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餞別、そして旅立ち

 アド爺さんが取り出したのは超特大なリュック……、そう、アド爺さんが背負うような。


 『今はでかいが、こうした一定以上の階梯の魔道具はサイズの自動調節がついておる。触ってみるといい』

 「へー……」


 触ってみると、みるみる間に縮んで、俺が背負える超小型サイズになった。すげえ。


 『前の持ち主の同意がなければ、発動せん機能じゃがな』


 サイズ調節機能とか、中身を取り出すとかは前の持ち主の同意が必要だそうだ。

 今回はアド爺さんが譲ると同意しているからこうして機能するが、今後は譲られた俺が許可してなけりゃサイズを変える事も、中身を出す事も出来ないそうだ。


 「高いんじゃないのか?これ」

 『いや、こういう便利なバッグ自体は結構は数があったはずじゃよ?容量がデカいもの程貴重で、高価と聞いておるがこれは精々家一つ分程度の容量じゃからのう……その程度なら割かしありふれとるのは選ぶ時に確認しておるわい」


 なら安心だ。

 後に知った事だが、アド爺さんは間違ってはいなかったが、同時に間違ってもいた。

 確かにサイズ調節機能付きで、部屋一つ分程度の容量のマジックバッグは割とありふれたものだったし、家サイズのものも部屋サイズより「ちょっとお高い」ぐらいのものだった。

 だけどな、それは「普通の人族の」部屋のサイズだったんだ。いや、誰が思うんだよ、まさかアド爺さんが「ドラゴンのサイズの家」感覚だったなんて……!それを知るのは後の話なんだが、それ以外のアイテムもアド爺さんにとっては「この程度」でも、この世界では「超レア」な代物だとは思わなかったんだよな。


 『後はまあ、お金や薬、ちょっと便利な道具なんかじゃのう』

 「十分だって」


 道具としては例えば、無限の水筒。

 一定水量を常に保ち続ける魔法の水筒で、こちらは大きく、美味い水であるほど価値が高いらしい。中には酒が湧いたり、魔法の薬が湧いたりするようなものもあるそうだが、それらは例外なくとんでもない価格で取引されるんだとか。

 まあ、これも「美味い水なのは保証するぞ」って話だった。

 他にも火を熾す道具、魔法のテントとか色々入れてくれたらしい。細々した物も多いから後で確認してみるとええ、とアド爺さんは言っていた。

 このリュックの便利な所はいちいち手を突っ込まなくても具体的に「何を」とイメージすれば頭の中というか目の前に自分にだけ見えるリストが出てきて、そこから選択すれば自動的に手か、持てないサイズなら目の前に出てくるようになってるって事だ。便利だ。


 『後は紹介状じゃな。一つはここの近く……ああ、いやお前さんの足で五日ほど南に進めばフォートの街がある。そこの冒険者ギルドのマスターに宛てたものじゃ』

 「へー」


 この森は魔精の森とか呼ばれているらしい。


 「南ってどっちなんだ?」

 『なに、森の上空まで出て周囲を見てみれば良い。山が見えない方が南じゃよ』


 おお、そりゃ分かりやすい。

 しかし、冒険者かあ。

 この世界にはいるんだよなあ、そういう職業の連中!

 もちろん、俺はその話を聞いた瞬間から冒険者になるつもり満々だった。世界中を比較的自由に回れて、金も稼げる職業。しかも、登録すれば一定ランクの身分保障も自動的についてくる!アド爺さんも世界を回りたいならその方がいいじゃろう、とお墨付きをくれた。  

 今から楽しみだ。 



 

 ――――――――――




 そうして、俺はアド爺さんが開けてくれた外へのシャフトを通じて、いよいよ外へ飛び出した。

 そうして、そこで出くわしたのが……。


 「……えーと、まさかこいつら十年間もずっと見張ってたなんて事ないよな?」


 この世界に来て早々に追われたシャドウウルフの群れが待ち構えていた。

 ……単純に運が悪かったんだと思いたい。それに。


 「だがっ!今の俺はかつての俺とは違うぜ!!」


 問答無用とばかりに、奴らは群れで襲い掛かってきたが。

 ふっ、奴らには見えなかったようだな!

 ……なんて恰好つけてみたりする。

 群れの包囲網から抜けた俺がポーズを決めてみせた次の瞬間、奴らの首が落ちた。


 「さて、それじゃ改めて……」


 そう口にした後でシャドウウルフの死体に視線を向けた。

 ……そういや、冒険者の所ってこういうのも売れるのかな?

 そう思いつくと、いそいそとリュックの中に仕舞い込む俺だった。……さて、それでは今度こそ出発だ!!

 

  

続けられる限りは毎日投稿を続けていきたいと思います

……何時まで続けられるかは分かりませんがw

場合によっては明日止まるかも

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