鍛錬は続くよのお話
お久しぶりです
諸事情につき長らく更新停止していました、あとがきにてもう少し詳しく
「少しはコツを掴めたみたいじゃの」
と、本日はヨルク爺さんとの鍛錬の日。
というか、基本はヨルク爺さんが主な師匠となってくれている。
原因は単純だ。一つは当主として一部の奥義みたいなのまできちっと学んでいるのはヨルク爺さんとフォルカー爺さんでグレーテル婆さんはそうした当主のみに伝えられる奥義とでもいうべき部分は知らない事。
次に俺と一番体格が似てる、というか同じウサギサイズなのはヨルク爺さんしかいないから。本質的な面では同じ技でも長い手足のあるフォルカー爺さんや、体の大きさでは俺を大きく上回るグレーテル婆さんではやっぱりちょっと感覚面で違う部分があったりするんだよな。
加えて、フォルカー爺さんは確かに最強だが、天才肌な所がある。つまり、感覚的に把握している部分が多いにあって、教えるとなるとフィーリングが、って訳。いわゆる天才にありがちな「こういって、ズバッとやればいいだけなのに何で分からないんだろう?」って感じかな?
幸い、フォルカー爺さん自身は「何で分からないんだろう?」とは思っていても、自分の感覚が一般の感覚とは大きくずれている事は自覚してるので教えるのはほぼヨルク爺さんに任せてくれているし、教え方にちょっかいかけてきたりもしない。
ちなみにグレーテル婆さんはフォルカー爺さんとは逆に当人曰く「劣等生だったのよ」、だそうで、それだけに分かりづらい部分に関して当人なりの感覚を掴んだ時の体験を話してくれる。
「まーなー。厳しいっちゃ厳しいけど短期で詰め込むとなるとな」
それを望んだのは俺だし。
あの日、何も考えてられないぐらい忙しかった中で、俺はコツ、とでもいうべき部分を掴んだらしく物体に関しても、ある程度存在の流れ、とでもいうべき奴が見えつつあった。
それに基づいてまた修行修行……。
「ふむ、とりあえず植物などに関しては完全に掴んだみたいじゃが、やはり金属などに関してはまだまだバラつきがあるのう」
うーん、そうなんだよな。
金属にだって存在している以上、流れはある、という。
それどころか奥義、とでも呼ぶべき部分か?それによると『技や魔法にもまた流れがある』ってんだよな。
だから、『その流れを断ち切れば、技をキャンセルさせる事も、魔法を打ち消す事も出来る』ってんだが……。これに関してはヨルク爺さんも成功率低いらしいんだよね。……フォルカー爺さんはこっちも正に百発百中とでもいうか、完璧に成功させてみせるらしいんだが。
でも、これを成し遂げる為には、動かない金属なんかに関しては完璧な成功率を達成しないとまず無理だ。
さて、その為には何をすればいいのか?
……結局、反復練習なんだよなあ。
とはいえ、これには意外と時間がかからなかったと言っておく。既にうっすらと見えてはいたからな。……とはいえ、三日ぐらいはかかったんだが。三日間、朝から晩までひたすら金属棒を睨み、見えては攻撃を繰り返すのは実に辛かった……。
さて、それが終わると今度は魔法だ。
こちらはまずは危険度のない魔法、明かりを落としたほんのり光るライトの魔法相手に見極めを続ける。
それが出来るようになったら今度は動き回るライトを対象に訓練。
ちなみに、この段階でラティスが参加した。魔法制御の訓練の一環として、ライトを自由自在に俺につかまらないよう動かすって訓練だったんだ。もっとも当人は遊んでる感覚に近く、楽しそうにしてたな。いや、分かるんだよ。傍から見りゃ単なる追いかけっこなんだから!
ラティスが動かす光の玉をウサギが追いかけて、追い付いて体当たりしたら時々光の玉が消える、って事になる上、一定時間ラティスが逃がし切ればラティスの勝ち、追い付かれて消されたら俺の勝ちって点数までつけてんだし。そりゃあ、ラティスからすれば俺と遊んでるようにしか感じられないだろうし、それはいいんだ。ラティスはまだ小さいし、子供にとっては楽しく遊びながら覚えられるならそれが一番なんだから。
でも、こっちからすれば必死だよ……。
ラティスもあの手この手で俺に追い付かれないようにしようとする。
もちろん、手の届かない高さまでいったら、今度はラティスのミス!って事になるが、慣れてくるにつれてそんなミスは期待出来ない……というか、これ本質はあくまで俺とラティスの訓練だからな。勝敗には意味がない……まあ、勝ち負け自体は初日はラティスの圧勝で終わったが、それもじょじょに改善されてった。要は勝ったり負けたりになってった訳だが、こうなるとラティスも負けたくない!と思い始めたのか、実に巧妙に動かすようになっていった。
もっとも、そうなりだすと共に終わっちまったんだが。
いや、だってさ、ラティスの訓練にはなっても俺の訓練にならなくなってったんだよね。
俺の目的はあくまで動き回る魔法の流れを見極めて、それを断ち切る……なんだから。俺が激しい動きに惑わされず、捕らえられれば魔法を消せるようになった段階で終わりだ。
代わりに今度は同じライトの魔法だが、俺に真っ直ぐ向かってくる奴の流れを断ち切るものになった。
まあ、攻撃魔法とか想定するならそうなるよな。しかも、段々と光量を落としていった事で、昼間には非常に見分けづらくなっていった。その上で、可能な限り速度も上げていくんだから、これがもう当たらない当たらない……。
「流れを見るんじゃ、魔法を見ようとするでない!」
お陰で、ヨルク爺さんにはそう何度も叱られた。
うーん、見えないとつい魔法を見ようとしちまうんだよなあ……。
意識して『魔法を見ない、流れ流れ流れ……』って自分に言い聞かせながらやってると反応が遅れるし……爺さん達の感じでいえば、脊髄反射レベルでの対応を求められてんだろうな、とは分かるんだけどさ。ほら、いわゆるアレだ、「考えるな、感じるんだ」って奴だ。
ライトでそれが出来るようになったら、いよいよ危険を伴う鍛錬。
これに関してはいよいよ、の段になって断りを入れて来た。
「ここからはいよいよ危険を伴う鍛錬になってくる。本当に良いのだな?」
ってな。
そう、いよいよ実際に体に悪影響を与える魔法を相手にする事になる。
最初は攻撃魔法。続いていわゆるデバフ系の魔法。
ちなみにデバフ系の魔法が後なのは視認性という面では後者の方が圧倒的に難しいからだ。
「ああ、やってくれ。よろしく頼む」
それでも俺は了承した。
これを超えないといけないんだよ、俺は!
体調に加え、精神的にも非常にストレスがマッハな状態が続いてました……というか、まだ絶賛続いております(苦笑
とはいえ、何時までも更新しないのは失礼というか、調子が戻らないのでせめて週に一度程度は更新していければと考えております
体的にも精神的にもまだまだ本調子には程遠いですが、少しずつでも書いていきたいと考えています