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ゲーミングヤンキー〜喧嘩最強の男、少女となりて激走する〜  作者: アスク
第一章 ロリポップ・パンクラッチ〜可愛く、そして喧騒〜
14/82

超撃爆破のナンバーナイン:03



 オタシコ、オタク思考的空間挙動の一つガードテクニック。俺はこれを習得すべく実践練習する。何度負けたって構いやしねえ。やるたびに強くなって勝てばいい。

 ランクを上げながら実力を伸ばす。一石二鳥だろう?


[マッチングしたわ]



 顔を合わせるキャラクターたち。tier1だ。俺以外の5人中4人が【ラズヴェリー】だ。そもそもコイツに勝つために必要な専門技術がガードだからな。いい練習じゃねえか。

 さて【ラズヴェリー・チェーン】ってキャラをちょいとおさらいすると、名前にある通り(チェーン)を武器とする。テキトーに振ってたら自動巻き取りしてくれる便利な奴。で、捕まると動けなくて一方的に殴られる、まずい。

 だから開幕鎖に捕まったら終わりだ。


{3}


 スタート合図まで、お互いが睨み合って────っておいおい、なんか1人【ラズヴェリー】じゃない奴混じってんぞ!?






「あぁ、ランクマ過疎すぎるねぇ。格下マッチングって心臓に悪いからやめて頂きたいんだ」


{2}


 俺と、ソイツは目を合わせた。合わせちまったっていうか。


{1}


 そのキャラクターはラズヴェリーと同じく、tier1。強いキャラ。しかし、今回の場合は、キャラが強いだけじゃない。


ーーーーー

炉万奏音

ランク:S-1

(トップオブロリポップ序列9位)


【ブラウニー・ダイナマイツ】

ーーーーー



{fight‼︎}





◆◆◆◆◆◆




「トップオブロリポップ?なんだそれ。なんか猫のやつも言ってたな」

「チャンチーね。設定だとこの世界の頂点、一番やばくて強くて明るくて、まあ、トップアイドルっぽい存在だよ」


 シト・ヒナタが言う。


「メタ的に言うと、シーズン総合勝利数ランキングのトップ10」


 そりゃつまりこの世界で一番戦闘経験があって、一番実力がある強者集団。


「彼らの試合風景を全プレイヤー観戦できる仕様があるんだけど」

「へえ」

「参考にできると思ってさ」

「おうおう、言われてみりゃそうだな!強え奴の動きは勉強になる」


 でかしたヒナタ。そうして観た。



◆◆◆◆◆◆

 



 だから知ってる。観たことあるから知っている!


 ただのtier1キャラ【ブラウニー・ダイナマイツ】ではない。中身はS-1ランクだ。

 ただのS-1ランクじゃない。トップオブロリポップ序列9位だ。

 トップオブロリポップ序列9位、それ即ち、このゲームにおいて世界で9番目に強いプレイヤー。


「合法ロリはお好き?」


 開幕、鎖が飛ぶより先に大爆発は引き起こる。

 おいおい、爆発物取締うんぬんでそりゃ非合法じゃねえか。



「bomber」


 投げ込まれたダイナマイトは着火済み。開幕ダッシュした俺は避けることに成功……そして背後でチェーンを伸ばす輩は爆発に巻き込まれる。


「っぶねぇ……開幕は凌いだぜ」


 全員至近距離からゲームスタートする関係上、最初の1秒で即死することもザラだ。


「Sランクの野郎、チッ、やるだけやって即逃げしやがったか」


【ブラウニー・ダイナマイツ】使いの炉万奏音はすたこらさっさと姿を消す。今回のエリアはシャッター街。長い一直線マップなのだが、立ち並ぶ店のせいで隠れ場所は豊富。

 こうなると姿を表してるラズヴェリーを潰すか。


「面白え、やってやんよ」


 ここ3日程、このゲームとだけ向き合い続けてんだ。まだ、テクニックとか課題点多いけどな、この身体の、キャラの特徴が、弱点が、そして最大の強みが、いやでもわかるようになってんだよ!

 【ミルキィ・クラッシュ】ってキャラの最大の強み、それは!


「序盤は(ミルキィ)の独壇場!!」


 キャンディがゼロ個という対等な条件でやり合った場合、俺の【ミルキィ・クラッシュ】は、例のアイツを除いて全てのキャラ相手に勝てる。たとえtier1だろうと関係なく。スピードとパワーが段違い。


「ようラズヴェリー!お前俺のキャンディになってもらうぜ!!」

「なっ!?」


 初陣でのやり方はあながち間違いじゃなかった。

 基本戦法は、ガンガン相手を倒して飴を手に入れパワー差を持って速攻ケリをつける!

 甘い甘い、こちとらチェーンに当たって死ぬようなド三流じゃないんでな!


「ハッッハァ!!」


 強いが故に、動きが大味。肉薄し、張り付いて殴るのは容易いこと。


「ちっ、お前らこのミルキィ縛れ!」

「……んあ?」


 そういえばラズヴェリーは4人いたのにコイツだけしか姿が見えなかった。キャンディ優先で走ってどっか行ったのかと思ったが、なるほど。グルってわけか小賢しい。


「"馴れ合い厨"っていうんだかァ?」


 ランクマッチにたまにいるんだよな。示しを合わせて1人を狙い撃ちしようとする輩が。ネットじゃそう言うらしい。

 残念、それでくたばる俺じゃあない。

 放たれたであろう鎖をしゃがんで避けた。そして頭上を通り過ぎたアンカー三本、全てお仲間さんに突き刺さる。


「なんっ────」

「まず1つだァな」


 誤って仲間を殺しちまった気分はどうだ。最悪だろう?複数人でいることの悪いところだ。


「そして2つ!!」


 自分より力が強い相手が複数人の場合の大前提!一対一を繰り返す!


「やばいやばい!死ぬ!」

「なにコイツっ!うますぎだろ!?」

「ど、どうする!」


 あたふたして、素人が。はやく助けないと、こんなふうに、お友達を失うことになるんだぜ?


「あと2人ィ」


 2人のラズヴェリーはブルっと震えていた。なんだ?俺が怖いか?おいおいそんなことはないだろ?可愛いハッスルガールのミルキィちゃんだぜ?


「に、逃げるぞ!なんだよあいつ!あんな般若みたいな顔のミルキィちゃん見たことねえ!」

「キャンディ拾って立て直そう」

「っあ!おい待てやゴルァ!」


 どこぞの蜘蛛男みたいに、アンカーチェーンを向こうにある店の壁に突き刺して、引っ張られるように飛んでいく。


「逃がすかよォ!!」


 自分と近い方の裾を掴んで引っ張る。


「ひゃあ!はなせっ!!」

「『ハートを掴んで離さないぞっ』ってなァ!!!」


 公式設定から出典。ミルキィというキャラ説明に妙に焼きつく文章だったんでなぁ……うん、俺の肌には正直合わん!うげー!


「ぶっ飛べラズヴェリー、PONッ!!」

「おぶっ!?」


 顔面にフックを叩きつける。手応えあり!はい3人!


「く、くそ!化け物め!!」


 1人逃したか。ああいう移動もできるから強えって言われるわけだな。残念ながらミルキィの脚じゃあれを追いかけるのは困難だ。


「……さて、ここまではいい。俺が元から持ってるモノを使っただけだ」


 そう、ゲーム的技術は一切ない。今のは単にリアルの力の応用でしかない(・・・・・)



「うわぁあああ!!」


 飛んでいったラズヴェリーが墜落。壁ごと崩壊し、散った瓦礫は断面が焦げて、黒い煙を帯びていた。


「問題はこっからだ」

「────私はねぇ、合法ロリってーやつが好きなんだ」


 ラズヴェリー1人の側によるのはさっき隠れた【ブラウニー・ダイナマイツ】の使い手。ランク9位、炉万奏音には、いまのままで通用するとは思えねえんだ。



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