討伐のお話(ラティス決着)
最後は呆気なかった。
さて、作戦だが、方法としては幾つかの案が考えられた。
最初にあがったのは柵。
しかし、魔獣でもあるカメレオンディアはジャンプ能力も高く、相当高いものが必要と判明し、断念。
他にも落とし穴、テキサスゲート、色々と考えたが、圧倒的に時間が足りなかった。
「やっぱり罠しかないよ!」
『そう、ですね』
いわゆるワイヤートラップを一人と一体は選んだ。
それを選んだのは素材が調達可能で、構造が簡単だったからだ。
問題は起動タイミングだったが、ここで彼らは一つの手段を選択した。それがツァルトの分離機能だった。簡潔に言えば、二ヶ所の本命を作り、それぞれに分離したツァルトの腕部が変形して握っていた。
通常、ツァルトの腕は分離時は移動砲台となる。
しかし、それは腕だけでは攻撃手段に欠ける、腕だけで突っ込んでもパンチは大した威力にならないからそうしている。
何が言いたいかと言えば、その形態でも手は出せる。
残る頭部胴体と脚部だけとなったツァルトがラティスを背負って移動に専念。
タイミングを見計らって、腕が移動を開始して、カメレオンディアの足をワイヤーで拘束した。
後は罠が無事な間に到着出来るか、という時間の問題だが、幸い、ワイヤーが引き千切られる前にラティスを背負ったツァルトが到着。
ラティスの魔法でカメレオンディアは移動が困難になり、最終的に仕留められた。
「疲れたあ……」
『無事終わって良かったですよ』
やっと仕留め終えて、安堵する所へ、監督官二名がやって来た。
「お疲れさん!何とかなったみたいだな!」
「そうですね、怪我もなく仕留める事が出来たのは僥倖です」
笑顔だったが、その直後に少し苦笑して言った。
「けど、てっきりあたしらにも協力求めてくるかと思ったんだけどな」
「そうですね、そう思って色々準備はしてあったんですが」
そう言って、マジックバッグを取り出してみせた。
何と、ギルドから支給されたその中には色々な罠や各種の道具類が入っていたとか……。
「えっ、助けてもらって良かったんですか!?」
「あたしらは駄目だとは一言も言ってないよ」
がっくりしたラティスだった。
「そんなのひっかけだよお……」
『それには私も同感ですが、そこまでする必要性があったのですか?』
ラティスの嘆きとツァルトの少し責めるような音声に二名も苦笑を浮かべた。
「それはあたしらも言ったんだけどねえ……」
「そうですね、でも、ギルド曰く『どちらの結果となっても良い経験になる』という事でした」
そう言われると何も言えない一名+一体だった。
いや、正確にはラティスが黙っている以上、ツァルトは沈黙を守っていた、というべきか。
「ま、まあ、あれだよ!合格は間違いないんだろ?」
「そうですね、色々問題はあったと思いますが、きちんと討伐は成功したのですから問題ないかと」
むしろ、きちんと自分達で出来る事を考え、攻略したのだから評価は高くなるだろう、という話だったのを聞いて、ほっとしたラティスだった。
結局、ビットに遅れる事三日でラティス達も帰還。
無事、ビットがAランクに、ラティスがBランクへと上がる事が出来たのだった。
割とあっさり目に終わりました
というか、発見と足止めさえ出来たなら、一名+一体の火力なら簡単に討伐出来る程度だったので戦闘はさくっと省略してます
ギルドとしては倒せずとも、ちゃんと考えて行動してるかが重要だったんですけどね。なので、駄目だったら監督官が指示を出して討伐して帰る予定でした