今の姿と、訪問理由のお話
何とか出かける前に書きあがったあああ!
「え、首狩り兎?」
「ええ」
改めて見直した。
……ウサギ要素って頭と尻尾?ぐらいしかないじゃん。それ以外は凄い普通の獣人にしか見えない。いやまあ、ボンキュッボン!なスタイル抜群の美女じゃあるけどさ。説明されなかったら、まず首狩り兎だなんて思えねえぞ?
「……もしかして、首狩り兎一族って最初からその姿?」
「そんな事ありませんわ……」
少し長い話になりますがよろしい?というので、一旦座ってもらって話を聞いてみた。
それによると、長らく首狩り兎一族は悩んでいたそうだ。
理由は単純、魔物の国では恐怖伝説が広まりすぎて、全然新規が来ない。
辺境に閉じこもったのはいいものの、商人も新しい領民も来ない。
当り前だが、このままでは衰亡して消えてしまう!と危機感を持った一族は色々な手段でもって、一族の繁栄を目論んだ。
一族から職人を育てる。
何かしら名産を見つける。
商人と契約して、領土のそうした品を扱ってもらう……。
いずれもなかなか上手くいかなかった。
当然ながら、首狩り兎ってのは根本部分で戦闘型の種族だ。それが他の種族が得意とする分野に手を出したって、付け焼刃で長い歴史を誇るそうした技術者集団を抱える種族達に敵う訳がないし、かといって名産がそうそう簡単に見つけられて、しかも大量に得られたなら誰も苦労はしない。
幸いな事に、これまで魔獣などで危険とされていた地域の奥に希少な薬草群生地とか、世界でも産出地が僅かしか見つかっていない鉱物などが発見出来た事から何とか財政は回っていたらしい。
「でも、それでは先細りです」
「だろうね」
現地の偶然見つけた品に頼る訳にはいかない。
そこで首狩り兎一族が計画したのが……「混血計画」だった。
魔物っていうのは非常に見た目の差が激しい。
キマイラと単眼巨人は同じ魔物に分類されるが、同じ種族には見えないし、彼らもお互いを結婚相手としては見れない。
だが、奇妙な事に子孫を作る事は出来る。
……何でそんな事が分かってるかというと、アレだ。世の中には物好きがいるって事さ……。
……話を戻すが、そうして生まれた子供は親の特徴を併せ持つか、どちらかの特徴が極端に出る。
前のキマイラと単眼巨人のケースで言えば、巨人並のサイズのキマイラとか、単眼のキマイラ、或いは巨人から別の頭が生えてるとか、逆にどちらかの親そっくりな外見って事になる訳だ。
首狩り兎の一族はこれに目を付けた。
交配の為の……まあ、お相手は金で貧困層とかを雇ったりしたらしい。最初期には奴隷なんかもいたんじゃ?って事らしいけどさ。そこら辺は当主らが秘匿して、門外不出になってるんじゃないか、ってのが今の一族の密かな噂らしい。暴いても誰も得にならんから黙ってるそうだが。
そうして、雇われたいわゆる獣人だ。
彼らと交配して、子供を作り、その内獣人の外見に近い者と首狩り兎の能力を持つ者達をまた掛け合わせ……って感じで次第に自分達の外見を獣人の、かつての完全なウサギの姿からウサギ獣人に近い姿へと変えていったらしい。それこそ何百年もかけて。
「……き、気の長い計画だな!」
「魔物の寿命は長いですからね。それでも長い時間でしたが」
そうして、そういう姿を手に入れた彼らは王や上級貴族の知り合いらに頼み込んで、一つの表向きのストーリーを流してもらった。
つまり、『首狩り兎一族は当人達の希望で別領地に移ったらしい』『新たに獣人の一族が領主に任命されたらしい』って話だ。
そんな話が通るのかと思ったが、王にせよ隣接した領地の上級貴族にせよ、今の首狩り兎一族の領地が発展する事は望ましい事だったので協力してくれたらしい。首狩り兎は引きこもっていたから失態を犯した訳でもなく、長らく住んでいる場所だから領地替えも出来ない。
かといって、現状では禁忌の地みたいな扱いになってるせいで基本、迂回してのルートばかり。直通ルートが出来れば他国との交易が一気に進む。領地を与えられた当時は辺境だったが、長い間に隣国なども開発が進んだ結果、首狩り兎一族が住んでいる領地が開発されれば他国との交易の中心ルートにもなりえるポテンシャルがあったそうな。
それが、ちょっと噂を流すだけで叶う可能性があるってんだから割と喜んで協力してくれたらしい。
そして、その思惑は成功した。
最初は恐る恐るでも来てみれば、本当に獣人にしか見えない一族が領主となっている。
見た目ってのは大事で、次第に首狩り兎一族の領地は活発化し、安定し、交易ルートも確立されていった。それと共に、首狩り兎一族は積極的に民や新たな移住者、商人や職人と交わり、親しまれていった。
そうして、十分に親しくなり、隣人としての立場を確立した所で真相を公開した。
驚きはしたし、それで一部の者の距離を置かれたが、大部分にとってみれば「なんだ、首狩り兎なんて怖れられてたけど、普通だったんだ」という事になったそうだ。
で、商人は今更交易ルートを捨てるなんてさらさらなく、職人も今更だろ、ってな感じで最初に怯えた一部の者ともやがて和解した。
今では領地は発展し、最初は人心工作の為だったとはいえ、凄い長い事続けてきたせいで今更変えるのも嫌だ、と非常に親しみやすい上級貴族なのは変わらないまま。発展を続けた現在、爵位も辺境伯の称号を与えられ、絶賛発展中なんだそうだが……。
しかし……。
敢えて目を逸らしていた事を指摘する。
「……今の首狩り兎一族の状況は分かったけど、何でそんな恰好で、俺の所に来た訳?」
「決まってますわ、貴方を誘惑する為ですわよ?」
いわゆるバニーガール姿の目に毒な恰好の彼女。
そんな女性から飛び出した発言は予想の斜め上の発言だった。
という訳で、美女から誘惑される事が決定したビットであります
理由はまた明日
え、美女の外見?
某FG●の水着獅子王を検索して、彼女の髪を黒髪にしてください
割とイメージに近いですw表情とかはもう少し柔らかかったり、細かい点では違いはありますが