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好きなの?

翌る日の朝、なな達の地下研究所兼住宅の玄関先にてななが翔に声を掛けていた。


「早く行かないとスクールバスが行っちゃうよっ!」


翔が慌てて玄関先に現れて服装が乱れながら、息を切らせていた。


「ごめん、ごめん、寝坊しちゃって!」


「さぁ、行こう!寝坊助っ!」


ななと翔は走りながらバスの方に向かっていった。

そのいつもの光景を瓜二つの金髪少女達は眺めていた。


バスに間に合ったなな達は、スクールバスに乗り込みいつもの席に腰を下ろした。


慣れたように翔の乱れた服装をななが直していた。それを見つめる一人の少女。


「あなた達、本当に仲良しね。」


「あっ、ひとみ!おはよう!」


彼女の名前はひとみでななと翔の幼馴染であった。学園ではいつも一緒にいる仲のいい

クラスメイトである。


「おはよう、二人ともっ!」


ひとみも挨拶を交わし、翔も恥ずかしそうに挨拶をするのだった。


「おはよう、ひとみちゃん!」


スクールバスは学園の方に走っている。なな達のところが一番最後の順番であった。


「でもななって随分変わったよね。」


「前はもっとおしとやかだったし、翔くんにもちょっと気を遣っていた感じもしたし・・・」


ひとみは結構、はっきりと物を言うタイプだ。背も二人より高いし大人ぶっている。

ななもその辺りは分かっている。長い付き合いだから割と慣れているのだ。


「そっ、そうかな?前と同じだと思うけど・・・」


「翔くんはどう思う?」


ひとみが翔に声を掛けると、少しひとみが苦手な翔はちょっと悩んだ結果、

どうしようと言った顔で答えるのだった。


「余り変わっていないと思うけど・・・」


「私の勘違いかな、ならいいけど。」


ひとみは二人の顔を見ながら怪しげな顔をしていたが、まぁいいかって表情に変わっていった。


「(あの事があってからなのかな・・・)」


ひとみの心の中ではそう思っていたが、口には出さないでいた。

やがてスクールバスは学園の前に着いた。


今日は学年度末で明日から長期に渡りお休みになる。

母親と二人の金髪少女達は話し合い、ななと翔が学園の休みの間に実験をする事に決めていた。


その頃、地下研究所兼住宅の地下休憩室にて、金髪少女達は話し合っていた。

かなはお菓子を食べながら、さなは端末を覗きながらお茶を飲んでいた。


「ななも頭が良いのだから、私達みたく飛び級しちゃえばいいのに・・・」


さなが悩んだ顔をしていると、少し笑った顔でかなが答えた。


「ほら、翔くんとずっと一緒にいられなくなるから・・・」


成程っといった感じの顔になるさな。端末から目を離しかなの方に振り向いた。

何だか薄気味悪い笑みを浮かべて・・・


「お姉ちゃんも翔くんの事、好きでしょ?」


恥ずかしそうな雲行きになるかながそこにはいた。


「えっ、えっ、そんな事、そんな事・・・、さなだって・・・」


否定はしていたが、満更そうでもないと言う顔をしていた。

さなは割と普通の顔をしていたが、かなを誤魔化すように、からかうつもりで答えた。


「私は誰だって構わないけど、かなは翔くんとお風呂入ったりしているし・・・」


「わっわっ私は、ほっほら・・・お姉さんとして皆の面倒を・・・」


かなは慌てて答えるも顔を真っ赤にしているのが分かる。でも家族同然と言った感じなのか

翔に対しては羞恥心がないのだ。度々、下着姿で家の中を歩いている事もあるのだ。


「かなの裸を見られているって事は私の裸も見られているって感じにもなるから!」


さなは嫌味を言いつつ、悪げ?は余り感じてはいなかった。


「ななにいつも注意されているもんねっ!露出狂って!」


瓜二つの金髪少女は片方が裸を見られていると自分も見られたように思えてしまうのだ。


「さなの意地悪っ!!」


かなは顔を真っ赤にしながら怒った様子になり、さなを睨むのだった。


「もうご飯、作って上げないから!さなの今日のご飯はふりかけのみねっ!!」


この言葉に衝撃を受けたさなは、お茶を口から零し瞬時に土下座、誤るのだった。


「ごっごっ、ごめん。言い過ぎました!ごめんなさいっ!」


暫くして・・・、かなが落ち着きを取り戻したのかお菓子を食べ始めた。


「さなの今日のおやつのケーキ食べちゃうんだから!」


さなは本当に申し訳なさそうにソファーに腰を下ろすのだった。

かなの顔を見ると、少し真剣な顔に変わっていた。


「でも、ななって独占欲強いよね・・・、ずっと翔くんの側にいるもの・・・」


「私はさなとななの二人だったら、翔くんの事、構わないと思っているけどなぁ・・・」


かなが急にそう呟くと、さなも察知してか少し頷き呟いていた。


「あの事があったからかなぁ・・・」


「うーん、あの事かなぁ・・・」


二人とも同意見の様だったか、ここでは深く追究はしなかった。

かなは話を元に戻すかのように、お菓子を食べるのを止めた。


「さなっ、これまでの実験データと今後の手順は大体纏まった?」


話の流れは生命体転送実験の事だ。


「あっああ、ほぼ纏まったので、お母さんに転送するところだよ。」


母親はほとんど家には帰らず、宇宙都市で生活をしている。

まだ人が宇宙に行くには、時間や費用が掛かるのだが、

物体転送装置は完成しているので、宇宙都市での生活は結構進んでいるのだ。


「暫く会ってないねぇ・・・」


かなが寂しげに返事すると、さなが現実的に厳しく答えた。


「お母さんも忙しいから、これが完成すれば発表やら準備で、さらに会えないかも!」


かなも知っているのか落胆するかのように頭を抱えるのだった。


この研究、実験は母親のところでも行っている。

だが天才肌の二人の金髪少女達は地上にて、誰にも目が留まらないように

隠されて実験をしているのだ。情報化社会においてデータが全て盗まれる事もあるからだ。


この地下研究所は独自のもので、外部からも見えずただの一軒家にしか見えない。

外部からのネットワークも遮断されており、娘達の命が狙われないかと秘密にされているのだ。


「でも、でも実用化さえされればいいんだよねぇ・・・」


かながそう言うとさなも納得するかのように頷くのだった。


時間がお昼頃を示している。二人のいる地下休憩室の扉が開いた。


「ただいまーっ!お姉ちゃん達。」


部屋に響き渡る黒髪のななの甲高い声に、何時もながら驚き、挨拶を交わすのだ。


「おかえり!二人ともっ!」


翔も同様に、二人に挨拶を交わした。


「ただいま。かなちゃん、さなちゃん。あれっ?今日は髪型、まだ違っている・・・」


いつも通りだと同じ髪型の格好をしてどっちクイズをするのだが、今日は学年度末で

授業がなく帰りが早い事を忘れていたようだ。


「あっ!忘れてた!デコピンやり損ねた・・・」


金髪ツインテール頭のさながそう呟くのだった。


「さな・・・」


金髪ポニーテールのかなは呆れた様子でさなの顔を見ていた・・・



二人はいつも同じ服装をしており、髪型で見分けが付くようにしているのだが、

彼女達がまだ少し若い時に髪型を逆にして周囲を困らせて悪戯していた時もあった。

ある出来事が原因で今はやってないのだが・・・


かなとさなは瓜二つの双子少女。実はななとはなも瓜二つの双子の少女だったのだ。


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