決定のお話
本日の二話投稿分
その1
さあ、俺の答えは!?
いやまあ、決まってるけどさ!
「分かった、行こう」
「!!ありがとうございます」
うぐっ!?
抱きしめられたら、ラティスと違って凄い弾力ある柔らかい胸に……埋もれるッ!?
……今更ながらこんだけ体格違ってるのに子供なんか作れるのかね?
……出来ないなら誘ったりもしないだろ、多分。
幸い窒息させる気もなく、そういう事にも注意してたみたいで、すぐ解放された。
真面目な話、今のままだと力不足な気がするんだよな。
アド爺さんに戦い方を習ったけど、それはあくまで魔法を駆使した「普通の?」戦い方。当り前だが、それは首狩り兎の為の戦い方じゃない。それを教えられるのは間違いなく、首狩り兎の領地にでも行かないと、まず出会えないだろう。
隠れ里もあるとは聞くけど、そこで学べるのは精々スキルを用いた狩りの方法だと思う。
専門の戦闘術みたいなものを継承してるとしたら、ほんと世界中探しても首狩り兎の領地しかないんじゃないか?
だからこそ、俺は行きたい。
先日の二人組に出会って、俺は確信した。
(今、奴らと戦ったら間違いなく、俺が死ぬ)
あのローブの奴が何者なのかは分からないし、何故ラティスを見逃したのかも分からない。
けど、あのケルベロスも見逃してくれるかは不明だ。
それに、ローブの方もこのままずっと見逃してくれるか、となると……正直、首を傾げざるをえない。何せ、奴の目的も狙いもさっぱり分からんし、何がきっかけになるのかも分からん。分からない以上、何に気を付ければいいのかも分からない。
最悪、明日にでも条件を満たして、奴が来るって可能性もある。
それに対抗する為にはこっちの力の底上げを図るしかない!
「それじゃ迎えというか、私が帰るのに合わせて一緒に来てもらっていいですか?予定では明後日を考えているのですが」
「えーと……多分、大丈夫」
冒険者ギルドは問題ない。
元々、冒険者は数ヶ月の長期依頼なんてのは普通にあるし、別に冒険者は登録した最初の街でしか冒険出来ないなんて事もない。
確認してみたが、首狩り兎の街にもちゃんとあるみたいだ、冒険者ギルド。
「昔は小さな出張所みたいなのが一応、って感じであるだけだったそうです」
「そ、そうなんだ……」
「ええ、まあ、当時は誰も来ない領地でしたからね」
昔と今がどう変わったのか見てみたい気もするなあ。
なんか、劇的ビフォーアフター!なんて気持ちになれそうな気がしてならない。
「それじゃ、明後日の朝、お迎えに行きますね!」
「ああ、待ってる」
ヘルガは嬉しそうな足取りで帰っていった。
俺も楽しみだ。
どんな相手が教えてくれるのかな?多分、先代とか言ってたし、それなりに年いった老師みたいな感じなんだろうか?
教え方とかもどんなのかなあ?体で覚えろ!みたいなスパルタなのか、それとも……何だか凄くウキウキしてる。
とりあえず今晩はラティスを説得して、明日、アイカさんに事情話してから冒険者ギルドに行って、契約終了手続きと、しばらく出かける旨も伝えないと……ちなみにこういう急な契約解除の場合、最低でも翌月分の給与までは出すのが一般的だ。今後、つまり将来帰ってきてからを見据えてならもう少し出す事もある。
冒険者の場合、突然、仕事が入る事もあるから契約解除自体は問題ないんだが、契約してる相手にも生活ってもんがある。
いきなり「明日から無収入になります」じゃ相手も困る。
一応、それでも手続き上、問題ない事はないそうなんだが、そんな事をやる奴は雑用冒険者の間であっという間に噂が広まって、戻ってきた所でまずまともな奴には家政婦とかの依頼を引き受けてもらえなくなる。俺は最終的には首狩り兎の領地に住む事になるかもしれないけど、一旦こっちにまた戻ってくるつもりだからな。ちょっと多めに包んでおいてもいいだろ。
ふと忘れてた事に気づいたので帰る前にジョンに確認しておこう。
普通は行くよね
行かない理由がない
強くなれて、美人の嫁さん候補とお金と地位がついてくるという