討伐のお話(ラティス&ツァルト)の一
試験行ってきました
今回は厳しいだろう、とかあってもいかないと可能性ゼロですしね……
あと、風邪ひいたので薬もらってきました
さて、ビットは無事、討伐を完了した頃、ラティス達はどうだったのだろうか?
「あっ、また…!」
『くっ、厄介な』
カメレオンディアに悪戦苦闘していた。
カメレオンディアを森で見つけるのは困難だと理解するのに丸一日。
カメレオンディアの被害を受けている開拓村を見つけて、そこで張り込んで、やって来るのをその日の晩まで待ち、何とか発見したまでは良かったのだが。
『やはり、我々には向いてない事甚だしい』
「うん……」
確かに逃げる。
おまけに消える。
そして、ラティスとツァルトにはどちらもビット並の感覚もなければ、探査型ゴーレムが持つような熱源感知や音波探知などの能力もなかった。
「作戦考えよう、これじゃ何時まで経っても終わらない」
『そうだな』
監督官二名も焦らせない。
元より、二名も無理があるとは思っていた。
そもそもどの討伐依頼を受けるかどうかは、本来各冒険者に任されるものだ。
その中で、「これは自分達には向いてない」「これは苦手だ」とする魔獣を避けるのは冒険者には普通にある。そうした自分達にとっての向き不向きをきちんと理解して、自分達が討伐可能な魔獣を討伐するのも立派な冒険者の素質だ。
そして、可能なら事前に情報を集めるのが真っ当な冒険者だ。
それらを踏まえて、今回の昇格試験を見てみれば、対象を一体、苦手な魔獣に限定され、しかも事前に調べる事が出来なかった。
無論、突発的な遭遇への対応が可能か、という点では間違っていないのだけど。
「まず、カメレオンディアって意外と警戒心ないと思う」
『同意だ』
張り込んだ開拓村、そこで攻撃されたにも関わらず、翌日もまたやって来た。
『隠蔽技術に自信を持っているから、そうした警戒が薄れた性質を持つに至った可能性はある』
「だとしたら、今晩もやって来るとして……」
最大の問題はどうやって逃がさないようにするか。
ラティスもツァルトもカメレオンディアに夜の闇へと逃げられては追跡不可能な事はもう十分すぎる程理解していた。
改めてカメレオンディアに関して説明すれば、大きさは超大型の鹿サイズ。
鹿といってもここまでのサイズとなれば、「いざとなれば強い」というのは当然だ。ヘラジカと呼ばれる鹿がいるが、このサイズは肩までの高さが大きいものでは二mを超える。こんなのに真っ向から突っ込まれては冗談抜きで命の危機だ。疾走する動画でも見れば一発で理解出来るだろう。
話を戻すが、それでも今回はその超大型の鹿を逃がさないようにして、突っ込んでくるようにしなければならない。
「逃げれないと思えばいいんだよね……」
『そうだな』
それから二人で色々考えた。
考えてみて気づいたのは自分達の得意な事が攻撃に偏っているという事だった。
ツァルトもだが、ラティスも補助や支援系の魔法ではなく、自身が直接攻撃する魔法のが圧倒的に手札が多い。
「足止めとかの魔法も覚えないといけないね」
『それはどうでしょう?生半可なものを多数覚えるより、得意分野を磨いた方が今は良いのでは』
「うーん……でもそれが原因でここで悩んでる訳だし」
ああでもない、こうでもないと悩んだが、今の現状では迎撃戦しか道はない。
だからこそ、まだ手段は絞る事が出来た。
周囲の地形に関してはツァルトが昼の内に分離して、上空から頭部で探索している。森の上からではあるが、それなりの地形の把握は完了していた。その結果、分かった事はこの周辺には崖だとか谷だとかいったものはない、という事だ。
ただし……。
「やっぱり湖かな?」
『それが妥当かもしれません。問題は夜の中、追い込む手段ですね』
二人は夜までの時間を使って、相談するのだった。
そんな姿を監督官二名は黙って見ているのだった。
意外と脳筋な二人です
……ちなみに、試験に「協力を求めていけない」とは一言も言われてなかったり