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ラティスの小さな冒険の話2

 「私達はツインテールキャットと呼ばれる種族です」

 

 場所を変えて、ちょっとした飲食店で話をしていた。

 無論、その前にしばらく一緒に探していたのだが、見つからなかった為、一旦詳しい話を、という事でこうしている。

 もちろん、そう離れてはいないし、外をうろついていたら見えるように屋外にある席を使っている。


 「ツインテールキャットっていうと……」

 『人の世界では二本足の直立した猫という印象でしょうね。尻尾が二本あるのが特徴ですが』


 ツァルトがすかさず首を傾げたラティスを補足する。

 それに頷いて、猫人の彼女は言った。


 「その通りです」

 「それでお子さんがいなくなったってのは……」

 「はい……ほんの少し目を離した隙に……」


 闇市とはいえ、あの場所は市民も普通に足を踏み入れる事がある程度の場所だ。

 当然、普通の商売をしてる店もあり、彼女もそうしたお店に納品に来ていたという。

 ちなみに、彼女の種族は手先が器用な種族であり、いわゆる細工物に関してはドワーフにも負けないという。というか、ドワーフ達は主に武具などの金属加工、いわゆる大物を扱う事が多い為、そうした細工物に関してはむしろ彼女らの種族の方がデザイン含め一般的なのだとか……。

 まあ、そこら辺には互いに生活の糧がぶつからないようにしたとか色々歴史がある訳だが、そこは一旦おいといて。

 

 「多分、誰かが連れ去った可能性が高いのですが……」

 「誘拐?」

 「困った事に必ずしも悪意で連れ去ったとは限らないのです」


 え?

 と思った、ラティスだったが……。

 

 「実は私達の種族というのは小さな子供時代は会話も出来ませんし、立ち上がる事も出来ないんです。おまけに尻尾も一本です」

 「え?って事は……」

 「はい、普通の子猫と見間違える可能性もあるかと……尻尾を二本持つのが私達にとっては一人前になった証であり、言葉もしゃべれるようになるのです」


 一人前といっても言ってみれば、学校に入る準備が出来た、というぐらいの年齢だと考えてもらえばいい。さすがに言葉をしゃべれるようになって即大人だから放り出すなどという事はない。

 もちろん、服は着ている。

 着ているが、実の所、世の中にはペットに服を着せている飼い主というのは普通にいる。

 

 「おまけにうちの子、服を嫌って脱ぎ捨てる事も多いんです」

 「え!?ってそっか、見た目は子猫さんだもんね……」


 一瞬、裸の子供!?と思ったが、考えてみれば見た目は完全に子猫だ。そんな相手が全裸で動いていたからって問題になったりはしないだろう。


 「でも、ちゃんと見たら分かるんじゃ」

 「そうなんですけど……子供はそれ相応に小さいんです」


 魔力視で見れば、確かに魔力を感知出来るし、魔物と理解出来る。

 そして、こうした魔物と人が混在する街では魔力視は子供の頃から必須技能として教え込まれる。教え込まれるのだが……だが、元から小さければ分からない事もある。おまけに。


 「魔力視は意図して使わなければ、意味がありません」

 『なるほど、言葉もしゃべれない。見た目完全に普通の子猫で、服は着てない、本当は猫ではないから首輪なんか当然してる訳がない。という事はその時点で魔物の可能性なんて考えもせず、迷い猫だと考えて連れ帰る方がいるという事ですか」


 実際、そうした事が過去に一度ならずあったらしい。

 連れ帰った当人は本物の猫好きで、子猫が一匹親もなしにうろついている、と勘違いして連れ帰ったという事が……。

 無論、中には勘違いに気づいて見つかったケースもあるが、逆に大人になるまで全く気付かなかった、というケースもあるそうだ。……ただし、まっとうな飼い主のの場合、大抵は子供からすれば大切に可愛がってくれた相手であり、そのまま家族の一員となったケースもあったという。中には老人が可愛がって、亡くなる時に莫大な財産を譲られた、というケースだってあったそうだ。

 ……もちろん、殺傷されたりするケースだってそうした話に負けないぐらい多数あるそうだが。


 「どちらにせよ、親にとっては子供が帰ってこない、というのは辛いものです」

 「……そうだよね」

 『大切にされていたとしても、親にとっては子供が行方不明のまま帰ってこない、という事には変わりありませんからね』


 そうしてラティスは……。

猫探しのお話

……明日は再び試験也

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