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ゲーミングヤンキー〜喧嘩最強の男、少女となりて激走する〜  作者: アスク
第一章 ロリポップ・パンクラッチ〜可愛く、そして喧騒〜
22/82

Sランク昇格戦:03「壊滅は早々に」






 アローズの面々が立てた計画は早々に瓦解する。鬼葉に罵倒を浴びせこき下ろしてから倒せればそれでよかったのに。


「クソ!2人やられた!なんなんだアイツらは、鬼葉の仲間か!?説明しろ!」


 全員同じ見た目だが中身は違う。一番苛立ちを感じさせる表情をしている【シーフォン】はアローズのリーダー。このゲーム鬼葉撃破計画を立てたメンバーに激怒する。


「あれはランカーっす!鬼葉を狙うつもりが偶然マッチングしてしまったんすよ!」

「ランカー?なんでアイツら俺たちを付け狙う」

「そりゃチートしたら原住民の皆さんブチギレっすよね」


 列車両の最後尾で窓の外に銃を向けて、5人は籠城ている。


「……リーダー、あれなんすか」


 窓の外に気付いてそう言った。


「あぁん!?俺だって知らねーよ、なんだあれ」

「殺人ぐりずりー君っすね」


 この中のたった1人の有識者、別の名前では911アイサーサーとも呼ばれる彼はこのつぎはぎクマ人形が敵だということを知っている。


「あれは菓子より煎餅って奴が動かしてる戦闘兵器みたいなもんっす、撃ち殺してくだせえ」

「変な名前の奴がいたもんだな。ったく、撃っちゃうぜ」


 アローズリーダーがライフル銃を構えて、ズドンと撃ち込んだ。


「……外した」

「リーダー」

「うるせえ!こういうのあんまやらねえんだよ!」


 クマさん人形は肩を震わせきしゃしゃと笑っている。それに憤慨したリーダーはもう1発撃ち込もうとすると。


「────っぁ!?」


 左横にいた仲間がバットで打ち付けられる。そしてキルされて、消滅した。窓から入ってきたのは虚ろな目をした【ヴィター・バット】


{久憐がarrowsをキルした}


「むやみやたらに撃つ素人。自分の位置を晒していることに気がつかない阿呆共」

「っこんのやろう!」


 一撃で仕留められる銃弾も当たらなければ意味がないわけで、それがこの久憐に届くかと聞かれれば答えはノーである。


「全弾……バットで」

「跳ね返した……だと!?」

「ホームラン」


 くるくるくると3回転させた後、半歩前に出る。一番近くにいる奴を当たり判定の側の側に捉えて、フルスイングすると抹消した。


{久憐がarrowsをキルした}


「なっ、こいつ半端ない強いぞ!?」

「畜生っ!畜生っ!」

「逃げやしょう!安全圏から狙い撃ちすべきっす!」



 急いで電車から出た。すると1人やられる。


「っ!?」

「なんすか!?」


 電車の屋根の上から長い赤髪の暗殺者が降りてきて斬り伏せたのだ。


{エクレアがarrowsをキルした}


「紛い物、紛い物……後2人。む、2人足りない」

「ああ。2人足りないのは私が食べちゃったからですよ、【エクレア・サーベル】」


 序列第2位【エクレア・サーベル】使いにしてプレイヤー名、エクレア。

 そんな少女を他所に、久憐は敵の頭のてっぺんをかち割ってキルを取る。これでリーダーとチート首謀者(911アイサーサー)のみとなる。


「なんだよ……なんなんだよお前らッ!」


【エクレア・サーベル】は驚愕するアローズのリーダーには目も暮れず【ヴィター・バット】を睨みつける。そしてヴィターもまた睨み返した。


「貴様は本物に近い。煽りさえやめれば」

「ケツデカアピールとパンチラは弄りがいのある奴相手にしません……そうあんたみたいなやとぅーーー」

「チッだから嫌いなんだ」


 完全に強者2人の世界に入る。これが如何に屈辱的か、アウェイにされたアローズリーダーと911アイサーサーから恐怖は消えて憎悪が溢れる。


「ざけんなよ……お前ら、お前ら、死────ッ」

「く、くそーー────」


 しかしその怒りも虚しく両者、蹴飛ばされた。キルに至るわけではないが、次はやるぞと言わんばかりに睨みつける。猛獣の威圧。卑怯な技に手を染めた彼らになす術なく。逃亡するしかない。


「クソがよ!」


 両名走り出す。だが、ここで様子がおかしいと気がついたのはチート作戦の提案者911アイサーサー。久憐とエクレアが追ってこないことに違和感を覚えたのだ。


「リーダー、待ってくだせえ」

「あぁ!?」

「なにか、なにかおかしいんす」


 何かを感じとるまではよかった。しかし所詮三下。それに気がつくには精度がまるで足りてない。


「オルァ!!」

「あっ────」


 上から降ってきた少女に911アイサーサーは踏み潰される。

 ピンク頭のツインテール。百花繚乱の鬼スカジャン。凶悪暴走ハッスルガール、【ミルキィ・クラッシュ】の使い手。


{鬼葉がarrowsをキルした}


「て、てめっ」

「よお、どう落とし前つけてくれるか?あぁ?」



◆◆◆◆◆◆

 


「え、えぇ……」


 何が起きたかわからない。ただ一つ確かなことは鬼葉の突撃後チーター軍団が1人除いて壊滅したことだろう。紫兎chコメント欄の流れが速くなる。


{はーたんやべえ!}

{チーター狩り}

{チーター狩りキターーー}

{他のランカーも強い}

{ランカーvsチーター}

{チーター討伐数一位は鬼葉}

{はーたんに惚れた}

{はーたんの配信だよねここ]

{ヒナたん空気}


「やばい完全に食われたよボク」


 {だって活躍してないじゃん}と流れる。ごもっともすぎて何も言い返せないヒナタだった。


「……にしてもなんか、いつもより人多くない?同接4桁突破してるし」


 ふと気がついたことはそれだ。常連のコメントがすぐに上に流れていき、知らないアイコンのコメントがやってくる。


{初見}

{初見でーす}

{ここが噂の}

{変態紳士鬼葉を見にきた}

{今ロリパンおかしいことになってる}


「初見さんいらっしゃい」と、とりあえず挨拶をしたヒナタ。そう、ロリパン勢が配信を見になだれ込んできたのだ。


{何故戦いが終わらん}

{今みんなログインできてないのに配信できてるのなんで?}


 鬼葉がすごい、ヒナたん頑張れ、そんなコメントに紛れ込む疑問、不思議、謎、おかしな状況に盛り上がりを見せている。

 実は今、試合の外、ロリパンの状況はメンテナンスにつきログイン不可となっている。緊急メンテ中に試合がある場合、原則中断ということになり、強制終了になるはずだった。しかしまだ試合は続いている。この状況に困惑する視聴者。


「もしかして運営さんこの試合みてる?」


 ヒナタはなんとなーく、言った。そうだったら面白いなあという感じだ。するとコメント再加速。


{え}

{え}

{うそん}

{それはない}

{運営「どうなるんやろなー^^」}

{ありそうである}

{ここの運営ならやりそう}

{ロリパンしてないからわからん}


「なんか、すごいな」


 常連は疑い、ロリパン勢が肯定、運営は何処。カオスな状況に一喜一憂すれば、チャンネル開設以来1番の盛り上がりを見せるのであった。

 そして、その盛り上がりは、まだこれからである。


「クソクソ!近寄るな!」


 電車の外、駅のホーム、黄色い点字ブロックの向こう側、後退りする少女【シーフォン・スナイパー】


{あ}

{あ}

{きた}

{チーター}

{マッチング!!}

{あーーー}



 その視界の先に【ミルキィ・クラッシュ】。いま、まさにチーターvs鬼葉の一部始終を捉える。




◆◆◆◆◆◆




「来るな!来るな!!」


 そう言って奴はライフル銃をこっちに向ける。震えてる。ゲームでも引き金を引けねえのか。

 さて、コイツをただ倒すだけじゃあダメだ。俺のシマに足つけた落とし前つけてもらわにゃいかんよ。俺がプレゼントするのはそう、圧倒的敗北感、無力感、絶望感、屈辱感。コイツを心身共にぶちのめすことだ。


「ゲームだからな、痛みがあんまねーし、アレだからよ……今はメンタルを叩き潰す」


 容赦はしない。一切。俺は両手を広げてやった。そしてまっすぐ見てやる。


「お前、一撃必殺のそれで、俺を撃ち抜いてみろよ。ほら、チャンスだぜ?俺をうち負かしたくて仕方ないんだろ?」


 視線は外さない。銃を構えさせる。的になってやる。さあ撃てよ。


「クソクソクソクソ!!」


{シーフォン・スナイパー【覚醒技:ワンショットワンキル】発動}


 覚醒技:ワンショットワンキル、俺はこの技を勿論知ってる。打ち出すまでの時間が長くて当てづらい。下手な鉄砲数うちゃ当たる理論で無限チートしてんだろうな。

 生憎それ隠伏暗殺特化なやつだ。それを白兵戦でやってあたるかっていうとそんなわけない。相手の位置がわかってるなら避けられる。

 なんだ?俺がどっしりかまえて動かないから、当てられると思ったか?


(オタク思考的空間挙動……)


「ゼロラン」


 俺の身体は脚を動かすことなく。"重力"が左側に加わるイメージ。その後から脚を踏み出すと、そのまま高速移動し銃弾を軽々かわす。


「なに!?」

「ハハッ、成功したぜ」


 俺は、ゆっくりと近づく。撃たれても、撃たれても、避けて避けて。


「オタシコってーやつだ。まあ何言ってんのかわかんねえだろうがな」


 ま、オタシコって単語俺も最近知ったし。

 ああ、そう、俺はここ数戦でガードともう一つのオタシコを習得しようとしてる。それが今のやつ。


「ゼロラン、極限まで抑えた予備動作で、瞬間的だが超高速に乗るっつーテクニックだ」

「なんだ、なんだよ、なんの話だよ!」


{シーフォン・スナイパー【覚醒技:ワンショットワンキル】発動}


{シーフォン・スナイパー【覚醒技:ワンショットワンキル】発動}


 弾道ブレブレだぜ。まったく。


「俺のゼロラン、これ、まだ未完成なんだよな」


 つまり何が言いたいかっていうと。


「お前が、タマかけて手に入れたズル技は、俺にとっていい練習ぐらいにしかならねえってことだ」


 ほんとバカだよこいつら。手を染めてやることがこれって。

 とりあえず銃をその腕からはたき落としてやる。ぶっちゃけこれでもう撃てない。

 俺は顔を近づける。よかったなリアル俺じゃない、ミルキィの可愛い顔だから幾分かマシだろう?


「なァお前、サイバー攻撃ってど偉いやらかしらしいぜェ知ってたか?」

「あ」


 知ってるのかそうじゃないかわからない反応だ。いいや、ビビってくれるなら。


「多分この後パクられるんだろうけどよ、次シャバ出れんのは何年後かなァ……」


「お前の自由時間数年分は、俺の練習時間一瞬として消化されたようだぜ」


「ムショに行ったらよ……俺の五兆倍怖ーーーいクソ野郎どもいるからよぉ……面会して先に伝えてやる」


「『面白え小僧が来るから存分に可愛がってやってくれ』ってなァァァ!!!」


{鬼葉がarrowsをキルした}


 ま、あとはリアルで反省してくれ、馬鹿野郎ども。



◆◆◆◆◆◆




「はぁっ!?はぁっ!?」


 見事に、あっさりと全員討ち取られてしまった。鬼葉を倒すつもりが鬼葉と同等かそれ以上の者たちに付け狙われた当然の結果だった。


「あ、リーダー帰ってきた」

「おいおいやられたぜぇ。リーダーもコイツにいってくやってくれ」

「一撃必殺の武器はあっても無敵じゃないんすよ!てかリーダーのエイムカスすぎ!」

「「「それはそう」」」


 なんて冗談を受け取れる余裕が今のリーダーにあっただろうか。


「リーダー?」

「り、リーダー!まだいけますぜ!もう一度ログインして強制的に入り込めばいいんすよ」


 なにかに怯えるリーダー。リアル姿の911アイサーサー君は、陽炎の店主に作らせた違法コードを起動して再び戦場へ行こうとした。

 が、そんな努力も次の瞬間絶望に塗り替わる。リーダーの恐れる理由はそこにある。


「くそ!ログイン不可!」

「垢BANされたか」

「どうなってんだよ!早くしろ────あっ!?」


 お迎えだ。


「リ、リーダー!サツだ!」


 リーダーは動かない。いや、動けない。

 赤の輝き、サイレン音が響き渡って、秩序の番犬は現れて、もうそこは包囲されていた。


「警察だ。少し、署まで来てもらう」







 かくして、情けない情けないアローズは、お縄にかかって壊滅した。彼らの敗因は1つ。変態の楽園を穢したからだ。





感想、ブクマ、評価ポイントはありがたいです

おかげさまで屍からゾンビぐらいには回復しましたよ

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