アンドロメダサーキット:02
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操縦士:鬼葉【傭兵のウルフ】
【2Aブルーベーク 練習用量産型】
形状:二輪装甲型
装甲:ブルーベーク
主力砲:レーザーシューター 2基
推進装置:卵型真空ジェット
搭載機器
衝撃緩和装置 2基
2連ホーミング砲 2基
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操縦士:シト・ヒナタ【エージェントバニー】
【FAレッドナイト 練習用量産型】
形状:戦闘機型
装甲:レッドナイト
主力砲:レーザーシューター 2基
推進装置:バレル型真空ジェット
搭載機器
迎撃型ドローン 1基
強襲用ボム 1基
2連ホーミング砲 2基
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レースステージ:アンドロメダサーキット
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[●●●●]
「4日前、お前久憐にあっさりやられちまったからな」
「うっ」
[〇●●●]
「なぜそれを今」
[〇〇●●]
「お前と戦えなかったなってな」
「ああ、そういうことね」
[〇〇〇●]
「今度こそ」
[〇〇〇〇]
「「蹴りつけようか!!」」
スタート合図のブザーが鳴る、ハンドルを捻ってアクセル点火、唸る轟音とともに射出されるジェットエネルギー、みるみるうちに機体の速度が上がっていき、序盤の直線を駆け抜ける。
「420キロ、キープ!」
基準速度に到達する。この調子で────何!?
「おっさきぃーーー!!」
500は軽く超える速度で一気に追い抜かされる。アイツ、やるな。
「行かせるかよォ!!」
速度で張り合いに行こうとする、が、追いつけない。まだ加速してるのか!?
チッ、追いつけねーならはたき落とすまでだ。レーザーシューターを起動させ、スイッチを押す。
「ぬわっ!?なんだ!?」
「フハハハッ!妨害アリだぜ!」
「ずっっる!」
レーザーシューター。この砲台は真っ直ぐに赤い光の弾を撃ち出す。一直線に飛んでいき、右翼側にヒットする。
そして、このレーザーシューターは背後に撃てない。つまりヒナタから攻撃は基本的に不可能だ。
「くっ、それなら!」
しかしそれはレーザーシューターに限った話。レースの機体は主力砲以外にも多数の武器やギミックを搭載するのが常。
「ホーミング砲!!」
内蔵されていた砲台からミサイルが射出、一瞬だけ前に出たと思えば、それは旋回して背後にいる俺にわざわざ飛んでくる。
「当たるか、なァ!」
ハンドルを押し、アクセルをさらに捻り一時降下、二輪装甲型の小さく軽いみなこなしで難なく回避。ミサイルはそのままコースの端の結界にあたり爆発する。直線なんでな、拙い技術でもまあ避けられるぜ。
「後ろばっか気にしてるとクラッシュするぜ!」
「ん、うわっ!?」
ヒナタが慌ててアクセルを外したようでジェットが一瞬切れる。
前方、S字カーブに差し掛かったのだ。勢いは抑えてそのまま曲がる。
しかし、もたつくな、クソ。二輪装甲型は戦闘機型に比べて車体が小さいから、小回りが利くはずなんだがな。技量不足で、差をつけられねえ!
「曲がるの難し過ぎだろ!」
塩梅が分からず、コースギリギリになって危うかったり、はたまたパイプの中心で曲がって距離が出て遅れたりと安定しない。
まあ、それはヒナタも同じで結果的に差が出てないが。相手は、これより強い。
「次は……縦S字!」
横軸とS字カーブは車と変わらない。しかし今やってるのは空中レース、縦軸のカーブ、つまり上昇と降下のテクニックが試される。
「上がれ!」
ぎゅいいっとハンドルを引いて機体を持ち上げる、持ち上がった勢いでコース天井にぶつかりそうになる。危うい。で、その天井降下してもそのまま迫ってくる。
最後まで頭スレスレのまま縦S字は完走。しかしアレだな、難しすぎて人の妨害してる場合じゃねえ。
「だが直線に戻った、今なら……おいおい、本番はこれからってか」
「うわうわうわ!これどうすんぬぁぁぁ曲がれえええ」
アンドロメダサーキット、難所が各地に散りばめられた定番コース。上手くなるのにうってつけ、その理由はこれだ、あまりにも、あまりにも操作精度を求められるからだ、今、俺とヒナタはアンドロメダのS字の恐怖を知る。
「左斜め上!!右斜め下!!」
いやもうどっちが上でどっちが下かわかんねーよ。斜めってなんだよ斜めって。ハンドルを押し引きでさながら、右手と左手のアクセルを交互に調節する。S字か?いや違う、ぐにゃぐにゃと言うんだこれは。
「うげー酔っちゃうよこれ!」
「と、いいつつ全然ミスらねえじゃねーかテメェ!!」
上下左右斜めに暴れまくるコースに翻弄され、ついに俺の機体はコース端に触れる。
不快な金属音とともに火花が散り、装甲が剥がれ落ちる。このままじゃまずい、消し炭になる。
「カーブ……んが!?」
かと言って舵を切りすぎると反対側の端まで放り出され、また擦れる。これじゃあ、いつぶつかってクラッシュしてもおかしくはない。
「減速だ、速すぎてダメだ」
突き放されてしまうがやむ終えない。今の俺にそこまでのスピードを出せる余裕はない。
まだだ、ここを切り抜ければカーブはなくなる。勝負を仕掛けるのはS字後、終盤の大登りだ!
「ここが最後のカーブ!」
左斜め下方向に道が続きそれに従う、するとカーブは収まり直線になりかける。ここで距離を縮める!
「オルァ!!」
「させない!ホーミング!」
「迎撃ホーミング返し!!」
ホーミングに対してホーミングを発射し相殺、追加でレーザーシューターも起動させじわり、じわりとその距離を詰める。現在時速510キロを保っている。が、また突き放される。野郎……またスピードを上げんのかよ!畜生!すぐしたら大登りだ!
「上昇」
高度が上がる。坂のように。するとあるタイミングで勾配が急になる。進めば進むほどに比例するように。そして。
「登りっていうか直角じゃねえか!」
いよいよ本格的に酔いそうになる。上へ、上へ。ゲームなので極限的なGがかかるわけではないが、重力的なものは存在するので十分引っ張られる感覚がある。
「尻と座席が固定されてなかったら落ちてたぞこれ」
謎引力でバイクに止まる俺。
そしてここで、気が付いた。
「ヒナタのスピード落ちてるな?」
段々とヒナタとの距離が縮んでいく。そりゃそうだ、序盤からあんだけ飛ばしてたんだからな!後半になって、今になって燃料切れだ!
大登りの途中で既に近くなっている。いける。いけるぞ。今なら抜かせる!
「アクセル点火!!」
時速600キロに到達、一瞬でヒナタと並んだ。
「鬼葉!?」
「よォ……俺は負けねえぞ!!」
最高地点到達、同時にブレーキをかけて逆噴射して急降下する。
「ヒナタお前、燃料切れたんだろ?」
「くっ……どうかな!ボクはまだ、負けない!」
「ぬっ!?」
このゲームには宇宙でも重力的なものが存在する。いまは降り、つまり下に引っ張られる力に従っている。
即ち、たとえ燃料がわずかでも、重力のみの推進力で止まることはない。
「止まらねえ……だが止まらねえってだけだ!たとえそれでもジェット燃料の残ってる俺の方がスピードは上をいく!」
下り後のラストパートに向けて300あたりでキープ。抜かせえええ!!
「強襲用ボム、展開!!」
「何ッ!!」
戦闘機型、もっともスタンダードな形態にして、全ての項目が高水準である。それは積載量も同じで、ホーミング砲に加えて、周囲を粉微塵にしてしまう爆弾まで積んでいた。
「テメェ、自爆かこの野郎!」
「いいや!爆発するのはキミだけだ!」
戦闘機が唸りを上げながらパイプの端に自らの腹を叩きつけて跳ね上がる。大きく揺らぐが、この揺らぎのおかげで爆破圏外に逃れたのだろう。俺の目の前に起爆寸前のボムが。
「しゃらくせえ!!アクセル!!」
俺はスピードを650まで一気に上昇、ヒナタの戦闘機と同じ軌道上で爆破を避けにいく。
小回りが利く、だから理論上はいける!大丈夫だ俺ならやれる、俺なら、この俺ならば!土壇場で!避けてみせる!
「うおおおおおお!!旋回ィィ!!」
「なぁっ!?」
っしゃあ!避けたぞゴルァ!!そんでもって次!
「そしてェ……突撃!」
そのままヒナタの機体めがけて体当たりする。
「ああっ!ちょっ!やめて!」
「フハハハッ!!すり潰れろ!!」
急降下は終わり、ラストの直線コーナーに差し掛かるがバランスを崩したヒナタのFAレッドナイトはほぼほぼ墜落気味、勝った!
「うわっ!」
[シト・ヒナタ 脱落]
爆炎をかき分け飛び出すと、宇宙。星々。天体とかいまいち詳しくねーけど、アンドロメダがあるのかね?
「ふん、まっ、俺ァ負けねえってこった」
ゴールは目前!あと少し……あとすこ、ちょちょちょい!まて、勝手に曲がるなおい!一直線だぞこの野郎!何故曲がる!アクセル調節効かねえ!
[推進装置に重大な破損あり]
「あぁん!?」
俺は機体のケツを見てみた。
「燃えてやがる」
豪炎を纏って、鉄の装甲を焼き切る。
S字カーブの時に削れた箇所から散る、火の粉でもはいって噴射口がイカれちまったらしい!操作が効かない!
「やばいやばいやばい、頑張れ!ゴールまで持ち堪え」
[推進装置が全損しました]
[操作不能]
「あっ────」
俺は壁に激突して終わった。
[鬼葉 脱落]




