ある真実
一方、宇宙都市に行ったさなの方では、さなが宇宙都市に来る前から
まみ博士とごく一部の研究者とである極秘の研究が行われていた。
生命体転送装置の開発と並行して・・・
物体転送装置によって魂の抜けたもぬけの殻の状態になった人々の
生き返らせる方法だった。今は何百体以上も冷凍睡眠装置で眠っている。
実際に身体は生きているがもう意識は元に戻らない、
生き返らないと言う結論に達した。
そこでその素体(魂の抜けた身体)を利用すべく脳内に電脳チップを埋め込み、
新開発した装置にて生きた人の意識を素体の電脳チップに移す事を研究していた。
それによってその素体を操る(動かせる)事が出来るようになる。
また移った元の身体の脳内にも電脳チップを埋め込んでおき、
冷凍睡眠装置にて保管。いつでも自分の身体に戻れる状態にしておいた。
これが開発出来れば、素体が不要になった時、新しい素体に次々と乗り移る事が可能になり、
不死にはならないが不老の力を手に入れる事になる。
さな事態には、この事は内緒にしておき、電脳チップの研究、開発を依頼しておいた。
実際にさなの助言により、事はスムーズに運ぶのだった。
そしてもうすでにまみ博士の所でも生命体転送装置の人体実験が試行がされ、
報告を発表し、世間一般にも僅かだが知れ渡り始めていった。
量産化の為、宇宙都市の生産工場にて次々と生産され始めていった。
ひとみの父親をさなと一緒に呼んだのは、まず初めに地上のひとみの父親の
自宅に生命体転送装置の設置を依頼する為だった。
設置自体は物体転送装置があるので、宇宙都市からでもパーツ毎に簡単に送れる。
あとは全展開する事自体、余り時間は掛からずに出来るだろう。
さなにはまだまだ宇宙都市で研究、開発をするように指示してある。
ひとみの父親の自宅に生命体転送装置が設置されれば、
直ぐにかな達に会えるからと・・・
かな達の地上の自宅に設置しないのはまだ知られたくなかったからだった。
そしてここでまた語らなければならない事実がある。
かな達の両親、翔の両親、ひとみの両親のかつての仕事仲間の関係だ。
同じ研究施設で開発、実験をしていたのだが、まみ博士が双子のななとはなを
自分の研究の為に非情にモルモット扱いをしていた事に疑念を抱いたのだった。
それがかなやさなの父親の優博士だ。父親が自分でない事も疑いの一つだった。
そして調べをしていく内にある事実を知ってしまった。
優博士は頭脳明晰だったが、それだけではない。
完璧ではなかったがある程度予測を立てて予知する事が可能だった。
物体転送装置とペンダント(次元転移装置)を使って物だけを
タイムトラベルさせる事も成功していた。
生命体転送装置が開発されれば、人もタイムトラベル出来るだろうと・・・
ペンダントに仕掛けをし、ななやはなにプレゼントをしている。
まみ博士の家計は特殊で、双子の女の赤ちゃんしか生まれてこない。
その為の確認として優博士以外でも双子の女の赤ちゃんが生まれるか確認したのだ。
自分同様に双子のななとはなをモルモットとし、ウイルスの作成に努めていた。
小さい頃から男性に対して劣等感や妬みがあった為、世の中全ての女性を
双子の女の赤ちゃんしか生まれてこないようにしたかったのだ。
そうすれば、いずれ世の中は男性が減っていき女性だけになる。
男性の精は既にかなり前から培養に成功している。必要であれば
優秀な男性自体を今後開発される冷凍睡眠装置にて保管しておけばよい。
女子双子化ウイルスの作成は成功し、後は空気感染をするようにすれば
いいだけだった。まみ博士の野望はかなり前から準備されていた。
まだまだ一部だがまみ博士に賛同している女性研究者はかなりいた様だった。
その事を知った優博士は計画を阻止すべく、翔の両親に相談した。
ひとみの両親はまみ博士の派閥だったので、裏切る可能性がある。
だが結局、失敗に終わる。優博士は致命傷になりながらも命は助かり、
何処かに身を潜めた。
ペンダントを使って、いずれ反撃ののろしを上げる為に・・・
翔の両親は翔を殺すと脅され、翔の命と引き換えに命を捧げた。
翔の家計も特殊でその事がまだ知られてない限り、翔が一つの希望だったのだ。
その事は後々、まみ博士の誤算になって行くのであった・・・




