探査先のお話
「いやいやいや!俺は割と無生物は苦手なんだって!」
戦えない事はないが、無生物とかだと【首狩り】がまだ出来ないんだよなあ……力の流れとか見切れるようになったらいけるとは思うんだが。
「あ、それなら大丈夫です、奴は生ものだし」
「生もの!?」
生物じゃなくて!?
「いやまあ、あれは……」
「生ものとしか言いようがなくて……」
正直、あんなふざけた門番がいるとは思わなかった。
いや、あれが守っているとかいうものが本当なら間違ってはいないのでは。
……などと語っており。
いや、何だか物凄く不安になるんだが。
「えーっと、一応はキメラに分類されるんですが」
「キメラか」
「見た目がその……」
「見た目が」
「生け造りなんです」
………は?
いけづくり?
「いえ、私達も最初は『ふざけやがって!』と怒りましたよ?怒りましたけど……ふざけた見た目ですけど、強いんです」
そこでまずは調べた。
調べてみた結果、古代文明時代でも芸術性とかそうしたものが重視された時代があったらしい。あのキメラはその頃のものだという事も分かった。
「……げいじゅつせい?」
「気持ちはわかります……」
世の中、芸術と一口に言っても色々な感性がある。
中には「ふざけてんのか!」と怒らせるようなものや、「……芸術?」と首を傾げたくなるようなものもある。あるいは、当人は必死に独自の芸術を模索した結果、迷走して「最早笑うしかない」という所まで行ってしまったようなものまである。
……多分、これもその一つなのだろう。
「一応、記録によると「生命の神秘の一端を切り取った」として人気があった芸術家らしいです」
「連中の感性は一体どうなってたんだ!」
ぜーぜー。
いやまあ、この際それは置いておこう。
「価値あるのか?そんなのが守る場所にあるもの」
「あるんだ、これが」
さっき言ったように見た目はアレだが、門番キメラとしては実に性能がいいらしい。魔法も使うし、攻撃手段も多彩。しかし、それを突破しなければ肝心の内部に入れない。
そして、こうした生物型の門番が残っているという事はイコールで内部が無事な事を意味しているという。
門番型にも色々あって、自動再生型の破壊されても修復されるタイプのものもあるが、そうしたものは再生機構が組み込まれた結果、大体弱いという。以下、無生物型、そして最も強力なのが生物型。兵器の場合は無生物型のが強いが(うちのツァルトもこの型)、それは自立稼働型だからこそ。
こうした番人型の場合は門番型が守る内部施設からエネルギー供給されている場合が普通で、その場合は生物型が一番強くなるらしい……。
ちなみに、「どうせ倒されたら中身荒らされるんだから、意味ない。それよりは奪われるであろう財宝分もつぎ込んで、なるだけ強い奴を配置しておいた方がいい」という考えだったそうな。
「こう言えば分かるかもしれませんが、再生機構ってでかくて嵩張るんですよ」
「そう、なのか……」
……あれ?ツァルトって自動修復機能持ってなかったっけ?
芸術にはとんでもないものもあります
今年の今月にアメリカで展示されてた芸術作品には「バナナ(本物)をダクトテープで壁に貼ったもの」なんてものが芸術品として展示されていたという……
しかも、これが売れて、お値段が1000万円以上という……芸術?
何故無生物型と生物型で、自立稼働でないなら生物型が強いのか
答えは生物型でないと魔法が使えない為です
無生物型の場合はツァルトもそうですが、組み込まれた魔道具を用いたものになり、一定の出力、一つの魔法しか使えません(ツァルトの頭部パーツ電撃もこの為、威力を上げれません)
これに対して、生物型は供給されるエネルギーを用いて、多種多様な魔法を使えるものがほとんどです、この結果、生物型が強くなります
早い話が「魔法つええ」って事です