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ゲーミングヤンキー〜喧嘩最強の男、少女となりて激走する〜  作者: アスク
第一章 ロリポップ・パンクラッチ〜可愛く、そして喧騒〜
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Sランク昇格戦:07「ホウィップ・スカイハイの逆境」



 シト・ヒナタと久憐の鬼ごっこ。


「逃げるだけでは勝てないですよ」

「……そりゃ、そうだね」


 窓を打ち破ってきた久憐、対峙するのは超逃げ腰のシト・ヒナタ。

 なぜって正面戦闘での実力差はまさしく雲泥なのだから。


「でも、やっぱ、いまは────逃げる!」


 最速の脚で場を離れる。判断としては正しく。ライト級の【ホウィップ・スカイハイ】はヒットアンドアウェイをするのが立ち回りの基本だ。

 が、しかし。


「君はそのキャラの力の半分も使えていないね」


 熟練の【ヴィター・バット】に蹴り飛ばされ壁に押し込まれる。

 追いつかれてしまった。飴の数はお互いに5つ単純な鬼ごっこならホウィップに軍配が上がるはずなのに。


「何故……」

「君が、最高速度を出せていないからです」


 くるくるくるとバットを3回転させ律儀にバットを構えつつ、シト・ヒナタはスイングの射程圏内に入る。


(くそ、考えろ……!!なにか打開策があるはずだ!!)


 まず最初の課題はこれから振られる高速スイングにどう対処するか。見てから避けるか、ガード合わせるなんて芸当が出来るのは鬼葉かそれ以上の実力者のみが許されることだ。ましてヒナタにそれは不可能。


(どうする、いや、一応1発ぐらいは耐えれるはずだ)


 1発だけは許容して逃亡するか……いいや、と心の中でそれを否定する。


(考えろ……考えろ……そうだ……!!)





「っ?」

「ふふ」


 ヒナタはニタリと笑って見せた。意味ありげに。恐れる心を押し殺して、久憐と向き合う。


「その顔は」

「なんだろうね?」


 ヒナタは追い詰められていることを悟らせないよう虚勢を張る。相手に本来の実力以上のソレを錯覚させようとしたのだ。


「むむむ?避けれるつもりですか」

「さあどうだろう」


 虚勢だろうと、なんだろうと、結局当ててしまえばいい、それが出来ると自負する久憐は一歩を踏み出す。

 だがシト・ヒナタにも実はバット一振りを一度だけ、高確率で防ぐ方法がある。はったりではない。

 それは────



{ホウィップ・スカイハイ【覚醒技:ソニックショット】発動}


 脚は風を纏い螺旋を形成する。風圧は振われる打撃を受け流しそして更なる速度を手に入れる。

 ソニックショットは7秒間の継続強化をもたらす技、短いようで久憐を引き離すのには十分。


「さよなら!」

「おいっと、逃げますね。しかし走行中の列車は密室、袋の鼠じゃないですか?」


 ゆらりと追いかけニタリと笑う久憐は余裕綽々といった感じか。ヒナタは……同じような笑みを浮かべた。


「逃走経路は……今さっき君が教えてくれた!」

「っ!?」


 窓を突き破り無理やり外に身を放り出す。余程の手だれでなければ、それこそ久憐ほどの実力がなければそのまま放り出されてデス判定となるだろう。

 しかし、覚醒技発動中の今ならヒナタでもやれる。


「さよなら!お馬鹿さん!」

「待っ」


 放り出されてしまう前にソニックショットの風圧で力の方向を無理やり捻じ曲げる。するとどうだろう見事天井に登ることに成功する。

 足場の悪い場所だがこれで死角。一瞬の隙を生み出すことに成功。


(まだだ、問題は、こっから!)


 さてこうなると久憐は追いかけて同じように登ってくるだろう。プレイヤースキルのみで同じことを相手ができてしまうことに劣等感を覚えつつも、だからこそ油断は絶対にしない。

 音を聞き分ける。


(素直に追いかけてきた……ボクを舐めてるよね、1位さんは!)


 慢心は許さない。


「待ちなよ」


 久憐が窓から飛び出す。そうしたらヒナタは、そのまま────戻る。


「ただいま」

「っ!?」

「キィィィック!!!」


 蹴り返し押し返され車両の中に転げる。ソニックショットが直撃してしまった久憐にとってかなりの痛手となる。


「おらーーー!」


 間髪入れずに削り切ろうと猛追。









「ふう」


 それは、甘すぎた。


「削りきれなかった君の負け」

「……!?」


 途中まではよかった。が、シト・ヒナタは残念ながら喜んでしまった。第1位に一矢報いたことでわずかな気の緩みを自分で作ってしまったのだ。

 追いかけるのではダメなのだ。さっきの一撃からコンボ始動し削り切らなければ久憐には到底及ばないのである。


「あっ」


 バットを一振り、HPバーも一振り、キャンディ5つを保有した最高火力を紙装甲のライトタイプが食らえばひとたまりもなく、乱数ミリ残しで僅かに生き延びるも虫の息。

 打ち上げられ窓を突き破り外に放り出され空中制動を失う。


(もうおしまいだ)


 このままリングアウトで終了だろう。そう思っていたらヒナタは背中に何かが当たりびくりと飛び上がる。


「うわぁ、駅!?」

「……運がいいのか悪いのか、ちょうどピッタリ着地しましたね」


 かんこーん、と、合図とともに開く電車の扉。情けなく生き残ったヒナタに再びバットは向けられた。

 ヒナタは逃げるしかなく、じりじりと寝た体勢のまま交代する。

 そして。


「お前何してんだァ?」


 少女の膝下にぶつかって止まる。


「お、鬼葉!?」

「おう。お前よく菓子より煎餅を追い詰めたな、流石我がライバル……」

「いや、そんなこと言ってる場合じゃない」

「んあ、おいおい、お前アイツの相手もしてたのか」


 電車から奴は現れる。


「序列第1位、久憐」





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