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ゲーミングヤンキー〜喧嘩最強の男、少女となりて激走する〜  作者: アスク
第一章 ロリポップ・パンクラッチ〜可愛く、そして喧騒〜
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ミルキィ・クラッシュ、百花繚乱




 朝。イベント会場の設営をする前に立ち寄ったのは便利屋"陽炎"

 俺に仕事をくれた奴の店でガレージがあるこじんまりとした家。


「おーーい!来たぜー!」


 返事はない。てかいびきが外まで聞こえてる。あのジジイ、歳取ったら早寝早起きになるとか嘘だな。

「ぐがっ」という声がした。起きたようだ。

 玄関から白髪のよぼよぼのお爺ちゃんが杖をついて現れる。


「おーうピンクの坊や、新しい彼女できたかのう?」

「開口一番それかよ。ちげーよ仕事の話」

「なんじゃ、それか。ほれ、ガレージでおねんねしとるぞ」


 家の真横のガレージのシャッター。ガラガラガラと上げて、相棒(・・)とご対面する。自宅が自宅なんでここに置かせてもらってる。


「よう、元気してたか?」


 クラシックバイク。最新技術で補強とメンテナンスの施された我が愛車。黒色の力強いボディは覇気を感じさせる。

 巡り巡って俺の手元にあるんで本当かどうか知らんが大元の型は1990年あたりに製造されたモデルだと聞く。生まれてから100年近く経ってる御老体ってわけだ。


「今時バイク乗っとるやつお前と虎の坊やんとこだけじゃな」

「まあな。さて、会場はグランドフロントの方だ、ちょい距離があるがまあ大丈夫だろ」

「グランドフロント、お前さんの故郷か」

「心の故郷は龍頭(こっち)


 色々とギラギラした街、東京。実は俺の生まれ育ちはここ龍頭の街じゃなくてそっちだ。近くに実家あるが今更合わせる顔がないんでパス。

 飛び込みで仕事したら爆速で帰ってロリパンだ。












 体格に恵まれたおかげで力仕事いくらやっても疲れねえのが俺だ。複数人で運ぶようなクソ重い鉄柱を1人で持てちゃうのが俺だ。工事用ドローンより仕事早いぜ?

 そんな俺でも休憩が必要。なぜってクソほどつまんねえからだ。戦わずして力を使うのは一種の怠さがある。

 本職のおっさんの奢りで缶コーヒーを啜った。冬ってなんでこんな寒いのかね。ずっと春になりゃいいのに。


「ひょっとしてこの隙間時間にロリパンできるか?」


 着替えと荷物を置いたロッカールームの方につい目が行く……おう、ランクマッチ一戦分ぐらいのじかんあるな。ちょっくらいくか。

 

「へえ、おにーさんゲームするんですね」

「あ?」


 後ろから声がした。誰もいない、いや、目線の下。黒い髪の毛につむじが見えたと思えば、にたりと笑顔を見せる女。


「おい、ここは関係者以外立ち入り禁止だぜ?まだ準備中だかんな」


 鉄柱が脳天に突き刺さってもしらないぞ、と脅して見せるが奴は動じる様子はなく。


「私も関係者」


 と、首にぶら下げた名札を見せてくる。九条(クジョウ) 蓮巳(ハスミ)どうやらゲーム大会当日の主催側の事務関係者らしい。よくみりゃパンフレット的な束を持っていた。


「ロリパンって言いましたよね。いま」

「ああ、言ったが?」

「ソレってゲームの方ですよね。それとも、まさか、ロリのパ」

「仕事戻る時間だわじゃあな」


 蛇みたいなにやけ面の女、なんつーこと聞きやがる。もうこの時点でめんどくさい奴だと分かったのでここから退散することにした。が、すぐに足を止めることになる。

 

「私もロリパンやってるんですよね」

「……ほーん」


 なるほど?俺と同じ戦場にいるってわけか。コイツももしや戦いが、好きなのか?なら話は変わってくるぜ。ちょっとだけ聞いてやってもいい。


「好きなキャラはなんですか?」


 奴はいきなりそういう質問をしてくるので俺は首を横に振った。


「いんや。そういう目的でやってないんでな。つーか、キャラの違いとかイマイチわからん」


 で、そしたら。


「嘘つかないでください」

「はぁん?」

「ロリパンやってる時点でロリ趣味確定です。ロリコンお兄さん、こんにちわ」

「おい待て違う」

「ああ、同志よ」

「ち、ちっっげーよ!!深い理由があんだよ!」


 いくら説明したところで無駄だった。ロリパンをやってる奴は100%それだと断言された。

 逆に「お前もロリ趣味ってことになるけどいいのか?」って言ってやったら「私は誇りを持ってロリコンを自称してます」と返された。それじゃあなんも言えねえよ。堂々としすぎて逆にカッコいい。


「で、推しを聞かせてくださいよ。変に誤魔化されて逆に余計気になります。いないとは言わせませんよ?」


 やべえ、迫ってきた。なんでこんなめんどくさい女に返事しちまったんだろう。仕事戻ればよかった、マジで。


「あーあー、俺は持ち場に戻るぜ」

「え、まだ休憩時間終わってないですよ。ほらスケジュール表に……」

「ぐぬ……」


 クソ、こいつ関係者だったから把握してやがった。


「強いて言うなら【ミルキィ・クラッシュ】これでどうだ?」


 まあ、B-3までずっとこのキャラで上り詰めたし流石に覚えもする。そしたら「玄人ですね」と返された。どーゆーこと?


「私は【ヴィター・バット】が好きです」

「……アイツか」


 高速スイングを放つ豪腕(細腕)スラッガー。忘れもしない連敗、コイツの、正確にはコイツを使う久憐だが。ヴィター・バットに、俺がロリパンを続ける呪いをかけられたと言っても過言ではない。


「【ヴィター・バット】は、強え」

「ああ、あのキャラ、意外とそうでもないですよ」

「なに?」

「確かにスイングのスピードとパワーは半端ないですけど、移動力が無いので」


 移動力が無い。1on1なら気にならないが、ランクマッチにおいてはキャンディ集めてハイになるのが遅いってことだ。ほうほう、そう言う弱点もあると、面白え。


「ただ、如何なる状況であろうとミルキィには負けませんけどね」

「……」


 いま、ちょっと、ピキッた。


「飴5凸しても、攻撃速度は飴0ヴィターが上回る。クリティカルスイング2回丁度で落とせる。おまけに攻撃範囲の関係で完全有利なのですから。もしヴィター対面が多くて苦戦しているならキャラ替えを推奨しますよ?」


 なんでだろう、クソほど悔しいんだが。別に俺があれやこれや言われてるわけじゃあないってのに。

 まさか俺は「ミルキィはヴィターに勝てない」みてーなこと言われて、キレてんのか?

 違うと思いたいんだがこのムカムカする感情はソレ以外ないよな。


「……おい、お前どっかで会ったことあるか?」

「いえ?初対面だと思いますが」

「なら、覚えとけ。ヴィターに対して絶対に負けねえミルキィが現れる、その時を精々楽しみに待ってろ」

「……ふふ、そうですか。楽しみです」


 休憩時間が終わっちまった。空の缶を捨てて、俺は持ち場に戻ることにする。

 決めた。【ミルキィ・クラッシュ】で全てを制す。ま、今更キャラ変更できるほど俺が器用じゃないってのもあるが?不利?しらねーよ、俺が強えから全部ひっくり返せるって話だ。


「ああ、ちょっと待ってくださいその前にこれを渡しておきます」

「んあ?」


 俺はパンフレットを一枚手渡された。


「折角設営したんですから、是非見に来てくださいね。格ゲーではなくレースゲームですけど。観ると楽しいものですよ」


 優勝賞金240万、日本最速を決める戦いが始まる!との節で書かれたソレ。試合観戦は嫌いじゃない。

 と、裏面をみると参加条件不問、誰でもビッグドリームを掴むチャンス!!とまあ、胡散臭いことが書かれていた。


「おい、これ、ゲームで勝てば金貰えるってことでいいんだよな?」

「そうですよ。もしかして参加希望ですか?」

「……」


 いや、と俺は断った。


「少し考えとくってだけだ」









 結局今の大半は仕事で終わる。俺は夜10時に帰宅。それから酒を飲む……予定がロリパンのログインしていた。そして。


「お、鬼葉、その衣装は……!?」


 フレンドルームにて驚く我が好敵手、シト・ヒナタ。これに関しちゃ俺も俺自身の奇行にびっくりしてる。


「【ミルキィ・クラッシュ-百花繚乱-】!?ガチャでしか手に入らないスキンじゃんか!まさか鬼葉」

「……」


 百花繚乱。現在ガチャで超超超低い確率で手に入るミルキィ・クラッシュの最高にイカしたスカジャン姿だ。なんの偶然か鬼の刺繍までしてあってまあ。

 なお能力が上がるわけじゃない。なんでこれを着てるかって?そりゃお札を叩いたからだ。

 

「後悔は……してないと言いたい」

「うん、半分ぐらいしてるみたいだね」


 今日稼いだ給料が今日のうちに全部消えた。とち狂った数分前の俺がガチャに全額ベットしたのだ。うん、なんでなんだ?どうしちまったんだ俺?アホなのか?

 ゲームに生活費を使ったんだ、後悔は物凄くある。仕方ねえだろ!無料一回だけじゃでねえから千円入れたらそこから止まらなかったんだからよ!これもう新種のヤクだろ!


「けど半分は嬉しそうだね」

「嬉しかねえよ。ただ使っただけの価値はあったって信じてるぜ」


 この服を手に入れたことで俺のテンションが高鳴る。勝負ってのは結局のところ精神力の差が最後の命運をわけるんだ。

 ど貧乏の俺がそれでも髪の毛桃色染めを辞めないのも、維持費クソ高いバイクに乗ってるのも、今回のことも全部その為だ。

 これが、【ヴィター・バット】を久憐をいんやそれだけじゃない。敵を全部ぶっ倒すに相応しい姿。


「ここまで来たら止まらねえぜ、俺はよォ」


 




ちょい未来的世界観。とりあえず一部ジャンルのプロゲーマーの地位はスポーツ選手と同等。

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