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ゲーミングヤンキー〜喧嘩最強の男、少女となりて激走する〜  作者: アスク
第二章 Hurtling Burst -online-〜超高速のその先へ〜
54/82

天神、騒嵐、暴君 :06「ファーストワン」




「こんヒナ!ボクですヒナタでーーす!」

「どうも、チームメイトの燕歌です」


 2人挨拶から始まり前口上。


「鳩バスの予選専用エントランスから配信中!みんな鳩バスやってる?」


{やってる}

{やってる}

{うむ}

{やってる}


「おーけい。それじゃあ。今日はHurtling Burst -online- JAPAN CUPの予選日です。我らがエース、鬼葉が今から出走するよ!」

「観戦モードだな」

「そゆこと」


 それからヒナタは予選ルールをおさらいする。まずチームから代表者1人を選び出走。

 総参戦チーム数500を4ブロックに分割。つまり1ブロックごとに100人以上が一斉に走り、その中から上位5チームが本戦の参加券を獲得する。

 フォーマットは一度事故ればおしまいの"ハードコア"。レース場はランダムで選出される。と。


{えっはーたんが出るん?}

{ヒナたんじゃないの?}

{え}

{むりくね?}


 コメント欄が首を傾げたような反応を見せる。続々と寄せられるそれは鬼葉出走に対する不安を募らせたものだった。


{先日まで墜落してた奴が!?}

{マジ?}

{流石にやろ}


 ロリパンの一件で鬼葉は格ゲーの実力があると、視聴者は知っている。だが鳩バスはどうか。最後に見た鬼葉は機体をくるくる変えながらアホみたいな事故を起こし続け、まともに走っているところを見せていない。そんな奴が予選をすり抜けられるか。いいや無理だろう。

 しかし配信主のヒナタと、そのメンバーの燕歌は至極落ち着いている。そして。


「おいおい。てめーらひでーじゃねえか。俺のことを信じられねえのか?」


{!?}

{!?}

{その声は}

{キターーー}


「鬼葉!」


 ずいっと身を寄せる鬼葉は映像機器のレンズをじっと見て、画面越しの相手に言い放つ。


「俺が雑魚だったのはつい先日までの話だぜェ。一つ教えてやろう、実力は、時間がありゃ伸ばせる」


 そのピンク髪の少女は自信に満ち満ちていて、コメント欄の流れは嘲笑から疑問、疑問から応援とわかりやすく変わる。


{がんばえー}

{が、がんばえ}



[これより、Hurtling Burst -online- JAPAN CUP X86 予選Dブロックの試合を開始します、チームの代表者はウィンドウから参加をしてください]


 アナウンスがされる。


「始まるみたいだね」

「鬼葉殿、きっと勝てると信じている」

「おう」


 鬼葉は試合へ向かう。しかしウィンドウを操作する手を止める。ヒナタと燕歌は首傾げた。「どうしたのだろう」と。

 すると鬼葉は2人に近づき、配信にならないような細い声で言った。


「……この試合、なんかきな臭え」

「それはどういう!?」


 多くは語らず。鬼葉はウィンドウのボタンを一つタップするとこの場から姿を消した。




◆◆◆◆◆◆




 ああ、なんと物凄い気分が悪いぜ。ラーメンが食あたりした?いんやそんなことはない。コメント欄にイラついた?いや、何処ぞの知らん奴の言葉であーだこーだ言うほど小さくはねえ。ただ。ただ。


「ふっっっざけんなよ!新キャラがミルキィの上位互換だとォ!!?」


 ロリパンにて新たに実装された新キャラ【ミルフィーユ・クラッシュ】海外セレブみたいなグラサンとファーコートを着飾ったそいつはファミリーネームからしてわかる通り【ミルキィ・クラッシュ】とは姉妹である。

 そんな奴が実装されてまず注目されたその性能。ミルキィの完全上位互換かもしれないと。姉に勝る妹はいないって?ざけんな!実装順ならミルキィのが先だろうが!

 と、まあ試合前にそんなものを見てしまって間が悪い。


[これより、Hurtling Burst -online- JAPAN CUP X86 予選Dブロックの試合を開始します、チームの代表者はウィンドウから参加をしてください]


 時刻が13時に差し掛かろうとしている。俺は参加ボタンをタップした。ガレージには"相棒"。そして俺の姿形は再構築されてパイロット【傭兵のウルフ】に変わる。銀髪にした7、8割リアルと同じ姿はやはり馴染む。

 それから数分、ウィンドウが突如現れて、選定されたステージを表示するのだ。


「おいおいなんかの縁か、これりゃ」



ーーーーー

コース:天空横断98


参加人数104名

フォーマット:ハードコア

ーーーーー


 見る前からわかる大混戦。








 天空横断98は虎紀が戦って記憶に新しい。このコースに決まったルートは存在せず、荒れる暴風雨の中とにかく1番にゴールするというもの。

 スタート地点横並びに100台の空飛ぶレースマシンがずらりとな。


「さァ、かまそうぜ、相棒」


 俺は跨ったS05を撫でてやる。

 そして空を見上げ、その時を待つ。予選なので実況の声なんかはなく、ただ淡々とスタートの合図を待つ。

 けどアレだな。天空横断98が選ばれたのは幸あり不幸ありって感じだ。吹き荒れる風はまあいいとして問題は……雷。まあ、今心配してもしゃーないか。


「それよりやべえ人数だ」


 100って数を舐めてた。


「さて機体は、おお予想通りゴールドルチルが多いな、よしよし」

「うん、予想通りだ。ゴールドルチルをメタって正解だった」

「おうおう」


 おうおう……んん!?誰今の!?


「んあ、なんだお前は」


 真横にいたのはこのゲームのパイロットキャラで、確かそいつの名前は【宇宙警察ドーベルマン】で、顔がそのまま犬の面。しかしこれがなんとまあどこかで会ったことある?ような感覚。


「プレイヤー名……"ファーストワン"」


 ファーストワン?ファーストもワンも意味は1だよな。学がない俺にだってわかることだ。あれェ?ワン、いち、はじめ、ドーベルマン、イヌ、あっ。


「お……お前」

「桃兄、やっぱり同じゲームのブロック予選だったね」

「おいおいマジかよ」


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