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師匠達と出会った話

 「よう来たな」


 俺を待っていたのは三体?三匹?の首狩り兎(ヴォーパルバニー)達だった。

 現当主にして、既に【首狩り】を失っているクリストフはこれ以上関われる余地がない、というか関わってる時間があれ以上なかったとも言う。

 そこで、案内してもらって鍛えてもらう為の面々の所に案内してもらったのだった。


 「おぬしがビットじゃな?自己紹介させてもらおう、儂はヨルク」

 「フォルカー」

 「そして、あたしがグレーテルさ」


 ヨルクは俺と同じだ、完全なウサギ型。

 ただし、白黒のぶち柄だ。

 フォルカーは直立した人サイズの兎、といった姿。

 茶色の毛皮で包まれたウサギで、スーツをびしっと着こなした洒落者といった感じだ。

 最後のグレーテルは唯一の女性、といってもここにいるのは全員結構なお年頃な訳だが、見た目的には……正直、一番インパクトがある。っていうか、普通の人族が見たら恐怖で悲鳴上げるんじゃねえかな?だって、いわゆる人面兎、って奴なんだよ!

 顔はにこやかな初老の女性なのに、体は大きな淡く赤みがかかってピンクにも見えるウサギ……。

 これを見て、ちょっと独特だな、って程度で済んじまうのは俺の精神が首狩り兎(ヴォーパルバニー)だからか。前の人生だったら呆気に取られて、マジマジと見つめてたんだろうなあ……。

 考えてみりゃ、完全なウサギとウサギ獣人の交尾だ。

 なんか漠然と全員が人型のウサギみたいパターンを想像してたが、グレーテル婆さんみたいな逆パターンも可能性あるのか……。案外、この世界にはマジモンの「ザ・フライ」がいるのかもしれねえ。実際に会ってみたら、案外普通なのかもしれねえし、俺も平気なのかもしれねえけど。

  

 「今では一族で【首狩り】を持つのもこの三名になってしもうた」

 「やり方が間違っていたとは思わないがね」

 「そうだね、でも、このまま一族が【首狩り】を失う訳にはいかないんだよ」


 クリストフはまだ俺が持つ腕や足を断つ技を持っている。

 だけど、完全に失った一族の中には種族そのものが変わっちまった者が実際に出ているそうな。


 「儂も獣人が駄目だと言うつもりはない」

 「だが、我らは首狩り兎(ヴォーパルバニー)の一族なのだよ」

 「その誇りを失っちまったら御仕舞さ」


 なるほど?

 まあ、俺は別に誇りとかどうでもいいんだが、彼らからすれば何百年と連綿と続いてきた一族の歴史を自分達で終わらせるのは許せないんだろうな。

 黙ってはいたんだが、薄々察しはしたのか苦笑を浮かべられた。


 「ま、年寄りの感傷じゃよ、結局はな」

 「そうだな、結局はそれに尽きる」

 「あたしらの代で技術が廃れてしまうのはねえ」


 ああ、そっちのが分かりやすいな。

 黙ってるとどう思ったのか、どこか嘆願するように言ってきた。


 「その、じゃからな?最悪、子供だけでも作ってくれれば」

 「そうじゃ、父なし子でも一族が責任を持って育てるとも!」

 「一族は皆、覚悟を決めてるからね?気にしないでいいからさ」

 

 いや、ちょっと。

 

 「しねえよ!?どんだけ鬼畜なんだよ、俺!?」


 思わず、そう叫んだら爺さん婆さんが我慢出来ない様子で噴き出して、笑い出した。

 どうやら、からかわれたらしい……。   

 

 「すまんすまん、まあ、最悪そういう事を考えておったのも本当じゃよ」

 「幸い、あの子を気に入ってもらえたみたいだからねえ。出来ればお互い幸せになって欲しいのさ」

 「とりあえず今日は鍛錬の日程を決めようと思うのだがどうかな?」


 ……お願いします。

 なんか、着いたばかり、って肉体的な疲れ以上に精神的に疲れた気がする。

 今日は早めに休もう……それがいい。

 

頭部が獣、体が人ってケースがあるなら、頭部が人、体は獣みたいなケースだってありだと思うんだ

それが見た目的にどうかはさておき

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― 新着の感想 ―
[一言] 人面兎で一瞬シーマンを思い出しました。 ウサマン「なに見てんだよ」⊂((・x・))⊃
[一言] シーマンの兎版か!
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