表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
105/116

いざ出発のお話

 ラティスの説得自体はあっさり終わった。

 事情説明したら、即「うん、いいよ!」と、フォートの街を離れて、首狩り兎(ヴォーパルバニー)の領地……里って言っておくが、そこへ行く事に賛成してくれた。

 ラティス曰く、「え?だって、反対する理由ないよね?」との事。

 ……まあ、言われてみりゃ反対する理由なんてアイカさんのご飯当面食べれなくなるとかそういう事しかねえからなあ……。ラティスも自分の母らを襲撃してきた相手が再び姿を見せた、って事とか、このままじゃ勝てないから強くなる為に里へ行くってのはそれなりに危機感を感じさせる話だったみたいだ。 

 ツァルトはラティスが賛成した以上、言う必要もない。

 ちなみにヘルガの事に関しては「わッ、ウサギさんのお嫁さんなんだ!」と目をキラキラさせてた。

 うん、さすがに恋愛感情とかはないと確認出来て一安心。さすがにウサギと人では見た目が違いすぎて、ラティスの恋愛対象にはならんかったようだ。


 その晩はそれで済んだけど、翌日からが忙しかった。

 まず、来てくれたアイカさんに事情説明して、了承を得た。ちなみに包んどく額は「帰ってきたらまたよろしく」という意味合いも込めて、三ヶ月分ほどにしといた。それ以上は何か色々と法に引っかかるらしいんだよな。以前に、こうした包む金絡みで何かしらあったらしいんだが、そこまでは知らん。

 で、冒険者ギルドに行って、事情説明して、当面留守にする手続きをした。

 いや、だって借家も解除しないといけないしさ?手続きしとかないと冒険者ギルドも指名依頼があった時とかに困るからな。

 後はラティスと各自で知り合いにしばらく留守にする挨拶回り。

 セレンさんとか、行きつけの店のおっちゃんおばちゃんとかだな。そんな事してたらあっという間に一日が過ぎた。


 「へー」

 「わー」

 『これはまた』


 迎えに来た馬車を見ての俺達の反応。

 いやね?てっきり一台かと思ってたら、六台も連ねてきたんだよ。それもどれも質実剛健といった感じで、装飾こそ貴族の馬車として必要最低限は施されてるけどそれ以上に使い勝手が重視されてる。

 まず一台目、令嬢でもあるヘルガや俺が乗る用、要は貴賓用。

 内装も落ち着いた立派なものだが、座り心地とかも重視されてて、横になる事も可能だ。

 二台目は侍女や料理人の乗る馬車。

 ……っていうか、全員女性で固めてるんだが、料理人まで連れてきてるのな。

 三台目と四台目は護衛らの乗る馬車。

 こちらも女性冒険者達ばかりだ。……い、居心地悪い。とはいえ、貴族のお嬢様が旅する以上、女性で固めるのも当然の話だわな。

 ……ちなみに貴族の馬車を襲う奴は実際には、まずいない。

 下手に襲撃したら、間違いなく大規模な討伐隊が編成されて、逃亡を余儀なくされるからだ。

 だから、貴族を襲撃する奴なんてのは貴族の馬車だと認識出来ないようなおバカな盗賊団とか、貴族の討伐隊を返り討ちにしかねないような大規模盗賊団とかになる。貴族の馬車が貴族として最低限は装飾とか紋章とかつけてるのは警告でもあるんだな。

 ちなみに、首狩り兎(ヴォーパルバニー)の里が所属する国は結構な大国になる。

 っていうか、最初に建国した魔物はいずれも数百年を生きる強大な魔物ばっかしだったからな。その頃から残ってる国はほぼ例外なく大国だ。魔物達は最初に話し合って、互いの縄張りとも言える国を決めて、以後は基本的に自分の縄張りの発展に専念してきたからな。

 トップがそういう連中だから、他国侵略!みたいな事にも基本、関心がない。

 必然的に現在まで残ってるような国は大国になる訳だ。なんせ、最初からトップが変わってない国もザラだし、暴君や暗君もそもそも何代も代替わりしてないんだから出てもいない。初代でもあるトップが健在なんだから、継承権を巡っての争いなんかもない。

 そりゃあ、真っ当にやってりゃ発展して当然だわな。

 倒れた国は大体、魔物ではあっても比較的寿命が短いので何代も代替わりした種族とか、初代が亡くなった後分裂したといった所が多い。やっぱし、魔物でも何代も代替わりすれば暴君や暗君になる奴も出てきたり、腐敗したりして倒れる国が出てくるようだ。

 でも、周囲の縄張りを持つ魔物は自分の縄張りが発展してる上、特に縄張り外には関心持たないので、それまであった国というか縄張りが寸刻みになって、小国が乱立する訳だな。

 だから、そうした小国の貴族の場合はある程度大規模な盗賊団に襲われる事もあるらしい……。

 で、話を戻すが、残る五台目、六台目は食料品その他諸々を積み込んだ荷馬車だ。マジックバッグやそれに類する箱型ケースも使ってるせいで、二台で済んでるそうな。

 で、先頭を護衛の馬車の一台目が勤め、以下俺らの乗る馬車、侍女らの馬車、荷馬車、最後尾にもう一台の護衛の馬車、という形で進む事になる。

 もちろん、護衛達も全員が馬車に乗る訳じゃなく、一部は騎乗して側面につき、万一に備えて警戒する訳だな。

 

 「それでは参りましょう!」


 ヘルガが声をかけ、馬車の一団は出発した。

 フォートの街の入り口を特に問題なく抜けると速度を上げる。

 ここから通常の商隊でおよそ一月。

 割合、高速で動けるように揃えられた(荷車も前述の通りの収納で重さを減らしてる)上、商売をしない、この一団でも大体二週間。

 それで、首狩り兎(ヴォーパルバニー)一族の里へと到着する。


 「……旅の間に我慢出来なくなったら押し倒してくれても構いませんから」


 ラティスに聞こえないようそっとヘルガから囁かれた言葉には反応に困ったけどな。

 

引っ越しするには荷物まとめたりするのが大変です

荷物つめてくと今度は寝る場所に困ったりしますし、引っ越したら今度は先で梱包開く必要もありますからね

でも、ビット達の場合はビットのマジックバッグに詰め込んで終わりです

私もそんなバッグがあったら欲しいですね

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] ウサギは年中発情期で、それがバニーガールの由来だったと記憶してますが?
[一言] 我慢できなくなったらって、本来強めの発情期とかある種族なんだろうか?
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ