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ゲーミングヤンキー〜喧嘩最強の男、少女となりて激走する〜  作者: アスク
第二章 Hurtling Burst -online-〜超高速のその先へ〜
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天神、騒嵐、暴君 :07「勝利絶対主義」




 狗飼 波標。刑事のガキ。まさかここで張り合う羽目になるたァな。世界が狭く感じる。


「おいおいこりゃなんの偶然か」

「本当にびっくりだ。あの桃兄と手合わせできるなんて」


 犬の顔だがにたりと表情が崩れたがわかった。そして俺も多分笑っていたと思う。


「アァ……お前は一つミスしちまってるなァ」

「ミス?」

「俺の目の前に現れたってことァよ、それってつまりよォ」


 犬のツラを指して言ってやる。


「宣戦布告ってことだよな」


 目が合う。


「いいぜ、お望み通り落としてやる」


 狗飼のガキもまた指をさす。


「こういうとき、言えばいいかな、"上等"って」

「「フハハ」」


 俺は目線を前にやる。もうレースが始まる。エンジンを蒸す音の中、合図を待つ。

 すると犬の面がそわそわしたようにこちらを見ている。なんだ?ドッグフードを欲しがってもそんなもんないぜ?


「どうした」

「いや、少し、風の噂で聞いた話」

「?」


 刑事の息子、宇宙警察が目を光らせている。



◆◆◆◆◆◆◆



「やはりいたか、大会荒らし。スタートポジションは中央か。選んでいるキャラクターは【宇宙警察ドーベルマン】前方にいる機体の速度を低下させるパッシブ効果を持つ……追走撃墜をする型かもしれない。ゴールドルチルへのメタか」


 シロサギ。本戦優勝候補チーム:アイテールの不動のエースは全体の戦況を掴むためにも観察を怠らない。やはりルチルで参加している者が多いか。しかし予想よりもルチル対策に機体の型を寄せている者も多い。


「しかし問題ない、誤差だ……さて……出来レースって本当につまらないな」


 自分の近辺にいる機体に目をやる。それらも全てゴールドルチルではあるのだが……パイロットは全員シロサギに目を合わせて相槌を打つ。それに対してシロサギは表情筋を殺したような顔で頷いて返す。


 レースは始まる。黒く、酷く、この空のように淀んだレースが。

 

 




[●●●●]



[○●●●]



[○○●●]



[○○○●]



[○○○○]




 スタートと同時、中央部で大爆発は起きる。シロサギはそれを尻目に通り過ぎる。


「開始直後の巻き込み事故が伝播している。やはり端を引いたのは幸運だった」


 シロサギは先頭集団より一つ後ろに構えている。彼にとって最もやりやすいポジションにいち早く着き、確実に有利になるレース展開をしていく。


「ただそれでも不安要素は拭えない、落雷に打たれて終わる可能性があるから」


 この天空横断98を選んだ運営は心底恨めしいが、歯を食いしばることでストレスを抑え込む。そんな不安要素だが、スタートからわずか10秒も立たないうちに、違和感として、シロサギに襲いかかる。


「誰だ。事故を誘発しているのは」


 10秒だ。連鎖的に、絶えず今も爆ぜ続けるそれは10秒経っても続いている。異常だ。誰かが人為的に引き起こした大事故であることは後ろを見ずしてわかること。


「"大会荒らし"か……?いや、奴はこちらをピタリとマークしている向こうのあの機体だろう」


 漆黒、小ぶりな機体に跨る犬顔は横目でこちらを確認する。"大会荒らし"。そのチームの正式名はThe Tempest


「おっと、よそ見は危険だな。前方、向かい風」


 機体を下げて冷静に対処。真後ろの爆発する脅威を感じながらも、前を向き、そろそろ動きに出る。


「竜巻か。突っ切るか、迂回していくか……迂回ルートを取る、前方撃破!」


 シロサギの放つ閃光弾が容赦なく牙をむく。前方をいくのは逃げが得意な高速ポット型が主。その装甲は脆く、彼にとってはいい的。ここで下手な者どもを全員蹴落とす。


「奴は……こちらのリロードを狙う様子もない。竜巻を突っ切るのか……」


 "大会荒らし"は雲の中へと消えた。

 あとは並走するゴールドルチルだが……シロサギは中にいるパイロットに目配せするだけで手を出さない。


「だから出来レースなんだ」


 つぶやく少年はどこか物悲しく……。


「ああ、忘れるところだった。いまのうちに後方確認を」


 スタート開始から暴れ回っていた者の正体を知りたくなる。そいつはいま何をしているのか。爆発音はいつのまにかとまり、轟々と風の音だけが耳に入る。

 特攻したらうっかり自滅したか。変な初心者が暴れたか。まあそんなところだろうか。

 しかしシロサギは気が気ではない。なにか、なにか重大なことを見落としているかのようで。


「────下か!?」


 決死の判断で機体を右に倒す。身を翻す形になり、その直後。一直線に白い機体がアッパースイングの如く突っ切ってきた。


「やるじゃあねえか!!フハハハハ!お前がシロサギだなァ!」

「お前は……誰だっ!?」

「鬼葉だ。さァ、喧嘩しようぜ」


 直感力に従い、避けたことで免れたシロサギは、上空で高笑いする奴への警戒度を跳ね上げる。再度降下し攻撃されるのを予測。


「防御網展開!」

「はん、搭載機器か」


 シロサギは状況を確認する。


「後続は」

「レースそっちのけで大戦争中だ」

「……お前」


 そのパイロットは【傭兵のウルフ】、ユーザーネームは鬼葉。シロサギにとって一切ノーマークだった奴が破竹の勢いで駆け上がる。


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