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事件の結末を知るお話

二話同時投稿分、その2

 「そういや、あのローブ連中の事と、彼女の事ですっかり頭から飛んでたけど子猫見つかったのか?」

 「……!忘れてました、ちょっと確認してきますね」


 音もなくジョンが冒険者ギルドの奥へと入っていった。

 待つことしばし……。 


 「それで結局、子供は?」

 「見つかったそうです……マリグラ教団司教の家で。お母さんの所に無事戻ってます」


 へえ。


 「って事は誘拐したのはやっぱり……」

 「……それが一概にそうとは断言出来ないんです」

 

 え?どゆ事?


 「まず、確かにツインテールキャットの子猫さんは司教の家で保護されました」

 

 うん。


 「しかし、司教の家に雇われていた家政婦によると『迷子になった子供を保護した』と伝えられていたようなのです」

 

 え?

 でも。


 「困った事に、子供の方はろくに自分が浚われた時の事を覚えていないんです」

 「どういう事?」


 話を聞いてみると、子猫ちゃんは母猫から少し離れた後、頭がぼうっとして気づいた時には、あの屋敷にいたそうだ。

 で、「大丈夫かい?」「迷子みたいだったからお母さんなり探したいんだけど家は分かるかい?」とか聞かれたような気はするがはっきりと覚えていないという……。

 その質問に対しても答えたような、答えてないようなぼやっとした状態で覚えていないという……。


 「ですから、司教とやらが本当に迷子をとりあえず家に連れて来ただけなのか、それとも誘拐に関わっていたのか不明なんですよ」

 「……ああ、そうか、本人に確認しようにも……」

 「……そうです、死体になってて確認しようがないんですよ」


 司教どころか、この街のマリグラ教団の全員が、あの二人組にミナゴロシにされてて、聞ける相手がいない。

 唯一聞けるのは雇われてた家政婦レベルだけど、そんな相手が誘拐だのなんだのといった事を知る訳がない。


 「ですから、我々としては現状、マリグラ教団は『被害者』として扱うしかないんですよ」

 「……そうなるだろうなあ」


 何せ、犯罪の記録はない。

 迷子の保護ではなく、誘拐だという証拠もない。

 本人に聞こうにも死体ではどうしようもない。

 そうなると残るは迷子を保護したはいいが、直後に突然の虐殺劇に遭って家に戻る事がなかった、という事が事実となる。

 これじゃあ、「お前誘拐しようとしてただろ!」なんて決めつけても、どこかから真実が洩れた瞬間に、そう決めつけたギルド側が悪役になりかねない。


 「その家政婦というのが雑用任務で派遣されてた家政婦専門冒険者なんですけどね?当人は『迷子になったなんて可哀そう。早くお母さん見つかるといいね』と思ってたそうなんですよ。まさか、証拠も何もなしに実はここの家主はその子猫を誘拐してきた可能性がある、なんて言えません」

 「って事は……マリグラ教団はこれまで通りか」


 そう言うと、ジョンは苦笑した。


 「当面、活動再開出来るとは思えませんし、場合によってはこのまま撤退する可能性もありますけどね」


 それもそうか……また襲撃される可能性だってある訳だしなあ。

 守ってもらうには理由説明しないといけないけど、それを来てる奴が知ってるかもまた別だし、言えるかも分からない(というか怪しい)。

 来たら来たで、あの虐殺があった建物、また使うのか?って事もあるし……。

 どうすんだろうな?実際。

 にしても、なんか煮え切らない結末になっちまった。


 ちなみに後の話だが、あの建物はなくなって空き地+売り土地になってた。

 ただ、街中で虐殺があったって事でなかなか売れてなかったんだが、そこら辺の事知らない富豪が後に買って邸宅を建てたようだが、何か一月もしない間に売り家になってたんだよな……。

 あっ、ちなみに強い恨みを抱いて死んだ奴はマジモノの亡霊になる可能性がある世界だ、って事は言っとく。

 

という訳で

「証人になる奴誰かひとりぐらい生かしといてくれよ!?ミナゴロシとかろくな事しない奴らだな!?」

という冒険者ギルドのが本音でした

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― 新着の感想 ―
[一言] いやあマリグラ教団の方々ミナゴロシになったおかげで連続誘拐犯の濡れ衣を着せられずに済みましたね! ヨカッタヨカッタ。
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