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改良と別れ

生命体転送装置の人体実験が行われた夜、さなは資料を纏め結果報告を母親にした。

この結果を基に母親の所でも人選し、人体実験が行われるだろう。

許可が下りるには時間が掛かると思うが、人体実験が成功した資料を見せれば、

スムーズに事が運ぶ。あと数日待てばいい・・・


一通り終えたさなは自分の部屋のベットで眠りについた。


宇宙都市でその結果報告を受け取ったまみ博士は喜びを隠せないでいた。

また一歩また一歩、自分の野望に近づくのだった。


まみ博士の生命体転送装置はさな達の設計を基に作られており、見た目は違うが

中身は同じだ。かなりアレンジはされており、独自の物となっている。


地上のさな達の生命体転送装置とは一切繋がっておらず、

宇宙都市の各研究施設に何台かすでに設置しておいた。


もう直ぐここで人体実験が試行がされ、報告発表があり世間一般に知れ渡るように

なっている。まだ装置は高値になるだろうが、量産化の準備も整えてあった。



翌日の午後、地下研究所兼住宅の地下実験室にて、

かなとさなが生命体転送装置の前に立っていた。


「この後、どうしょうか、さな?」


とかながさなに話し掛ける。


「ここでの結果はもう報告する必要ないけど、何かあるの?」


とさながかなに質問を返す。


「ちょっと、私なりに改良して見ようと・・・」


「何か機能が便利になったら、お母さんに連絡すればいいし・・・」


とかながさなに答える。やれやれっとなったさなだが、問題はないと返事した。


「私はお母さんから頼まれた別の研究の続きで忙しくなるから・・・」


「余り手伝えないかもしれないけど、何かあったら相談してね!」


とさなはかなに話し、研究室へと消えていった。



ななや翔の学園長期休暇もまだ半分以上残っている。

かなはななと翔にも協力してもらおうと実験室に呼んだ。


「なに、かなちゃん?」


と実験室に入って来たなながかなに話し掛ける。その後ろには翔がいる。

かなが気が付くと、なな達に近づいた。


「あっ!ななちゃん、翔くん!」


「時間が空いているなら、ちょっと手伝ってくれる?」


かなはなな達にそう話すと、ななは答えた。


「いいよっ、ねぇ、翔?」


とななは翔に確認する。翔も一発返事でOKを出した。



かなの改良とは・・・


1.生命体転送装置の中に専用の椅子を設置。


2.生命体転送装置の中に小型物体転送装置を設置。

  装置の中で衣服を脱ぎ、衣服や小物などを小型物体転送装置に入れる。

  人(生命体)が送信用装置から受信用装置に転送されると連動し、

  物(無機体)も送信用装置から受信用装置に転送されるようにする。


  *人が服を着たままの転送が出来ない。転送後、人と服が一体化する為。


3.送信信号が受信用装置に送られて来たら、自動で受信をオンにする。

  受信用側は何も設定しなくても問題ないようにする。

  転送が終わったら自動で扉が解錠されるようにする。


の3点。そこで1.椅子や2.物体転送装置の設置を手伝って欲しかったの事。

設置は協力すれば直ぐ終わるが、3.設定はしばし時間が掛かるとの事だった。



皆、作業を進めて何日か経った後、宇宙都市の母親から通知が入った。

さなが母親から頼まれた別の研究の事で、さなに宇宙都市に来て欲しいと・・・


双子姉妹のかなとさなは生まれ付き天才だったが、お互いに得意分野もある。

今回、さなが必要となり協力を求めた。他にも用があったみたいだが・・・


地下研究所兼住宅のリビングルームにて、4人が揃っていた。

かなとななはお菓子を食べながら、さなは端末を覗きながらお茶を飲んでいた。

側にいる翔はベスに餌を上げていた。


さなが端末を覗くのを止めて、かなの方に振り向く。


「明日、宇宙都市へ出発するけど、永くは滞在しないと思し・・・」


「ひとみのお父さんも一緒で道中付き添いをしてくれるから・・・」


「それに宇宙都市に行っても連絡は取れるでしょ?」


と心配そうに見ているかなにさなはそう話し掛けた。


「私達って今まで離れ離れになった事ないよね?」


とかなはさなに受け答えをする。さなも少し悲しい顔になった。


「そうだね・・・」


側で話を聞いていたななも会話に混じる。


「気を付けて行ってきてね、お土産よろしくねっ!」


と定番な事を言ったななだったが、今は物体転送装置が発明されているので、

ほぼ手ぶら(大きな荷物は必要ない)で宇宙都市に行ける。

お土産も直ぐに物体転送装置で送れるのだ。


「あぁ、宇宙都市に着いたら、何か送るよっ!」


笑顔でさなはななに答えるのだった。

話題を変えて、さなはかなに話し掛ける。


「そっちの転送装置の改良はどんな感じなの?」


かなも少し笑顔になり、スラスラと受け答える。


「もう直ぐ完成するよっ!」


「装置の中で裸になるだけだし、椅子にも座れるっ!」


「そして衣服や小物も少ないながらも、人と別々に送れるのっ!」


「あと、送信装置側の設定だけで済むようにしたから・・・」


「受信装置は何もする必要がなくなったのよっ!」


さなは驚きも隠さずに感心な顔になり、それを聞いていた。

元々、この生命体転送装置の発明はかなの方が最も貢献していたからだった。



翌朝、さなは宇宙都市へと旅立った・・・




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