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ラティスから始まる冒険の話6

 結局、バンデルとの会談はそれで終わった。

 あっちもそれ以上は話してくれなかったからだ。お金積めば話してくれたのかもしれないけど、逆に「俺が金出せばペラペラ仲間の事話すとでも思ってんのか!」と怒らせる可能性もあった。俺、あっちの事何も知らないからなあ、下手に動けなかったのよ。

 ……まあ、一応怪しい連中の事に関しては話してくれたけどさ。

 冒険者ギルド職員さんことドゥリンさんも下手にギルドの事に関して安請け合い出来なかった。

 これがギルドマスターとかなら武器防具に関してとか一部譲歩というか、交換条件出せたかもしれんが、一介の職員にはそんな権限ないしな。

 バンデルがつけてくれた配下が街に入るまではついててくれたお陰で、何も起きる事なく戻れた。まあ、ここで下手にスラムの住人がちょっかい出したりしたら、ろくな事にならんからな。バンデル自身の面子も丸潰れだし。

 で、冒険者ギルドに戻って一息。


 「はあああああ……」


 ドゥリンさんが座るなり、机に突っ伏した。


 「大丈夫か?」

 「……怖かったんですよ」


 あの、俺を抱っこして、モフモフするのは……あっ、そこ気持ちいい。

 キューとか声が洩れちゃう!


 「あっちも手出したら、スラム出身の冒険者に迷惑かかるって分かってるから、そんな事はしねえよ」

 「理屈では分かってても、怖いものは怖いんですよ!!」


 ジョンが苦笑しながら言ったけど、ドゥリンさんはむしろ怒った。

 まあ、ねえ。

 幾らにこやかにされてても、強面とか迫力ある人とか怖いってのは分かるわ。ましてや、スラムの顔役なんて肩書きまでくっついてたら猶更。

 

 「けど、あっちもシロっぽいかあ」

 

 ジョンさんがぼやいた。

 ギルドが候補に挙げた内、二人が無関係っぽいとなるとどうしてもな。

 

 「となると最後の候補になる訳だが」

 「まさか、重なるとはね」


 そう、ギルドの最後の候補とバンデルから聞いた怪しい奴ら。

 その双方が被ったのさ。


 「マリグラ教団ねえ…」

 「正確にはその傘下の商会も含めますけど」

 

 教団でも商会を持つ所は意外と珍しくない。要は、信者からのお布施だけでは食っていけないから何かしらの商売をする事で生活する。

 もちろん、教団と、その傘下の商会だから教義に則った商売とか方針がある。例えば、不殺を教義としてる教団傘下の商会が家畜の屠殺なんかを行う商売はしないし、知識を求める教団だと決まった店を敢えて持たずに大規模な商隊を組んで世界中を回っている、なんて所もあるそうな。後者の場合、そうやって生活費や書籍の購入費を稼ぎながら世界各地の知識を収集してるんだそうな。

 で、マリグラ教団な訳だが……。


 「で、ここの教義ってなんなんだ?」

 「それなんだがね……」


 一応表向きは「融和」を謳ってるそうだ。

 今、力を入れているのが人と魔物の融和、って事になってるそうだ。

 

 「その教義と商売の一環として、雇用した魔物の人族の受け入れてくれる貴族らへの人材派遣、逆に人の魔物の国への人材派遣を行ってるそうなんだが……」

 

 一応、理由としては「人と魔物の相互理解の不足は互いを知らない事にある。共に傍で働き、互いを見ればおのずと融和は進む」というものらしい。

 うん、表向きの理由としては立派だし、きちんとしていると思う。 

 さて、ここのどこが怪しいのかな?

明日は竜の更新の為、ウサギはお休みします

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― 新着の感想 ―
[一言] 本当の悪人は善人の顔で近づいてくるってバッちゃんが言ってた……ような気がする! 「働けない小さなお子さんに愛玩動物という立派な仕事を与えてあげてます」とか言ってるに違いないよ。たぶん?
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