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ラティスの小さな冒険の話1

昨日、投稿したつもりが投稿してませんでした……

先程、本日分アップしようとして気づきました。どうも、すいません

 ラティスにとって、街というのは遊び場に等しい。

 なまじ、これまで狭い世界で生きて来た為に、見る物全てが珍しく、楽しい。……無論、これはウサギさんことビットやツァルトの存在も大きいのだが。

 誰が哀しくて、討伐Sランクなんてものに上り詰めた首狩り兎が保護者を務め、古代文明の超高性能ゴーレムが守護する子供を狙わんといけないというのか。そんじょそこらの組織では手を出したが最後、壊滅一直線である。

 それなり以上の規模の組織であれば、そんな厄介な物件に手を出さなくてももっと美味しい仕事がある。

 かくして、裏組織にとってはアンタッチャブルな存在になっていたのだ、ラティスは。

 こうなると、手を出してくる可能性のある犯罪者はいわゆるそんな事を知らない下っ端、チンピラの類になるが、そんな奴はツァルトの姿を見た時点で諦める。

 かくて、ラティスは多少治安の悪い場所に入り込もうが、安全に街を散策出来るという訳だ。


 「わーこれ何だろ」

 「おっと、嬢ちゃん、そいつは」

 『古代文明の魔道具、に似せた紛い物ですね。見た目だけは綺麗ですが』


 即効でツァルトに言いかけた言葉を遮られて、露天商が目を剥く、のだが。


 「んだってええ!?紛い物っ!?そ、そんなバカなっ!」

 『ですが、確かです。確かによく似せて作られてはいますが、内部に収められているのは回数制限ありのものです。おそらく残る使用回数は一回か二回でしょう。古代文明のものであれば、この程度の魔法ならば、そのような回数制限など存在しないものが子供の工作でも可能です』


 どうやら露天商も騙された口のようで血の気が引いて、真っ青な顔でツァルトに否定してくれ、と言わんばかりにすがるような眼を向けるが、そんな事お構いなしにツァルトは否定する。

 それを聞いて、露天商は顔色を青から白くして、崩れ落ちた。


 「……こ、このおじさんどうしたの?」

 『騙されて、ガラクタを高値掴みしたのでしょう。大損確定で呆然自失という所ですか』


 その一端を担った身でありながら、ツァルトはしれっと答えた。

 ……もっとも、露天商がツァルトをそう責めないのにはちゃんと理由がある。

 確かに大損こいたのは確かだが、ここはちょいと怪しい裏市場の一角だ。うろつく連中も脛に傷を持つような者も多い。

 さて、そんな相手に知らずにではあっても、ガラクタを高値で売りつけるとどうなるか?

 ……まあ、運が良くてぼこられる。運がちょっと悪ければ、明日の朝日は拝めない。更に運が悪ければ……死んだ方がマシな事になる。逆に言えば、ここでツァルトのお陰で命拾いした訳で、怒りはツァルトではなく自分を騙した相手と、騙された自分に向いている訳だ。

 ただし、これはツァルトに勝てないと分かっているからで、下手な奴がやると補填を強制的にやらせるぐらいは目の前の露天商もするとは言っておこう。

 

 そう、現在ラティスがいるのはいわゆる闇市だ。

 もっとも、さすがに本当に危険なレベルの闇市はツァルトがさりげなく誘導して止めるので、ここら辺はまだ浅い辺り。

 一般人でも「ちょっとヤバい雰囲気を味わえる場所」という所だ。

 それでも案外面白い掘り出し物があったりするので、冒険者が所々で混じっていたりする。だからこそ、ラティスがいても違和感は……年齢が年齢なのでない訳ではないが、まだマシだ。

 もっとも、そこは魔物の国との接点。

 人の姿をしている者も少なからずいるが、魔物の姿もまた多い。だからこそ。


 「あれ?」

 『どうかしましたか?』


 こんな事も起こりうる。


 「何か探してるんですか?」


 ラティスがそう通路を覗き込んで声を掛けた先にいたのは……一体の魔物、というか猫だった。

 ただし、普通の猫は直立もしてるぐらいならまだしも、尻尾が二本生えて、言語をしゃべったりはしないだろうが……。


 「ああ、すいません、ここら辺でうちの子を見かけませんでしたか?」


 そうすぐ声をかけてもらえたのは、やはりラティスの見た目故だろう。

 これがもっと厳つい男だったら、当人が純粋に好意から声をかけたのだとしても、もっと疑っていただろう。そういう場所でもあるし。


 「うちの子?」

 「ええ、先程目を離した隙にいなくなってしまって……!」


 これがラティスの小さな冒険の始まりだった。 

ラティスのちょっとした事件です

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