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見捨てる話

今回ので遂に小説賞などで応募規定によく書かれる10万字突破しました

やっぱり結構かかりますねえ

 知ってるだろうか?

 実はギルドで貢献度合いで言えば討伐や護衛も負けてないが、稼ぎという点では探索が圧倒的に上回っている

 それもあって、人数も最も多い。

 しかし、これまた当然だけど全員が全員稼げる訳じゃない。稼ぐ奴は物凄い稼ぐし、稼げない奴はその日暮らしが精々だ。探索は各種の知識や技術も上へ行けば行く程要求されて、同じパーティでも、きちんと学ばない奴はどんどん置いていかれて、結果としてパーティから追い出される事だってある。

 今回依頼を出してきたパーティはトップではないが、割と稼ぐ側で、だからこそ俺達の宿代も平然と払ってくれた。

 ぼったくり価格でも、稼ぐ奴からすればはした金、というのが現実。反面、稼げない奴は賑やかな宿を横目に自分達でテントを張って休むしかない。だからこそ、そうした連中は大体三つに分かれる。一つ「いつかは自分達も!」と目前にある夢に向かい、一つはやがて自分にはその力がないと諦めて、実力相応の生活を探る。

 そして、最後が……。


 「大体!お前らみたいな連中なら幾らでも稼げるだろうが!!俺らにこんぐらい譲ってくれたっていいだろうが!!」


 ……まあ、こういう妬み嫉みから馬鹿な事を言い出す奴だ。

 陰口ぐらいならまだしも、行動に移して、挙句剣まで抜いたら後戻り出来ないんだけどな……。


 「あのね、私達だってここを攻略するのに時間も手間も金もかけているんだ。大体そんな事言ってたら、他所でまた同じような事があったら」

 「うるせえ!!知った事かよ、そんなもん!!」


 あー……。

 こっち側のリーダーは頑張って冷静に話し合おうと努力してるのに、まともに聞く気ないでやんの。

 まあ、相手が剣を抜いてる以上、こっちも何時でも対応出来るように前に出てるリーダーは重心を後ろにかけて、何時でも飛び下がれるようにしてるし、こっちの盾役は何時でも飛び出して前に出れるように盾を構えてるけどさ。

 あっ、こちらの探索パーティ残り三人の内一人は、もしもこいつの先程去っていった仲間が狂言で、戻ってきた時に備えてバックアタックを警戒してます。

 ないとは思うけど、念の為にね。


 「……あの人、カッコ悪い」

 「ああ、うん、まあ、確かになあ」


 ラティスが小声で言ったんだが、そこは犬の獣人というべきか……聞こえたらしく、こっちを凄い目で睨んできた。


 「何か文句あんのかよ!!」

 「いや、そりゃあるだろ……お前、ちゃんと勉強とかしてんのか?」


 あ、一瞬口ごもった。

 やっぱしな。

 探索ってなまじ儲かるから「楽して儲けられる」って考える奴多いらしいんだよな。俺も同じAランクBランクの探索の上位パーティに知り合いいるけど、愚痴られた事がある。……ちなみにこうした縁は冒険者は大抵ある程度打算込みで持ってる。

 俺だったら何か古代文明産の遺物で欲しい物があったら声かけて欲しい、とか。

 連中だったら討伐される希少な魔獣の素材が欲しい時とかだな。

 護衛連中だと、知人友人の護衛を信頼出来る相手に、って事で。

 話戻すが、探索はまず古代文明の文字を読めるようになる事が必須だ。はぐれた時もだし、一人がたまたま文字に気づく事もある。それが文字だと知らなけりゃ、飾りと見過ごす危険もあるからパーティ全員に必須とされてる。

 それだけじゃなく、遺跡の構造や可能な限りの人造魔獣に関する知識、罠に関する知識、マジックアイテムに関する知識……覚える事は一杯ある。

 でないと死ぬ。

 多少運に恵まれて、一時的に成功する事はあっても、そんな知識がなければそう遠くない内にあっさり死ぬ。

 だからこそ、ギルドも初心者にはここまで、中級者にはここまで、と区分してるんだが、こういう奴らは「ギルドの奴ら、腕がちょっといいからって贔屓ひいきしやがって!」となる。実際は生存率に直結してるからだし、ちゃんとギルド主催の勉強に申し込んでればすぐに実感出来るらしいのになあ……。


 「うるせえな!そんなもんなくったってどうとでもならあ!!」

 

 いや、ならないから。

 これ、全員の感想だと思う。俺とラティスも一応探索とかの資料読ませてもらったんだけど、「これちょっとやそっとじゃ無理だ」ってすぐ理解出来たからな。


 「とにかく!俺に譲れよ!ここの一つぐらい!!」

 「――そこまで言うなら一つ条件を出そう」


 ん?

 何言い出すんだ?と一斉にこっちのリーダーに視線が集まった。


 「僕らはこの奥にいる門番を後は倒すだけになってた。その門番を倒せたなら君に譲ろうじゃないか」

 「……いいのかよ?」

 「いいとも。ただし、私達は手助けはしないし、『助けてくれえ』なんて言っても助けないよ?」

 「はっ!誰がオマエラなんかに助けてくれなんて言うかよ!!」


 うわあ、悪辣。

 あ、俺の方にちらっと視線向けて合図してきた。

 あー……戦闘前に俺らに門番の戦い方とか見せておこう、って腹か。

 一見親切そうに道なんかを教えてやって、送り出した訳だけど……。


 「死んだんじゃね?あいつ」

 「死ぬでしょうねえ」


 だよなあ……。まあ、こっちが直接手を下す訳じゃなく、身の程知らずに挑んで死ぬだけならまあ、いいか……。

 ……助けてやろう、って気持ち、全然わいてこねえし。

 

【使う事のないだろう裏設定】

騒動起こした犬獣人の元のパーティは一旗上げようと冒険者になった小さな町出身の幼馴染達でした。元は犬獣人がガキ大将的な立場だった事からリーダー格でした

最初は彼らも上手くやってたんですが、次第に他のメンバーと亀裂が生じ、リーダーの立場も別の男性が持つようになります。要は他のメンバーは「いつかは俺達も!」と頑張って勉強含めた努力してるのに、段々勉強を嫌って、他の仲間に頼り切りな落ちこぼれになりだした事でトラブルメイカーになっていきました

しかも、元のパーティは男三、女二のパーティでしたが、一緒に勉強頑張る内に他四人が二組のカップルになりだしたのに、片方の女の子に横恋慕して、努力せずにいい恰好しようと更にチーム内でも揉め事起こしだします

まあ、女の子の側からすれば、勉強不足努力不足で足を引っ張る癖に未だかつてのガキ大将の頃みたいに威張る幼馴染と、努力もしてるし頼りになる気のいい幼馴染ではどっちを選ぶか決まってますよね……

当初は他のメンバーも頑張って修正しようとしてきたんですが、次第に一人、また一人と諦めて匙を投げだし、最後の一人も今回遂に切れました 

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[一言] 取り敢えずこのお馬鹿さんに( ̄人 ̄)
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