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生還!

送信用転送装置の中にいるななに話し掛ける。中に設置してあるスピーカーからだ。


「あーっ、あーっ、聞こえるなな?聞こえる?」


「返事して、返事っ?」


かなが小窓を覗きながらマイクを使って呼び掛ける。その声に応答したなな。


「聞こえるよ!かなちゃん。」


送信用転送装置の中にもマイクは設置してあり、その声を聴いたかなは安心する。

一方さなの方は送信用転送装置の操作パネルで設定内容を確認していた。


「立った状態だと危ないから、直に座って待機してねっ!」


「次回からは専用の椅子でも用意するから・・・」


(生命体転送装置は円筒形で、中は何もない小さい部屋のイメージ)


とかながななに話し掛ける。


「分かった、かなちゃん、大丈夫だよっ!」


ななは腰を落とし座った状態になり、小窓から覗いているかなに手を振った。

その様子を見たかなも手を振る。


翔はすでに受信用転送装置の側に行っており、かなのその光景を眺めている。


「じゃあ、私は受信用転送装置の方に行くから!」


とかなはななとさなに話し掛け、受信用転送装置の方に向かった。

受信用転送装置に辿り着いたかなは操作パネルで設定内容を確認し始めた。


最後に受信スイッチがONになっている事も忘れずに・・・


さなも設定確認を終え、受信用転送装置のかなの方に振り向く。


それを見たかなは、両手を上に上げ、丸くOKサインをする。


「了解!準備OK!始めるよっ!」


とさなは皆(装置の中にいるななにも)に聞こえるように掛け声を出す。


そして・・・


さなは送信用転送装置の操作パネルのスタートボタンを押下した。


「スイッチON!」


送信用転送装置の小窓からななが見えていたが、機械音と共にやがて蒸気の靄で見えなくなった。


「そっちの様子はどう?お姉ちゃん?」


「問題ないよ、さな。ちゃんと反応しているよ!」


受信用転送装置の小窓からも機械音と共にやがて蒸気の靄が出始めて中の状態が見えなくなった。


「いよいよだね。なな、大丈夫かな・・・」


かなの興奮状態がピークに達した時、機械音がやがてブザー音に切り替わり室内に鳴り響いた。


 ビィーッ、ビィーッ、ビィーッ、ビィーッ、ビィーッ!!


その時、操作パネルのモニターを見ていたかなが慌てて受信用転送装置の小窓を覗くと

横たわったななの姿が見えた。かなが呟いている。


「うーん、どうだろう・・・?」


翔はかなから少し離れたところで心配そうに見つめている。


暫く動かないでいたななが身体を起し、座った状態になった。

そしてかなが覗いている小窓の方に振り向き、笑顔で手を振り始めた。


「さな!、翔くん!!動いているよ!動いているよ!!プリン食べられるよ!!!」


と今回もまた特性プリンを用意しており、興奮状態のかなだったが、

プリンの事は忘れていなかったようだ。


その言葉を聞いたさなは少し笑いながら安堵した様子で受信用転送装置に駆け寄った。


「どれ、どれっ!さなにもさなにも見せて!」


受信用転送装置の小窓を覗くかなの横に近づき、さなも興奮気味で小窓を覗いた。

翔もその後ろから小窓を覗いた。


「あっ!動いているよ。手を振っているよ!!」


はっとして3人は顔を合わせ見つめあい抱き合って喜ぶのだった。


一瞬、ななの存在を忘れた皆。急いでかなが受信用転送装置の扉を開けた。


扉が開いた事に気が付いたななは、突然飛び出し、直ぐに目に入った翔に目掛けて、

飛びつき抱き合った。裸のまま・・・


「翔っ!私、無事だったよっ!」


と泣いて喜ぶななであったが、一人裸であった事に気付くのはもう少し後のようだ・・・



実験室の直ぐ隣の医療室でななのメディカルチェックが行われた。

全くの健康状態で送信用転送装置の中に入る前のデータとほとんど一致している。


暫く裸であった事を忘れて抱き合っていたなな自身も今は明るく笑っている。


ななが終わった後は翔の順番になる。



やがて・・・


さなとかなは送信用転送装置と受信用転送装置の準備を済ませ、翔を呼ぶのだった。


ななは翔が裸になる事を少し楽しみにしていた。あれだけ自分が裸を見られたのだから・・・


ななは翔の方をじーっと見つめているが、かなは服を着たままの翔の手を取り、

送信用転送装置の方に一緒に歩き始め、辿り着いた。


かなは送信用転送装置の扉を開けて、翔を中に入れて、

扉は完全に閉めずにいた。


唖然とするなながそこにはいた。


一部始終を見ていたさなは、送信用転送装置の中で脱いで、

外にいるかなに衣服を手渡せばいいとななに言ったのだった。


ななは一人撃沈するのであった。私って・・・何・・・


(この時、かなはななも露出狂に仕向けている事をななはまだ知らない。)



翔の方の人体実験も成功したのは言うまでもないだろう・・・




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