色の機体が一機。


「鬼葉だ」


{クレイジーすぎる}

{やっぱあたおか}

{!?!?!?}

{先日墜落しまってたはーたんはどこへ!?}

{はーたんさいつよ!はーたんさいつよ!}

{やべえ}

{忘れがちだがチーター倒した後にランク2位と1位を撃破できるぐらいにはやべーやつ}


「鬼葉……上手くなってない?」

「裏で相当やり込んだみたいだな」


 ご名答である。寝るまも食事も惜しんで24時間身体のパフォーマンスが下がらない最適な間隔で練習をし続けていたのは本人以外知らない。要領の良さも相まってその仕上がりは中堅クラスを軽々ひねって5番台が目に見るくらいだ。


「おいおいやべえよ」「なんだよあいつ」「うちのチーム終わったんだけど」「意味わからん」「自爆特攻しといて本人生存するのは仕様か?バグか?チートか?」


 観戦ギャラリーの注目の的だ。目に映る者全てを追突し撃沈させ、華麗に1人去っていく。そのド派手なレース進行は真に暴君。


「特筆すべきはあの特攻の成功率だ。私はあれほど上手く機体制御できない」


 と、燕歌は感心したように鬼葉のプレイングに魅入る。横でヒナタは解説をする。


「搭載機器に、機体制御をアシストするものを入れているみたい。主砲の磁力と合わせて、一機ずつ確実に沈めるんだ」

「なるほど撃ちながら走れないなら、こうすればいい、と……」


 再び目を向けるとなんともひどい惨状が広がる。スタート開始から僅か10秒。出場している過半数が鬼葉がおっぱじめた玉突き事故と、荒れ狂う暴風に巻き込まれてリタイア。まさに死のブロックとはこのことである。


「さあ次の鬼葉の行動は……あっ!」

「ぬっ!」


 ヒナタと燕歌の目に映る、シロサギめがけて一直線に距離を詰めるS05と書かれた機体と、それに跨る銀髪長身白ライダーの姿が。



◆◆◆◆◆◆◆



「フハハハハッ!!なかなかやるなお前!!」

「お前……」


 シロサギは背後を粘着するプレイヤーに睨みを効かす。

 こいつは何者か。事前情報には全くなかった。白い塗装に遠くの稲光が反射して鬱陶しさを感じる。


「ゴールドルチルはその性質上後ろに攻撃が出来ねェからな。テメェが落ちるまで無限ストーキングだァ」


 プレイヤー名は鬼葉。そう言うがあいにくこのステージは天空横断98。コースは自分で決めることができると、シロサギは理解している。


「なら、俺が、一旦後ろに退こうか」

「あ」


 シロサギの機体が立ち上がり宙返りする。両機体は上下ですれ違い瞬く間に順が逆転されそうになる。しかしそれを許す鬼葉ではない。


「我慢の限界が早いな。ケツを付き纏わられるのは嫌いか?」

「なっ……アンカーショット!?とことん撃破しか考えていないようだな!」


 攻守逆転を許さぬ立場の固定。鬼葉の主砲のやや下部分からなんとアンカーが射出されていた。

 逆さまになったシロサギの機体は繋ぎ止められると、空中で命懸けの引っ張り合いが始まる。


「オルァァァ地獄の墜落レースにご招待してやるぜェェェ」

「お前、死なば諸共ってスポーツマンシップの風上にもおかないぞ!」

「いんや、死ぬのはテメェだけだ!雲の壁に当たって潰れろ」


 いよいよ振り回されたゴールドルチル。そしてこのタイミングでアンカーを外すと空中制動を失う。前方には雷撃纏う積乱雲。これは落としたか。


「一か八かだ、ボム!!」


 シロサギは搭載機器であるボムを作動させる。爆風を巻き起こすと、その衝撃を利用し無理矢理立て直す。脱落には至らず。

 が、確実に追い詰めていた。


「フハハハ。攻撃手段を削げたぜ。さァ次はどうだ」

「ふん、お前の相手をしている暇はない。残念だが先にゴールを取る」

「あ」


 鬼葉は薄々勘づいていた。そしてそれは確信に変わって、いま、確定する。

 シロサギと並走していた4機のゴールドルチルの主砲が全てこちら側を向いてるのを確認して。


「あぁクソがよォ」


 一切射出されるホーミングミサイルに、おもわずシロサギから離れて回避を専念する羽目になる。


「おいおい、スポーツマンシップを欠いてんのは何処のどいつだよおい」

「……勝利こそ全てだ」


 コックピットから覗かせる顔は前を向き、シロサギはそのまま、鬼葉を置き去りに加速する。そうはさせるかと追走するも、4機のゴールドルチルがそれを阻む。


「テメェら……」


 信じたかった。ほぼほぼソレだと分かっていても。しかし事実は確定した。


「仕込みか……!」


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