表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ゲーミングヤンキー〜喧嘩最強の男、少女となりて激走する〜  作者: アスク
第二章 Hurtling Burst -online-〜超高速のその先へ〜
42/82

亜高速暴風域:03



【天空横断98】決まったコースはないが、風と雷の蠢く暴風雲。俺はこのコースの恐ろしさを思い知ることになる。


「畜生、前進まねえ!」


 アクセルをかけても、強風に押し返されちまう。このままじゃただただ燃料を消費するだけだ。


「ルートは決まってないぜー、鬼葉さんよぉ!!」

「んあ」


 俺は後ろから聞こえた虎紀の声に振り返る。しかし、虎紀の姿はそこにない。

 上だ。上にいた。


「じゃあおっさきー」

「なっ!テメェ!」


 虎紀はそのまま風に阻まれることもなく、するするっと進行していく。おいおいまさか「風を読め」ってことか?帆船かよ。


「流石んな高等技術あるわけねえよ……チッ、野郎の後追いなんざしたかねーが、仕方ねえ」


 前に進めないのも大問題なので俺は虎紀の進行ルートと同じ軌道を描く。

 一応、このままついていけば風に煽られて制御不能に陥ることはないだろう。だが追い抜かすこともできない。仮にレーザーシューターで撃ち落とせたとして、その後はどうする?どうやってゴールする。気合いでいけるか?いんや、今の技術量と擦り合わせると現実的じゃあない。

 となると、もう、この時点で、チャンスは一回に絞られた。


「ゴール直前にぶちのめす……十二支ねずみ戦法といこうか」


 あれクソずるいよな。

 虎紀がチラとこちらを見た。そしてすぐに目を前に戻す。

 有利不利でいったらそりゃ断然あっちが有利だ。主導権握ってんだからな。どこかのタイミングで振り切ろうと仕掛けてくる可能性は大いにある。


「しかし、アレだな……アイツはなんで風の中を切り抜けられる?」


 ここまで荒れ狂ってると上手い下手関係ない気がするぜ。イカサマしてんのか?


「クソ、思考が鈍ってきたぜ」


 考えたって仕方ねえ。ゴール手前の射撃と、相手の動きに対応することに集中するべきだ。次は────雲の壁に突っ込んでいく気か!?


「じゃあな鬼葉!!」


 黒い雲が渦を巻く、内側がビカビカと光り、どう考えても、誰がどう見ても「ヤバい」って言葉を出すだろう。虎紀は雲の中へ……入っていった。マジで行くのか?しゃあねぇなァ!


「アクセル!」


 中に天空の城とかないよな?

 いっけええええ、んあっ!?


「ちょっ……」


 巻き込まれた。うん、まあ予想通りのことが起きた。渦巻きの回転に飲まれて完全に制御を失う。いいやまだだ、渦巻きの内側へ少しずつ寄せていく。


「っしゃぁぁぁ!!」


 内側へ内側へ、そうしていくうちに黒竜巻を突破する。しかし。


「クソが!虎紀を見失った!」


 完全に嵌められた。無知は罪だぜ全く。

 竜巻の内側は恐ろしく静かだ。外側ではミキサーみてえに回転してたのに、内側はゆっくりと流動している。俺が感じ取れるのは可愛いそよ風だけ。気配はまるでない。しかしだな。

 勘なのなだが、虎紀は絶対に居る。俺を攻撃する好機を窺っているに違いない。


「どこにいる」


 遊覧。目をこらせ。奴は必ず仕掛けてくる。何処かに隠れていて、レースそっちのけで俺を落としにかかってくる。

 考えろ、この雲の中で身を隠すのに最適なのは2箇所だけだろう。下か……上!


「ハッハッ……虎紀ィィィ!!!」

「かはっ!!鬼葉ぁぁぁ!!!」


 目と目が合わさるその瞬間、俺も虎紀もアクセルをかけ、急速接近する。


「「だぁぁぁぁっ!!!」」


 正面衝突を起こした。前方の装甲が削れて飛び散る。反動で両者弾かれるが、すぐさま俺らはぶつかり合う。


「鬼葉ぁ……いつかテメーをぶっ倒すって決めてたんだ!」

「あぁん?テメェがこの俺様に勝とうなんて5兆年速いぜ!」


 根拠は?ないぜ。理屈じゃあない。負けられない戦いがそこにあるってえことだ。


「うるぉぉぉォォ!!」

「なぁぁ!?」


 一旦ブレーキをかけ力を緩ませる、それから再びアクセルを深く入れて、押し込む。さっきのワイヤーを解いた時と同じように、今度はこの空の押し相撲を制する。押し込んだ先は、稲光がひしめいている黒雲の牙城!


「100万ボルトに焼かれて死ねィ!!」


 さあ、どうするよ、虎紀。お前はこんなところで終わるはずない。俺のこの体当たりをどう切り抜ける?


「リトライ」

「あぁ?」

「街内引き摺り回し、リトライだぜベイビー!」


 背後から迫るドローン1機、ワイヤーアンカーが射出され俺を捕らえんとしていた。咄嗟に急降下を図りそれを回避、取っ組み合いは終わり一気に劣勢となった。

 避けるのに精一杯、もう一度突進することは叶わないか。


「そう、だな、なら撃ち落とすまでだ」


 レーザーシューターを展開。鬱陶しいドローンから排斥をしようとした。


「させっかよー!」

「テメェ!?」


 ところで虎紀の装備するドローンは何機いたか、答えは、そう2だ。後発で現れたそれが放つワイヤーアンカーがレーザーシューターをぶち抜いて破壊する。


[砲門破損]


 やられたシューターは右側だった。するとドローンたちは、まだ砲門健在の左側を警戒するように、右周りで俺に接近してくる。

 おかしいな……妙に人間くせえ動きをしやがる。

 1本射出、それ避けた先に当たるかのように2本目が喉元まで到達している。俺はそれすら避けてみせるが、今度はワイヤーが生きた蛇のように追尾する。的確に俺を追い詰めていき、気がつけばすぐ後ろに、雷撃を伴った黒い壁が迫る。


「まさか、な」


 まるで人間の意思を持っているかのような動きをする生きたドローン。それはAIの自動操作では決してなし得ず、紛れもなく虎紀が操作しているもの。では、どこで操作している、手元か?脚か?いいや違う。


「オタク思考的空間挙動……」

「"並列操作"だ、ごめいとーだぜ鬼葉」


 原理としてはおそらくロリパンは【ショコラ・ドール】の遠隔操作人形、殺人ぐりずりー君と同じようなものか。虎紀がそれをやってるとはな。なんつーか、こう。


「お前のキャラに合わなさすぎだろ、気持ち悪ィな」

「はぁん!?気持ち悪いとかひどくねえ!?」


 それはそれとして、だ。殺人ぐりずりー君と違って2体だから動かしやすいのか知らんが、菓子より煎餅の野郎よりも精度が凄まじい。攻撃の一手一手が的確っつーか。


「へい!ショット!」

「ぬっ……」

「これで砲門が両方なくなったなぁ!鬼葉さんやい!」

「るっせえ」


 クソ避けれねえ……嬉しそうな顔で煽りやがる。しかし、まずい、まずいぞ。確実に追い込まれてる、飢えた肉食獣でも相手にしている気分だ。


「さてそろそろ終わりにすーるーぜえええ!!」


 ドローンがワイヤーを巻き戻し、ちょこんと突き出た針先こちらに向けている。また来る。高速射出が来る。


「へーい!発射!!」

「舐めんな、よっ!!」


 1発目回避!


「はい!発射!」

「オルァ!!」


  2発目、急激な方向転換を強いられ機体の横腹を掠れる。だが、避けた。避けたぞ。アンカーにしつこく追尾される前にドローンを仕留める!


「ホーミング砲!!」


 サブウェポンを展開。狙いを特に定めることなく勝手に追尾してくれるミサイルは、見事ドローンに命中し……爆散する。


「よっしゃっらァ!!破壊してやった────────」


 喜んでいる暇などなかった。

 すぐそこには虎紀がいて、機体のサイドについた火炎放射器の細かい機構が稼働しているのがわかった。

 俺のスピードは死んでいる。今からアクセルを入れたところで加速までの時間を考えると間に合わない。

 焼かれる。

 焼かれる!!避けなければ……避けなければ焼かれる!!











「避けろォォォォっしゃぁぁい!!!」

「のぉぉん!?」


 俺の機体が、突如変加速を起こした。物理法則とか、詳しくねえけど、現実じゃありえないような速度で、無の状態からほんの一瞬にして最高速(・・・・・・・)を叩き出したのだ。


「おうおうおうおう、それ、できるって聞いてねぇぞ鬼葉ぁ!」


 虎紀も、そして俺自身も、驚いている。で、思考が追いついて、今俺が無意識で何をしたか自覚した。


「フハハハ……」


 それは、俺が得意なオタシコの一種。


「「"ゼロラン"!!」」





もう一度言います、オタシコは概念です。みなさん習得しましょう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ