卒業
模擬戦の後は授業だ。……あ、もちろん休憩してからだぞ?
アド爺さんの授業で一番大事な事だと言われたのが自分の技術、スキルをきちんと把握する事、と言われた。
技術とスキル。
同じものなはずだが、俺の耳には違うものとして聞こえてた。そして、説明を聞けば確かに違っていた。
技術は後天的に身に着けられるもの。
スキルは生まれつきや種族ごとに持つもの。
魔法や剣術、体、捌き格闘技なんかは後から学び、身に着けられるから技術。
一方、俺があの時、狼の首を落としたのはスキルだった。
もっとも、後天的に身に着けられる技術であっても、独自に開発した当人にしか使えない魔法とか、その流派の開祖が編み出した門外不出の剣技なんてのもスキル扱いされる事があるらしい。つまりは「取得するのに色々と制限があるものは基本スキル扱い」なんだろうな。
で、俺の種族、首狩り兎だが首を狩る事で相手を即死に追い込むスキルという奴を持っている。
だが、アド爺さんによると少し違うらしい。
で、まあアド爺さんにも協力してもらって色々試してみた所、どうも生命の流れ?みたいなのを断ち切るスキルだって分かってきた。だから、アド爺さんが作ったゴーレムみたいな相手だとそもそも生命がないせいで効果がない事が分かった。力の流れはあるみたいだから、やりようによっちゃ出来ると思うんだが……。
……なんて事が続いたある日、それは突然来た。
「おりゃっ!!」
『むうっ!』
遂に、遂にアド爺さんに一撃入れたぜ!!
『うむう、見事じゃ。やったのう』
「へへ、なんか嬉しいな」
『これならそろそろ旅に出ても問題なかろう』
そうそう……って、え?
「旅に?」
『そうじゃ。お前さん、寿命が尽きるまでこんな穴倉の中で、こんな爺と一緒に生きるつもりか?』
う、それを言われちまうと……。
『それにもうお前さんがここに来てから今年で十年じゃ。十分じゃろう』
「へ?」
じゅう、ねん?
そんなに過ぎてたのか!?……やべえ、朝昼の感覚がない上、やる事も覚える事も一杯あったし、楽しかったから全然時間とか気にしてなかった。……そうか、十年かあ……アド爺さんにずっと世話になりっぱなしってのも良くないし、偶に帰って、土産話でも。
『まあ、わしが眠りに入る前に区切りがつけられて良かったわい』
え?と首を傾げた俺にアド爺さんが説明してくれた所によると、アド爺さんは起きては寝てを繰り返す訳だが、この睡眠時間と言う奴がめっちゃ長いらしい。数十年、或いは百年以上寝てはまた数十年起きてを繰り返すらしい。その間は地中深くに埋まって、接触を断つという。
そして、俺がここに来た時点で、既に何十年か起きていた。そうして、気づけば再び寝る時が近づいているんだと。
……じゃあ。
「もう二度と会えない、のか?」
『そうとも限らんな。おまえさんの魔力は大きい。わしが次に目覚める頃までなら寿命という点では間違いなく大丈夫じゃろ』
そっか。
また会えるのか。
……しっかし、俺の寿命って何年ぐらいあるんだろ?基本、魔物の場合は魔力がでかいイコール寿命が長いらしいが。
あっ、ちなみに人の場合は確かに持ってないより持ってる方が寿命は伸びるらしいが、魔物ほど極端には伸びないらしい。魔物の場合、同じ魔物でも魔力の保有量には差があって、寿命も十倍以上違ってくるらしいけど、人の場合は精々倍程度なんだってさ……なんでなんだろうな?
「なら、寝てる間に色々世界を回って、色んな話をしてやるよ!」
『ほほう、楽しみにしておくとしよう』
アド爺さんは笑うと、折角だから餞別をやろうと幾つかの品を取り出した。
そろそろかな?とは思っていたので準備はしていたらしい。……着実に成長してると信頼してくれてたんだと思うと、すっげー嬉しい。
もう少ししたら、この穴倉を出て、冒険の旅に出ます
まったく戦闘の経験や世界に関する知識がない奴が、それなりの量を学ぼうと思ったらやっぱりそれなりに時間かかると思うんですよね