確認のお話
さて、その後は護衛依頼も特に事件もなく、無事終わった。
当り前だけど、普通はとっ捕まった野盗が数珠つなぎに連行されてりゃ、他に野盗がいたとしても襲撃かけるにはちょっと躊躇うわな。
もちろん、初の護衛依頼は成功だった。色々学ぶ事の多い初体験だったなあ……。
そして、不安だったゴーレムだったが、意外と問題なかった。
当初こそ警戒心マックスだったが、急速に経験を蓄積したのか、護衛として普通に機能していた。……しかもこいつ、試してみたんだが合体しても機能は使えるんだよな。
頭部のモノアイからビームみたいに雷撃発射出来た。
腕は拳を瞬時に格納して、エネルギー光弾発射出来た。
足の蹴りは刃だから普通にそれなりの太さの木でも真っ二つだった。
で、前に立ちはだかってりゃバリアも張れた。
破損した時の事も確認してみたんだが、一定のクラックとかなら修復の為の魔法が使える。
大規模な破損の場合は程度による。
パーツが残ってればその場で大体の修復は可能だが、足りない部分もあるので後で金属含めてきちんと整備したい所。
パーツごと破損した場合はそれなり以上の量の金属が必要で、修復の時間も結構な時間が必要。
うーむ、いい金属使ってるから大規模破損したら金かかりそう……。
とはいえ、これならラティスの護衛役として活動出来そうなんだよな……。いざとなれば抱き抱えて逃走可能だし。
合体時は後方で砲撃や麻痺の支援を行いながら、ラティスをバリアでガード、やばいようならさっさと逃げる。
冒険者ギルドへの登録も問題なかったので、後の問題は……。
「さて、重要な問題だ。お前、何でラティスをマスターって呼ぶ訳?」
『………』
「それが分からないと、お前を安心して連れて歩けないんだよ」
そういう事なんだよね。
下手に便利だ!と思って連れて、ラティスの護衛として連れまわしてたら突然、別の奴をマスターって呼び出して敵に回りましたなんてたまったもんじゃない。
『二重登録、上書きは出来ません』
「一旦正規登録されたら、書き換え出来ないって事?」
『例外規定はマスターの死亡、システムのリセットです』
リセットはそれこそ体の中開けて、ゴーレムのコアを取り出して、それを一定の手順と装置を使ってリセット。
その上で、一定水準以上のマスター案件を満たす奴を改めて登録、って事らしい。
うーん、簡単には出来ないのか……それなら……?
正直に言うけど、まだ、不安はある。あるんだが……ラティスを残していく、って選択肢もないんだよなあ。考えてみりゃ、俺がまとまった期間いない内に誘拐された、って可能性もある訳だし。何より……ちらっと視線をずらせば、目をキラキラさせたラティスが……。
うん、目は口ほどに物を言う、なんて言葉があったが思いっきり「これで私も連れてってもらえるよね!」って語ってる。これを否定するとなると改めて「何故か」を説明しないといかんのだが……。
うん、説得出来る自信ねえわ。
下手したら、すねて、しばらく口聞いてくれなくなりそう。
「仕方ねえ。一度討伐依頼行ってみるか……そいつがどこまで対応可能か知りたいし」
「うん!!よろしくね!」
『承知しました』
あ、そういえば……。
「名前何にするんだ?」
「あ、そっか!えーっと、何か名前ってあるの?」
『機体開発名であれば【五体合体】と」
「え、それ以外なかったの?」
『毎回のようにその後につく呼び方が変わっておりましたので』
あ、そう。
どうやら、これだ!って名前が決まらず、あーだこーだと毎度コロコロ変わってたらしい。
だから、その後の呼び方は正規の名称と認識出来ないと……あー、ペットの呼び方を毎回のようにペロだのワンコだの柴太郎だのと変えるようなもんか。そりゃあ自分の呼び方だと認識出来ないのも当然だわな。
『ですので、ぜひマスターに名前を』
「うーん、何がいいんだろ?」
「うーむ、俺的には恰好いい名前がいいけど、マスターはラティスだしなあ」
そこはラティスの希望を優先したい。
一番一緒にいるのはラティスだろうしなあ。
次回、名前決め
正直、候補どれにしようか悩み中