謎 VS 常識
「そういえばさぁ。最近、家に“アレ”が出たんだよね」
「アレ?」
「そう。ほら、あの、黒くてカサカサしてる奴」
「ああ、“アレ”ね」
「うん。本当に困るよね、あの“おじさん”」
「ん? ??? え?」
「ん、どうしたの?」
「い、いや、ちょっと聞き間違いを...」
「そっか。でね、その“おじさん”が部屋の隅にずっと居てさぁ」
「...おじさん?」
「そう、おじさん」
「...黒くて、カサカサしてて?」
「うん。黒くて、カサカサしてて、あと、メガネを掛けてる」
「? ?? ???」
「ぞれで、その“おじさん”がずっと居て困ってるんだよね〜」
「...そ、そう。それは困ったね」
「うん。あ、あとさぁ。他にも困った事があるんだよね。ほら、夜にプーン、プーンってうるさいやつ」
「ああ、うん。それは確かに困るよね」
「あと、寝てると血を吸ってきて...」
「...うん。ムカつくよね」
「そうだよね。寝てる間に勝手に吸ってきて、しかも貧血になるまで血を吸うんだよ?」
「うん? ...うん。うん。...うん? ...貧血?」
「うん。そう。いくら吸血鬼だからって、寝てる間に勝手に、しかも貧血になるまで吸うなんてありえないよねー」
「...えっ? えっ? きゅ、吸血鬼?」
「うん。吸血鬼。どうしたの? そんなに慌てて」
「えっ...い、いや、吸血鬼って...でも、プーンって...」
「うん。いつも枕元でヴァイオリンを演奏してて。下手な上にうるさいから困るよね〜」
「いや、 よね〜 って...え? 私がおかしいの? あれ? うん? ...あれっ?」
「ん? どうしたの? 頭痛いの? 大丈夫?」
「うっ、うん。大丈夫。私は大丈夫。大丈夫、大丈夫、大丈夫...」
「そ、そう? 大丈夫ならいいんだけど...それで、最近は色々なのが増えたりして困るよね〜」
「っ!? ...う、うん。そうだね」
「近所のおじいちゃんが学校を食べちゃうし、ペットのセミの散歩が最近あまり出来てないし...あっ、この前先生が扇風機の群れと戯れてたけど、1匹凶暴なのが居て怪我したらしいよ」
「...? ? ???? ?? ????????
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