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死亡フラグは勝手に立つ  作者: パンツ大将軍
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恥じらえティアちゃん

先に謝っておきます。食事中のかたごめんなさい。

 荷物の準備さえさせてもらえず、用意された最低限必要な物のみを馬車に乗せ、御者を担うロウリーと置物になったローティアートと俺の三人で愉快な旅に出ていた。


 グレス帝国は俺達が所属するボルケーノリヴァ王国の北東方向にあり、俺達が乗車している二頭けん引の箱馬車で三週間程かかる。今はその二日目の昼であった。


 そして、既に重大な問題が起きていた。








「おえっ」


「飲メ」


 馬車が物凄く揺れるのだ。御者であるロウリーの腕は悪くないが、ボロ馬車と悪路のせいで乗り心地は最悪だ。


 加えて、この駄メイドが頼りにならない。むしろ追い討ちをかけてくる始末だ。吐きそうになった奴の鳩尾に打撃を加えようとするメイドは、そう御目にかかれるものではないだろう。


「オロロロロロロロ」


「お前が吐くんかい」


「うぇ……」


「もらうぞ?もらってもいいのか?左右から吐瀉物を撒き散らしながら走る馬車になるぞ」


 また駄メイドが吐く。昨日からこの調子なのだ。今日頑張れば道も少しはマシになるはずなので、もう少しだけ頑張って欲しい。俺のためにも。


 駄目っぷりはそれだけではない。


 道を進む中、長い間宿場等がないため外での休憩や野宿をする必要があり、盗賊を警戒する必要がある。


 それは俺も理解している。しかし、目の前でブリッとした後そのまま埋めずに放置するのはどうなのだろうか。


 一応股間は服で隠れてはいるが、もう少し恥じらいをもっていて欲しかった。俺の乙女像は泡沫の虚像でしかなかったのだ。


 ともあれ駄メイドがあまりにもポンコツであったため、せめてバトラーはまともであることを期待した。のだが、全くそんなことはなかった。


 俺は見逃さなかった。駄メイドの糞を見つめ、頬を赤らめ、鼻息を荒くしている爺の姿を。まさに糞爺であった。


「うゥ……」


「少しは落ち着いたか」


「……感謝」


 背中をさすり続けると、だすもの出しきったのか落ち着いてきた。


「ほら、水だ。ゆすいでおけ」


 駄メイドはこくんと頷き、水を受け取る。


「将軍、休憩所がありますが止まりますか」


 御者席からロウリーが確認の声が聞こえてくる。


「少し休もう。俺もそろそろ限界だ」


「かしこまりました」


 返事をすると、徐々に馬車の速度が落ちていく。しばらく歩く程度の速さで進んでから停止した。


 ロウリーが馬車の扉を開く。


「休憩所に到着いたしました」


 駄メイドに手を貸しながら降りる。


 休憩所は一階が酒場、二階が宿となっていて、大きい建物の周りは見通しの良い平原となっている。


「結構とまってるな」


 自分達の他にも複数の馬車があり、その中には大型馬車もいくつかあった。こういった場合、休憩所内で衝突したり、道の途中に問題があったり等ロクなことがない。


「随分と大きい馬車まで見受けられます。この先の道に何かあったのでしょうか」


「かもな。とりあえず入るぞ」


 そう言って木製の扉に近づくと、勢いよく扉が開いて人が吹っ飛んできた。


「……よし、帰ろう」


「同意」

「かしこまりました」


 その場から離れようと動こうとしたそのとき、飛んできた大男がうつ伏せのまま這いずりより、足をつかんできた。


「げっ、離せっ、このっ」


 手を振りほどこうと足を動かす。ローティアートとロウリーの二人も男を踏んだり蹴ったりしているが、ぐぉっ、げぇっ等のうめき声はあげても手は離さなかった。


「快感」


「踏む側というのも悪くないものですね」


 二人とも、助けてくれるのは嬉しいが変な扉は開かないで欲しい。


「何をしている」


 手を踏もうが頭を蹴ろうが手は離れない。


「貴様ら何者だ」


 鞘に入ったままの剣を使って引き剥がそうとしても離れない。ガッシリ掴んでいる割には強すぎない力加減なのが妙に気色が悪い。


「無礼者どもめ、無視をするとは良い度胸だな!」


「おーい、手を離してくれー」


 呼び掛けても反応はない。


「貴様ラァ!!イイ加減にしろォ!!」


 怒鳴り声が聞こえ、そちらを向くと扉の前に恰幅の良い高そうな服を着た男と、その周りを固める四人のガタイの良い男がいた。


「急にどうしたんだあいつ」


 何故怒っているのか分からず二人に聞くが、首を横に振る。


「ば、馬鹿にしおって……お前ら、やってしまえ!」


 恰幅の良い男の指示を受けて三人が前に出て、二人は腰の剣を抜き、一人は背中の斧を手に持った。


 どうしてこうなった。

三人の内、ポンコツメイドちゃんは気付いてます。ただ無視してただけです。糞(好き)爺はちょっと楽しくなってて気付いて無いです。

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