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ギルドマスター

土魔法を何に使うかはまた後程

そして、魔法に関してはこんなトラブルが発生しました

 「アドウェルザの奴からの紹介状を持ってきたというのはてめえか」


 乱暴な口調だが、目線は柔らかい。

 要はこれが彼の普段の口調という奴なんだろう。


 「ああ、よろしくな!」

 

 そう言って手を上げると、どこかふっと顔が和らいだ。

 うーん、この街に来て初めてここまでリラックスして会ってくれる相手と出会えた気がする。


 「けど、何で俺ってここまで怖がられてるんだ?」

 「……その様子だと知らねえみたいだな。首狩り兎の一族ってのは暗殺や裏工作で名を馳せた連中でな。色々と尾鰭がついてる事もあって怖がられてんだよ」


 げ、そうなのか。

 ……まあ、確かに名立たる暗殺者一族出身とか言われたら、ビビるのも仕方ないか。


 「実際はプロだからこそ安心出来るんだがな。まあ、風評被害だと思って諦めろや」


 本物のプロの暗殺者だからこそ余計な殺しはしないって事かね?

 

 「んで、俺はちゃんと冒険者として登録出来るのか?」

 「おう、冒険者は基本、来るもの拒まず去るもの追わずだからな」


 基本とあるのはさすがに連続殺人犯とか犯罪者は受け入れないかららしい。

 もっとも反乱の濡れ衣を着せられて処刑されかけた貴族を迎え入れたりした事はあったそうだ。その時は暗殺者をその冒険者となった貴族に放った事を理由に冒険者ギルドへの敵対行為として、ギルドをその国から完全撤退。その国と取引する商人からの依頼や購入、販売も完全に絶つと宣言した事から商人達も一気にその国から離脱。

 食料などの輸入が途絶えたその国は一気に窮地に陥り、それが原因で今度こそ本当に大規模な反乱が勃発。

 最終的に王家含めた冒険者ギルドに喧嘩を売るような真似をした連中の首と引き換えにギルドは制裁を解除したそうだ……。こええな、冒険者ギルド!?


 「なんでまあ、てめえが犯罪者とかでない限り、冒険者ギルドは受け入れる」

 「そりゃ良かった」


 折角だから書類ここで書いてけ、と言われて、未だ怯えてる受付嬢が呼ばれて書類を製作していく。

 外なら自力で何とかするんだけどなあ。ここでは代筆だ。……何せ手もウサギだから!

 で、ここで迂闊な事に、ある事に気がついた。

 ……名前まだ決めてなかったわ。あの時、とりあえず後回しにして、以後アド爺さんと二人きりだったから不便感じなかったんだよなあ……!


 「お名前は……?」

 「………ビットで」


 我ながら安直な名前だと思う。

 咄嗟に頭に思い浮かんだのがラビット。そこからラを抜いて、ビットだ。

 諸事情から本名隠したい奴もいるので、こうした適当な名前でも構わないんだと。要はちゃんとそいつを区別出来る呼び方があればいいって事らしい。


 「使えるスキルは?」

 「風魔法が得意だな。後は空間魔法に、土魔法を少々」


 いやー……最初は風魔法だけで十分かと思ったんだよね。

 風には雷系も含まれているし、治癒系魔法はやり方は異なれど、どの系統にもある。というか、基本、索敵と治癒、攻撃に補助の四種類は系統ごとに最低限何かしらあるんだよな。

 で、土魔法を覚えた経緯だが、これ俺にとっちゃさる事情から必須なんだよね……。

 ある一件から困った事情が発生し、それを補う為に土魔法を取得する事になって……覚えるまでは苦労したなあ。

 なんて思い返していると目の前で受付嬢が困惑してるような……?


 「あの……」

 「なんだ?」

 「空間魔法って何ですか?」


 へ?

 ギルドマスターに顔を向けてみれば、そっちも首を傾げてる。


 「魔法って火土水風の四系統ですよね?」

 

 ええと。

 これって空間魔法も風魔法のカテゴリーに加えられているか、それともアド爺さんが特別で世間一般では上位系統の魔法って知られてないのかどっちなんだ?

 ……アド爺さんの事を考えると後者な気がしてならねえ。

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