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ヤバい奴

 うーん、ようやっと泣き止んでくれたのはいいんだが、疲れから気絶するように眠ってしまった。

 何とか抱きしめられてる状態からは脱出したものの、全然起きる様子がない。


 「しょうがないか。疲れてたんだろうな」


 一旦街へ戻るか。

 そう考えた時だった。


 「ほう、連中をこうもあっさり仕留めるとはなかなかやるではないか」


 突然響いた声にぎょっとして振り向いた。

 何時の間に!?

 視線の先にいたのは一体のゆったりしたローブを纏った相手だったが……。なんだ、この妙な気配は。

 そっと地面に降り立つ。


 「そう警戒するな、と言っても無理であろうな」

 「………」


 やばい。

 こういうのを第六感とか言うのかね?俺もそんなのを感じ取れるような凄い男に……うん、駄目だな。テンション上げようとしても無理だ。

 ……ちらっと奴の首筋に目をやって……?

 ん?

 ……何も見えない?

 いやいやいや、アド爺さんでも見えてた事は見えてたんだぞ?

 それが見えない?


 「おまえ……生きてるのか?」

 「ほう?」


 面白そうな雰囲気が声にも現れていた。


 「ふむ……なるほどな、話に聞いた事がある。首狩り兎(ヴォーパルバニー)という奴か」

 

 まただ。

 何か違和感がある。 

 なんだ?

 …………そうだ。

 俺はフォートの街に来た時から怖れられてた。

 でも、思い出せ、怖がる奴もいたが、そうでない奴だっていたはずだ。その違いは……。


 「お前……人の国の出身なのか」


 そうだ。

 フォートの街は、正確にはその街を含む一定領域は冒険者ギルドが実質的な領主を務める中立地帯と化しているって聞いた。

 魔精の森っていう入り口だけでも豊かな資源を得られる場所を巡って、人と魔物の国が対立し、最終的に両方の国に接する形で冒険者ギルドの管理する土地が定められて、そこにはどっちの国の誰もが入れる中立地帯として扱われて。

 そして、人の国から来た連中は俺の事を見ても……少なくとも最初は怖がってなかった。まあ……怖がる魔物から話聞いて、びびる奴結構いたけどさ……。

 こいつも同じだ。

 人の国では首狩り兎(ヴォーパルバニー)の事がそこまで広まってないとしたら……。


 「ふふ、なるほど、頭の回転が速いようで何よりだ。……馬鹿は本当に殺したくなるからねえ」


 うぐ……。

 これって……まさかこれが殺気って奴なのか?

 

 「そう、物分かりの良い子は好きだよ。それで物は相談なんだがね?」


 何だ?


 「その子供が持っていたはずの物、君は知らないかい?」


 え?


 「私が欲しいものをその子供は……違うな、その母親が渡されたはずなんだよ。だから追ってきたんだがね?見た所、その子供も君が回収した死骸にもないみたいなんだよ」


 ……物?

 この子供はその何かを求めて追われて、知り合いを殺されたのか?いや、こいつの言い分からすると母親も……。


 「馬車も見当たらないみたいだしねえ。破片もないし、森の中まで来てるとなると……どこかで捨てたか……」


 内心ギクッとした。

 馬車、俺のリュックの中に入ってる。


 「私は君が言った通り、人の国の出身でね?生憎、ウサギだと顔から察するとか、心を読むとか出来ないので聞いているんだよ。無論、タダとは言わない、ちゃんと報酬を約束しようじゃないか」

 「……そもそもどんなものか分からないし、俺が回収したのはその子と倒れてた遺体だけだ」

 「ふむ……」


 ……ばれんなよ。 

 頼むから。

黒幕っぽい誰か

新しい仕事場で疲れましたが、頑張って続けていきたいです

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