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討伐依頼のお話

 「討伐依頼?」

 「そうです」


 なぜだろう、何だか妙に久しぶりな気がする。


 『実際そうなのでは?ここの所護衛や探索も行っていましたし、討伐に向かっても昇格試験や教導。純粋な依頼というのは久々かと』


 なるほど。

 討伐にも行ってた気がするのに、討伐依頼が久々な気がするのはそのせいか。

 ……つい先日の魔法講義に行ったのもあったなあ。

 ちなみに、ラティスはまだ支援魔法に関してはほとんど覚えていない。というか、新しい魔法をほんの二、三日で即覚えられたら誰も苦労はしない。


 「まあ、いいや。それで依頼内容は?」

 「受けるのなら依頼人から直接、という形になりますね。魔物ではなく人の依頼人ですがよろしいですか?」

 

 うーん、ちょっと気になるがどんな奴かも分からんのに最初から断るのもな。

 とりあえず、受ける事にした。

 で、泊ってるという宿に移動。


 「すいません、依頼受けてきたんですけど」


 ……いや、ラティス下ろしてくれんかな?

 多分、依頼人の雇ってる使用人さんだと思うけど、明らかに俺を見てないよね!

 まあ、使用人からすれば人型の洗練されたゴーレムを連れた女の子がウサギを抱っこしてやって来た、という風に見えてるはずだ。……どうにも困惑してるみたいだが、まあ、当然だろうな。

 討伐、ってのは基本荒事だ。

 なにせ、まず間違いなく戦闘が行われるから、基本、屈強な連中が多い。ラティスみたいな女性がいない訳じゃないが、それは後方支援役が一人二人混じっている程度。前衛を張る奴は女性であってもアマゾネスみたいな女がほとんどだ。

 とはいえ、こちらの討伐ランク、AとBという二つを見せればすぐに通してくれた。

 

 「……君達かね?」


 依頼人は割と裕福そうな人物だった。

 まあ、泊ってる宿や、依頼の金額から考えて貧乏な奴な訳ないけどな。


 「おう、よろしくな!」

 「よろしくお願いします!」


 ちなみにツァルトは黙って頭を下げている。


 「……正直に言わせてもらうのだが、大丈夫なのかね?いや、冒険者ギルドのライセンスは拝見したが、討伐依頼なのだが……」

 「まあ、見た目がこんなだから気持ちは分かるが、任せてくれ。無論、依頼内容によるけどな」


 ドラゴンを十匹なんて言われたらさすがに無理だ。

 そう言うと、相手もちょっと苦笑した。


 「安心してくれ。そんな依頼はしない。……私の依頼はある魔獣を一体狩って欲しいだけだ」

 「どんな魔獣だ?」

 「コカトリス、と言えば分かるかな?」


 うげ……まさか。


 「石化病かよ!?」

 「その通りだ」


 魔獣コカトリス。

 元の世界と同じ名前で、同じ能力を持つ厄介な魔獣だが、こいつは意外とおとなしい。

 というか、草食なもんだから好き好んで襲ってきたりしないらしいんだよな。 

 まあ、そうだよな。倒したって食える訳でもないのに、わざわざ戦ったりしない。近づけば、まず警告なのか甲高い声で、しかも目立つように全身の羽を膨らませて威嚇してくる。

 これで、用のない奴はさっさと離れる。背中を向けて離れても攻撃してきたりしない割と珍しい魔獣だ。というか、威嚇で撤退する光景見た途端にあっさり食事に戻る光景が確認されているとか。そして、こんな危険な魔獣を命がけで倒しても、普段は余り儲けにならない。

 肉は不味い。

 羽はくすんでて、そこまで綺麗な訳でもない。

 鶏だから防具や武具に使う訳でもない。

 つまり、大抵の場合は赤字になる訳だ。そんな奴を苦労して狩る奴は普段はいない。

 さて、こんな厄介だけど放置してればそう気にしなくてもいい魔獣を狩る理由、それは俺が述べた通り、石化病の特効薬を作る為だ。体が末端から次第に石になっていくという、この世界でも厄介な病気の一つ。その特効薬を作る為に石化の能力を持つ魔獣の肝が素材として求められ、他の石化魔獣は遥かに危険な事や、探すのも大変な事からコカトリスが狙われる事になる。

 うーん、なるほど、確かに低ランク冒険者が挑んでも死ぬだけだな、こりゃ……。

 

疲れてると眠くなるよね!

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