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ゲーミングヤンキー〜喧嘩最強の男、少女となりて激走する〜  作者: アスク
第二章 Hurtling Burst -online-〜超高速のその先へ〜
33/82

軍資金7500円から始まる最速への道




「食事代と、光熱費と、バイクの維持費と諸々差し引いて……今月残り7500円」


 先月は一時0円だったところから考えれば、マシと言うべきか、それとも大差ないか。


「いや、これも今から0になるし大差ねえな」


 電子端末に映る7500という数字は残高、そして7500という数字がもう一つあるがこれは値段だ。


「やるぜ。【Hurtling Burst -online-】」


 そう、俺は今このゲームを購入しようとしている。

 【ロリポップ・パンクラッチ】での戦いが終わり、次なる戦場は空へ。

 しかしなぜこのゲームをやることになったかといえばやはりJAPAN CUPだ。


「賞金240万のタイトル、強え奴と戦うのはそれはそれとして、金が欲しい」


 流石にずっともやしは飽きるし、なにより身体に良くねえ。リアルで運動することを考えても、金の解決はした方がいいだろう。


{購入しました}


 ポチった。


「まずは【Hurtling Burst -online-】がどういうゲームか調べるか」


 ロリパンと同じ轍を踏んで面食らうのはごめんだ……いや、ロリパンも結果的に悪くはなかったが。


【Hurtling Burst -online-】通称:鳩バス。このゲームのテーマは「自由カスタム型天空レース」つまりどういうことかというと自作飛行機でレースしようぜってこと。

 良い。殴り合うわけじゃないが、競技性があるから嫌いじゃない。

 問題はレース以前にマシン組み立てという、これまた複雑そうなアレだが。ま、大丈夫だろ。

 普段は相棒を乗り回してるからな。下手な機械より繊細複雑なメンテナンスが必要なんで、そういうのには自信がある。

 高校中退ヤンキーだってな、頭まわせばそれなりにできるんだよ。


「ログイン」


 六畳一間は崩れ去り次に現れるのは────。








 広い空間、窓の外には宇宙、SF映画に出てくるような司令室って感じだ。ロリパンみたいに黒猫がいきなり現れることもなく。そして、身体が女の子になることもない。

 しかしな、それより衝撃的なことがある。


「なんか、こう、空気感っていうか、全体的に」


 そう、全体的に。


「リアルすぎる」


 これが7500円の力なのか。ロリパンとは比べものにならないほどに、モノの描写が実物っぽい。空間に流れる空気の動き、感じ取れる室温、そして匂い。何もかもが。いや150円と比べるのも酷かもしれないが。

 俺はこの司令室を一通り歩き回った。デスクとか、柱とか、宇宙空間が外に見える窓を触りながら。

 世界を満喫した後、ついにウィンドウは現れる。多分これからが教習(チュートリアル)の始まりだ。


{これよりチュートリアルを開始します}











 まずはマシンの組み立て、といきたいところだが、流石に難解な工程は後回しに、チュートリアルは先にレースをしてみよう!とのことだった。

 あらかじめ用意されたお試し型に乗車することになる。


ーーーーー

【FAレッドナイト 練習用量産型】

形状:戦闘機型

装甲:レッドナイト

主力砲:レーザーシューター 2基

推進装置:バレル型真空ジェット


搭載機器

迎撃型ドローン 1基

強襲用ボム 1基

2連ホーミング砲 2基

ーーーーー


 難しい単語並べちゃいるが、要は赤色の戦闘機ってわけだ。任せろ、俺様は天才だからな、乗りこなしてやるよ。と。


「しかし妙だな……なんでミサイルだの砲台だのついてんだ、これレースだろ」


 まあ、深いこと考えずに乗り込むわけだが、ここで一つ表示された。


{パイロットを指名してください}


「パイロット?おい、パイロットは俺だぞ何言って……ああ、そういう」


 これはつまりあれだ、ロリパンよろしく自分がなりきるキャラクター選択だ。別ゲーでの体験がいきたか?俺はスムーズに理解することができたぜ。

 あ、おい、まさかまた女の子しかいませんとか言わないよな?


「よかった、女以外普通にいたぜ」


 個性豊かなパイロットがいる。で、ロリパンやってるならわかるだろうが、このパイロットにもそれぞれ性能差ってのがあるんだろう?

 【ミルキィ・クラッシュ】が拳で殴る短期決戦、【ショコラ・ドール】が人形遠隔操作する後半型、というふうに。

 説明が表示されるとやはりそう書いてあった。

 うーん。まず気になったキャラから選択するかな。んじゃあ、まずこの黒髪ピンクメッシュのちっせえ女を────



ーーーーー

【キャット船長】

説明:かつて史上最年少の宇宙船船長として話題になった女性。かなりの手練れ。しかし見た目は成長しなかったようだ。


パイロットスキル

【堅実かつ最適解を】

装甲の防御性能を10%増加、5秒毎に小シールドを展開。機体破損率に応じて回避速度、修復効果が向上する。

ーーーーー




「────んはっ!?俺は、一体……一体なにをしてるんだ!?」



 まるで無意識のうちに、俺はこの少女のことが気になり、タップして詳細を開いていた。おかしい。俺はそんなんじゃなかったはずだ。俺にそんな趣味は無いはずだ。なのに、なのに、なぜ、俺は少女を選ぼうとした!?


「どうやら脳みそが毒されちまったらしい……」


 スキルとかそういうのは置いといてな、また少女を選ぶのはよろしくない。まして今回は大舞台で決戦するんだ、なんか、変に噂されても困るぜ。


「よし、こいつにしよう」


 代わりに選んだのは、白髪色黒高身長、ハンサムな顔立ちが俺()にそっくりなイイ男。



ーーーーー

【傭兵のウルフ】

説明:空の裏社会を暗躍する傭兵。詳しい経歴は不明だが卓越した飛行運転技術を持つ。最近仕事が無くなってきてレースに参加したらしい。


パイロットスキル

【任務は完遂する、仕事なんでな】

砲撃火力を5%上昇、砲撃速度を上昇。突撃時装甲防御20%上昇、機体破損率に応じて命中判定拡大を付与。

ーーーーー


 裏社会で暗躍する→俺じゃん

 経歴不明→俺じゃん

 最近仕事ない→俺じゃん

 ここまで俺に似てる奴そういない。身長は185らしい。勝った、俺190。うむ、【ミルキィ・クラッシュ】と打って変わって身体の違和感はまるで無い。


「まあパイロットの見た目とか、どんな奴かは置いといてな」


 このゲームの趣旨が見えてきたぞ。砲撃火力上昇だのミサイル、レーザー、ボム、ドローン、もしかしなくとも【Hurtling Burst -online-】はただ純粋に走るレースじゃねえ……。


「これ銃撃ドンパチ妨害ありの世紀末レースじゃねえか」


 おいおいマジかよ。いや、まあパッケージに光線打ってる戦闘機のイラストから察せられるがレースっていうかゴールまで生き残ったものが勝つ飛行バトルじゃねえか。

 それは、うん、実に。


「良い!!面白え!!スピードに乗りながら敵をぶっ倒すのはかなり良いぜ!!」


 なんかワクワクしてきたぞ。早速空飛ぶか。よし!【FAレッドナイト】よろしくな!

 俺こう見えて大型免許取ってんだぜ?ゲームでの戦闘機ぐらいお茶の子さいさい、大喝采だ!












{地表に衝突、墜落しました}


 メーデー、メーデー、ワレ操作不能。どうやら俺はここだと若葉マークらしい。





ブクマありがとうございます。

評価の星が、ほしいよ!(激寒)

なんなら1つでも喜びますよ。

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