石化病のお話
完璧に!
寝込んでました!!
石化病。
こうした厄介な病気もまた古代文明の後から出てきたらしい。
多分だが、古代文明が滅んだ後、魔物や魔獣が出てきたのと同様の理由で、そうした病気も出てきたんじゃなかろうか?だから、同じ誕生の起源を持つ魔獣で治療が可能……。
「石化病って何?」
「あー、ラティスは知らなかったか」
森へと向かう馬車の中で、簡単に説明する。
はっきり言えば、物凄い性質の悪い病気だ。
体が端から段々と石化していって、やがて心臓が石化して死に至る。手や足が石化してしまえば歩く事も出来ず、無理に歩こうとして石化した部分が壊れたら、治癒出来ても壊れた部分はそのままなので、基本石化病にかかった患者は絶対安静。場合によってはベッドに固定される。
救いは痛みがない事だが、段々動かなくなる手足に、何時心臓まで到達するか分からない状況、そしてベッドに縛り付けられた体でまともに身動きすら許されない、と非常に精神にも悪い病気だ。なので、薬を使って眠らせる事も多い。
魔法の眠りだと一定時間すぎたら自然の眠りに移行するんで体動かそうとした時に目が覚めちまう可能性高いらしいんだ。
だから、薬で強制的に昏睡状態にさせる、って言った方がいいか……。
「こいつの治療に石化能力を持つ魔獣の肝が必要なんだが」
問題は石化能力を持つ魔獣というのは総じて危険だって事だ。
石化ビームを乱射してくる奴。
常に石化のガスで包まれてる奴。
特に後者は接近戦型の俺とは相性最悪だ。
まあ、他の石化魔獣もいずれも危険なんだが、幸いなのは二種類を除いて、奴らは極端な引きこもり、って事だな!
「引きこもり?」
「そう、出てこないんだ、大型の洞窟から」
この洞窟もどうも自力で製作してるっぽいんだよな。
自分で快適なねぐらを作って、後はそことその周辺から出てこない。
何で、そんな習性なのかも危険すぎて行く奴がろくにいないからわかってない。
「で、動く二種類の片方が今回の依頼であるコカトリス、って訳だ!」
「へー!」
コカトリス。
奴は石化魔獣の中ではまだマシだが、それでも突いて石化させる能力と、石化ガスを吐いてくる。
とはいえ、コカトリスの石化ガスはそこまで凶悪なもんじゃない。ちょっと浴びただけなら麻痺するぐらいで体に悪影響も出ない。
しかも、そうなってこっちが動けなくなったら、さっさと逃げる。
「そうなんだ、でもその為に狙われるってなんだか可哀そうだね……」
「あーまあ、そうだな……」
とはいえ、石化病をほっとく訳にはいかないんだよなあ……。
「あれ、伝染病になるんだよ……」
「えっ!?」
「生きてる間は大丈夫なんだけどさ……死んだら石化してた部分が砕けて、周囲に拡散するんだ」
そうして、その粉末が更なる感染者を生み出す。
「だから、石化病の感染者が出た場合の対策は二つ。治療するか、それとも……殺すかなんだわ……」
それも生きたまま密封した箱に入れて埋めるという……。
何でかって?
そのまま殺したら、粉末が周囲に飛び散る。
燃やしても、粉が残って風に飛ばされる可能性がある。
安楽死なりさせてから埋めるんだと、やっぱり粉末が飛び散る。
だから、生きたまま、頑丈な箱に入れて、地中深くに埋める。
「ひどい……」
「だから、多少まとまった金を用意出来た奴は今回みたいに石化魔獣の肝を手に入れようとするんだよ」
そらまあ、大事に思ってる相手に、そんな死に方させたくねえよなあ……。
何とか毎日更新は間に合った