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出会い

 「え、これマジで?」


 え、俺って結構やれるの?

 そんな事を思って調子に乗りかけた頭はすぐに一気に冷却されて凍結した。


 「……うそーん」


 周囲からガサリという音も立てずに次々と黒い狼が姿を見せたからだ。

 ……そうでしたねー、狼ってウルフパックって呼ばれる群れを作る動物でしたねー。

 ……うん、逃げる!!

 追加一匹ならともかく、十匹同時なんてやってられるか!!




 ――――――――――





 てな訳で俺は只今、絶賛命を賭けた駆けっこの真っ最中で御座います!!

 くそう、こっちはウサギ一匹だぞ!

 喰ったって全員で食うには足りねえだろうがよ!!いい加減諦めてくれよ!!

 このシャドウウルフって魔獣が群れの仲間がやられると、殺った相手を仕留めるまで執拗に狙い続けるとは知らなかった俺は必死に逃げ続けた。しかし、小回りとか速度はこっちが上なんだが、あっちは群れとここがホームグラウンドという地の利がある。結果として、逃げきれず、追い回されるという状況が続いてる。

 拙い、このままだと体力消費していくだけに……。

 この体の体力がどの程度あるのかなんて分からない。けど、一対十で勝てると思える程、俺は楽観的にはなれなかった。ましてや、俺はこの世界に来たばっかりで戦い方なんてろくに知らねえんだぞ!!

 そう思っていた時だった。


 「へっ?」


 すかっ、と。

 足元が急に頼りなくなった、というか足場がなくなった。

 スカっ、スカっ。

 思わず、空中で足をかくが反発なんかある訳がない。

 一瞬の浮遊感の直後、落下が始まった。

 

 「なんでこんなとこに穴あああああ!?」


 そう、くさむらに隠れて見えなかったが、そこには俺の体がすぽっと入る大きさの穴があった。

 幸運だったのは二点。

 一つは穴がそこまで大きくなかった点。ウサギである俺は問題なく通れても、狼連中は入れなかった。

 このお陰で逃げ切る事が出来た。

 二つ目は穴の中がすぐ坂になっていた点。

 なのでコロコロ転がって、目が回る、って状況にはなったものの真っ逆さまに墜落死って事態にはならなかった。いや、まあ、もう一つ付け加えるなら行き止まりじゃなかったのが一番の救いだったかもしれねえ……行き止まりだったら飢え死にするまで穴から出れなかった可能性だってあるからな。

 もっとも、この後起きた事で、当時の俺はそんな事を考える余裕はなかった。

 こんな事を思い返す事が出来たのはもっと後の事だ。

 

 「ぐえ」


 コロコロと転がって、ようやっと穴から放り出された時は結構な時間が過ぎていた。

 曲がりくねった穴はかなりの長さで地面の奥深くまで続き、空中に放り出された俺はすぐにボン、と何かに跳ねて、そのまま更にコロコロと転がり、そしてしばらくしてようやく止まった。


 「ひどい目にあった……ここどこだ?」


 あんだけ転がりゃ、目が回って立てなくてもおかしくないところだが、この体はそこら辺は強いらしく普通に立ち上がる事が出来た。

 そう思って周囲を見回した時だった。


 『誰じゃ?わしの塒に入り込んだ者は?』


 へっ?

 と思って背後を見れば、そこにいたのは……。


 「どら、ごん?」


 そう、巨大な金属っぽい鱗に包まれた黒色のドラゴンだった。ぱっと見ただけでも分かるぐらい、めっちゃ強そうなドラゴン。

 ……神様よう、この世界、ベリーハードじゃないかい?

いきなりドラゴンと会ったらびっくりするよね

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