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ゲーミングヤンキー〜喧嘩最強の男、少女となりて激走する〜  作者: アスク
第二章 Hurtling Burst -online-〜超高速のその先へ〜
39/82

サードセレクト、タイガー

5月入る前から既に5月病なんだよなぁ!




「引き分けということで」

「だな」


 対戦の結果、俺とヒナタ、両者脱落ということで決着はお預けとなった。

 だがそれ以上にお通夜ムード。理由は。


{やばいな}

{ナイスファイトだけど……}

{うわあ}

{まずゴールできないというね}

{ゲーム難度が高すぎる}

{ハードコアやべえ}

{これ大会勝てんのか}

{無理ゲーかな?}


 やればやるほど見えてくる圧倒的な障壁。まず俺たちは、ゴールするという最低基準にも達していない現実。これはマジでやばい。



「フッハハッ」

「お、鬼葉が笑ってる」

「あ?あぁ、すまん。癖でな」

「癖気持ちわる!」

「オイこらなんつった」


 おいおいおい、心外だな。今の俺は【傭兵のウルフ】から戻って、鬼葉 (配信中の姿)だぜ?可愛いと言ってくれなきゃなァ?

 仕方ねえ、笑うのにはちゃんとわけがあるからよく聞け。


「俺ァよ、目標が遠ければ遠いほど燃えるんだよ」

「へえ……」

「いいか。目標の前にはな、壁ってのがある」


 俺は繰り返すように話す。


「最終目標の前には、いつだって段階的にそれは必ずある。ゴールが遠ければ遠くなる程壁の数は多くなる。

 で、壁も言ってしまえば小さな目標だ」


 少し話を切ってヒナタに問う。


「目標が達成した時、お前はどう思うよ?」

「どう思うって……そりゃ、嬉しい?かな?」

「だろ、嬉しいよな」


 結論はこう。


「つまり最終目標が遠ければ遠いほど、それだけ小さい目標を否が応でも、幾度となく、達成することになる。それってよ、嬉しい事が何度も起きるってことと一緒なんだぜ」


 これを笑わずにいられるかよ。壁を越えるのは簡単じゃない。簡単じゃないが、100パー無理なんてことはない。


「……でも、その分、苦しい思いを複数回することになるよ」


 ヒナタはそう言う。ごもっとも、そのとおり、壁だからな。そりゃ当たり前だ。苦難を乗り越えてこその得られる嬉しさなんだからな。


「俺は、越えた先の喜びを知ってる。それだけで十分だ」

「強いね、鬼葉は」

「ったりめーだ伊達に龍の頭張ってるわけじゃねーからな」

「りゅーのあたま?」

「いや、なんでもねえ」


 最強が最強たる秘訣はこういうこと。


「さて、どうだお前ら、俺の格好良さに惚れたか?」


{その一言を言わなければ}

{あー言ってしまった}

{惚れかけたけどやめた}


 ったく、素直じゃねえなァ?

 ま、まだ惚れるのも早計だけどな。なにせ俺はまだ何もなし得てない口だけヤローだ。言うだけなら誰でもできんだよ。


「さてヒナタ、今回の大会の参加は1組何人だったか覚えてっか?」


 俺は覚えている。おさらいだ。


「えと、3人だよね。1人足りないけど」


 キョロキョロとあたりを見回す、いやここにはいねーよ。いるわけねーだろ。


「実はな、目星つけてる知り合いがいる」

「へえ」

「そいつがいれば勝率もぐぐっと上がるな」

「本当?」

「おう。アイツは、俺の認める戦友だかんな」

「戦……友……!!」


 ヒナタが目を輝かせた。


「そいつのところに交渉する。まあ待ってろ、次の配信にはここにいるだろうからよ」

「わぁなんか今後の配信予定今取り決めたよこの人!」


{いつも通りのはーたん」

{なんだまた主役とられたのか}

{実際本当に主役ポジになったでしょコンビ組んで}


 別にヒナタ側も問題ないだろ。

 次の相手はリアルからのアプローチで行かせてもらうぜーってことで。

 配信外であれこれするんで詳しくは次回へ。配信終了しようか。


「じゃ、じゃあ、3人目は誰だ!?って感じで。おつはーおつヒナー!」


{おつはーおつヒナー}

{おつはーおつヒナー}

{おつはーおつヒナー}











「とりあえずああやって終わらせたけど、本当にアテあるの?」


 ヒナタが首を傾げた。


「そこで嘘つくかよ。強力な奴がいるぜ、俺の知り合いに」

「どんなひと?」

「どんなひと?んあーー、率直に言えばバカ」

「バカじゃダメじゃない!?」

「バカだけどつえーから大丈夫だ」


 そいつは、こと乗り物に感して誰よりも速く乗りこなす。そいつは、ことゲームなら少なくとも、今の俺より強い。

 あいつがチーム内にいりゃ、心強い上に幾分かやりやすいだろうと。


「俺と同郷だからな、今から行ってくる」

「あ、ええ、今から!?い、いってらっしゃい」

「おう」











 ログアウトした。

 現実世界は狭苦しい俺の部屋。いつものスカジャンを羽織って、外に出る。

 これから、3人目のメンバーに交渉しにいく。メンバーとは、そう。


「龍頭三大勢力、【昏鵺会】の総長、虎紀。アイツと契約できりゃ、勝つ可能性は格段に上がる」


 特に大会賞品でゲームを手に入れるぐらいの奴で、しかも俺を誘った張本人、なにより俺の次に喧嘩が強え。信頼度は高い。

 西方面に向かって歩く。特に言う事ない住宅街を通り過ぎ、狭苦しい商店街を抜け、そしてやってくる。


「西龍頭廃墟街」


 その名前の通り、廃墟が立ち並ぶゴーストタウン。いや、ゴーストを冒涜するようなクソゴロツキが沢山いるゴミ捨て場、それがここ。

 龍頭が住みたくない街ランキング殿堂入りする理由の一つは廃墟街が街の入り口なところだろう。

 掃除しろよと言いたいところだが、便所をどれだけ綺麗に掃除しようと便所な時点で汚いのと一緒で、もう手遅れだ。

 まさに無法地帯。


「お、おいあれみろ!鬼葉だ!」

「みんな隠れろ!見つかったら食べられるぞ!?」


 こいつらの目には化け物かなにかが映ってんのか?

 無法地帯と言ってるが、マフィアに侵食されて腐ってた昔ほどじゃない。草を燃やし、粉を海に捨て、害悪は外へと駆逐された。もちろん俺が。そしたらここは、弱いチンピラどもの隠れ家みたいになったとさ。俺の名前だけでビビるくらいの弱い奴らだ。

 さあ、そんな雑魚どもをまとめあげるのが虎紀だが、多分そこのボーリング場跡地にいる。

 その証拠にバイクが何十台と並んでいる。


「おいおいおいテメェ、誰に断ってこの昏鵺会の────あっ!鬼葉!?」

「ひぃ!!失礼しましたぁ!!」


 何もしてないし別に怒らないんだけどな。まあいい。顔パスより楽なこたァない。


「おい、虎紀呼んできてくれ、話がある」


 虎紀の部下は慌てたようにボウリング場の奥へと消えていく。







 数分後、金髪ドレッドヘアーの野郎、虎紀がきた。頭の後ろを掻きながら、面倒くさそうに。


「んだよ、鬼葉。今ゲーム中だったんだけどぁ、マジキレんぞ?」

「お前ってさ、部下の前だとカッコつけるよな」

「るっせー、ふっつーに不機嫌なのぉ!」


 クソガニ股で歩き始める虎紀はこいよと手で合図する。

 俺はそれからボウリング場の座席まで移動し、虎紀がどっかりともたれるのを確認したあと俺もそうした。それから部下共に向けてシッシッと手を振り追っ払う。


「でぇ?何のようだ鬼葉さんよ!」

「部下いねーと精神年齢下がるよなお前」

「一応上に立つものとして厳格にやってんだーよ、ボッチでニートでロリコンの誰かさんとはちがいまぁす」

「ロリコンじゃねえ!」


 じっとりとした視線を振り払って、俺は本題に入るとする。


「実はな────」


 俺はくしゃくしゃになった紙を取り出してから言った。









「チームメイトになってくれねーか」

「断る」


 おいおい即答かよ。



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